【F1】F1のEV(ERS)は何が凄いのか | 宮本 茂@横浜 書きたい事を書くブログ

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先日、ニューヨークでのレッドブルの新車発表会(リバリーのみ)でフォードと2026年から提携することが発表されました。

場所がニューヨークということで予想されたことですが、ちょっと早い気はします。

提携概要はRBPTが開発を進めるPUのEV部分をフォードが担当するということです。

フォードは市販車でのEV車は発売していますが、レースでの実績はほぼなし。

個人的には正直上手く行くのかなと生きはしますが、互いにもとろているものが合致したということなのでしょう。

フォードはF1人気にあやかってフォードを全世界にPRしたい、ということで…。

 

では市販車のEVシステムとF1のシステムとは何が違うのか?

詳細を知るため以下の記事を参考にしました。

 

 

 

 
まずはF1でEVシステムが導入された経緯と当時の状況から。
当然、レースの最高峰のカテゴリと言っても環境への配慮は欠かせません。
そこでEV(ERS)を導入してアピールする問事で2007年に試作したのですが、当時のバッテリーパックは107kgもあったそうです。
正式にKERSとして導入された2009年には25.3kgと大幅にコンパクトになりました。
現在のレギュレーションでは冷却システムを含め、20kg以上とされています。

 

現在のレギュレーションではMGU-Kの発電/出力の制限は120kW(163PS)

一周あたりのエネルギー回生量は2MJ

分かりにくいのでkWhに換算すると

0.278kWh/MJx2=0.556kWh

この量を回生するのに20秒近い減速が必要とされています。

現在ではもう一つの回生システムMGU-Hからの回生量の規定はありません。

以前はこの差が各PUであったのですが、現在はほぼ同じと言われています。

 

この充電速度はどの程度か。

0.556kWhを20秒で充電するのだから、1.668kWhを1分で充電できないといけません。

これがどの程度の充電速度かというと、現在日本国内にあるテスラのスーパーチャージャーV3が、

480V直流、最大出力250kW、モデル3ロングレンジの場合、約12分で2%から50%まで充電可能

とあります。

モデル3のロングレンジモデルだと約80kWhなので、

80kWh✕(50%-2%)÷12分=3.2kWh/分

となり、一回の充電密度(?)は現行F1の2倍程度です。

F1では一回のレースで50~60回程度充放電を繰り返しています。

60回だとすると総充電量は192kWhでこれを90分から2時間以内で行っています。

これはテスラのロングレンジモデル(約80kWh)の約2倍強の容量で、EV車の通常のバッテリーだと発熱でバッテリーが機能しなくなるレベルです。

 

それから2026年からEVの出力/発電の制限は350kWに拡大されます。

一周あたりの回生量がなかなか見つからなかったのですが、9MJ/回になるようです。

現在の4.5倍ですが、これをリアの発電機だけで回生させる計画のようですが、リアの空力が足りないのではと早くも言われているようです。

とりあえず同様に計算すると、

0.278kWh/MJx9=2.502kWh

で同様に20秒で充電するとしたら、7.506kWh/分の充電となります。

これはスーパーチャージャーV3の2倍以上の充電速度です。

レースあたりの延べ充電量は450kWhととんでもない充放電を繰り返すことになります。

 

結論

市販車のEVのバッテリーはまずは安全性と容量

そして充電速度ですが現時点では充電渋滞を起こすほど社会問題になっています。

一方F1等のレースで使用されるバッテリーは充電速度と放電時の出力

レース中に頻繁に充放電しますのでいわゆる急速充電でバッテリーが発熱して充電に制限などが起きては一大事です。

フォードが技術的に興味があるのはこのあたりですが、レースでの実績がないんですよね。

F1で使用されているバッテリーはリチウム電池でナノカーボンを使用した(2021のホンダPU)もので既に既に全固体電池とも言われていますが、詳細は不明です。

これ技術が市販車にもフィードバックされるとEVの世界も大きく変わるかもしれません。