ネタバレ注意  かもしれません

 

私は大変大きな思い違いをしていました。

 

市郎は令和の世界で受け取った背広を着たまま昭和の世界に戻ってきた。しかもしっかりネームまで入っている。その後昭和(平成)の世界で、東京に住む市郎を純子が神戸のテーラーまで連れて行って採寸することになるけど、市郎は犬島が初めてつくるお義父さんの背広をもうすでに持っている。初めてつくる背広を2着も作れないし、ほんと困ったことになった。純子も市郎も死ねなくなっちゃった。と、これが伏線のひとつだと思ってましたが、大きな思い違いでした。

令和の世界の犬島が市郎に背広の採寸をさせてくださいと手紙を出すのは流れ的に意味がないなあと思いつつも、これもまあ話の展開上仕方ないことかと思ってましたが、実はこれがすごく意味があることだと気づいたんです。

 

まず、9話で犬島家の墓がしっかり映ったことで、純子は阪神淡路の年の1月に亡くなったことは確定しました(日付は特定されてない)

 

そこで考えられるのは、新神戸駅に向かって歩いていた純子と市郎は、地震が発生するやいなや、ゆずると渚のもとへ走って向かい二人を助けようとしたのではないか。ゆずると渚は助かったものの(ゆずるは渚をかばって心臓に関係するケガをした)純子と市郎は重傷を負い純子は1月中に死亡。市郎も背広が出来上がる前に死亡したのではないか。

 

こう考えると、昭和(平成)の世界で市郎が背広が出来上がる前に亡くなったため着てもらえなかった背広を、令和の世界でゆずるが採寸の名目でお招きして、着せてあげようとした気持ちもよく分かるし、市郎は市郎で昭和(平成)の世界で着ることができないことがわかっている背広を昭和の世界に持って帰って純子に見せたい気持ちも痛いほどわかる。

 

初めてお義父さんのために仕立てた背広なのに、震災で自分と渚を助けるために命を落としてしまい着てもらうことが叶わなかったゆずると、その背広を着ることなく、純子に見せることも叶わずに自分も純子も震災により死んでしまうことを知っているのに(知っているから)、自分の背広姿を純子に見せる市郎。なんて悲しすぎる話なんだ。

 

笑ったり泣いたりしながら見ている中で、こんなに切ない物語が進行していたとは、これは人間模様を描くのが得意な東野圭吾氏の作品に匹敵する、いやそれ以上の家族愛あふれる上質のミステリー作品だ。あっ、そういう結末だと決まっているわけではないが…

 

この推測が的はずれかどうかはわかりませんが、驚くような伏線回収の連続で、感動で涙がとまらない最終話であると信じています。南プロバンス地方のブイヤベースやサンバ、藤井聡子、羽宇馬いつ子なども登場すれば、なおうれしいなあ。


ところで、♫体型が変わってなければ♫ の体型は、いつといつの体型のことを言っているのだろうか。