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ゴールデンウィークが明けて、中間テストも終わった。
また、和也と二人の時間を過ごせる。
「和也、テストはどうだった?」
「あぁ、ちょっと…。
いくつか間違えてしまって…。」
「えっ?何点?順位落としたの?」
「778点で、1位でした。」
「778点!!…凄いな。
1位なら…モデルは続けられるよね?」
「はい、続けます。
智が描いてくれるなら…。」
「和也しか描けそうにないんだ。
毎日、描きたいくらいだよ。」
「…ごめんなさい、心配かけて。
もっと勉強頑張ります。」
「和也…。充分だよ、もう。
それとも、差し障りあるの?
軽音に入ったし、時間足りない?
楽器やボーカルも練習するんだろ?」
「ううん、全然。智は気にしないでね。
私がもっと…ちゃんとやれば良いだけだから…ね?」
「大丈夫、無理しないでいいから。」
「智と一緒にいたいから頑張ります。」
不安を隠すように微笑む。キラキラの優等生スマイルがなんだか痛々しい。
1位なのに、これ以上努力する?
自分に厳しい、厳しすぎる。
これも和也の抱えている何かに通じるのか?
「とにかく何でも話してみて。
気を遣わなくて良い。やりたいことをやって好きにしてればいいよ。
ありのままの和也と一緒にいて、そのまま描きたいんだ。」
「ごめんなさい、甘えて。
智には心の中まで見透かされて、
気を遣わなくて良いと思って、
甘えすぎました。
それが智に気を遣わせて、心配かけて…。」
「全然、気にしないで、大丈夫だから。」
「ごめんなさい、ごめっ…。」
みるみる涙があふれ出す。
やはり、甘えることに慣れてないんだ。
どれほど深い訳があるのか…。
まだまだ計り知れない。
すべて吐き出させた方が良いのだろう。
でも…私に癒すことができるのか?
もう泣かないで…。
ただ抱きしめるしかできないんだ…。
………いや、涙を我慢しないでくれ。