【 楽屋裏で出会った和尚 】
「ネットで選挙演説を見て、檀家から君に献金を集めた坊主だ。話を聞いて欲しい」
憲法フェスを開催した名古屋のイベント会場。
楽屋裏で、その住職は唐突に切り出した。
「君はもう分かっているだろうと思うが、戦争や環境破壊、、世界で起こっている問題は全て、この100年に及ぶ資本主義の行き詰まりが原因だ。利益と配当と成長を生み出し続けなければ存在できないシステムが限界に来ている。」
勝新太郎を少し細身にしたような、気骨を感じる住職の名前は唖樵(あしょう)。歳は70だと云うが、もう少し若く見えた。
「そこで、私はこの資本主義の問題を解決する会社を作ったんだ。」
いきなりすごい結論に至っている。
資本主義の問題を解決する会社を作った、と云っている。
穏やかに、しかし割り込む隙を与えない推進力で彼は語る。
「政治だけでは世の中は変えられない。経済と人々の生活を変質させなければ、戦争や環境破壊をなくすことはできない。だから私は、君が三宅商店を通してやろうとしている事をとても評価している。だが、三宅商店のように多くの点数を扱っていては小売業としては成長に時間がかかり、結局は有り体な「経営の苦労」にさいなまれ、良質な品物でも値段が下げられない。フェアトレードや資本主義のシフトを訴えながら、いかにも資本主義的な会社になってしまうんだ。」
「大切なのは、1つのものを扱う事だ。」
【 利益を追求しない会社 】
資本主義の問題点とはなんだろうか?
それは「株主に配当し続ける」ことを義務づけられた会社のあり方である。
よって、会社は利益を生み出し続けることを宿命とする。
そのために、生産者からはより安く買い、消費者へはより高く売ることを目指す。
「安く買いたたき、高く売りつける」
株主への配当、経営陣への超高額な年俸といった会社の利益のために、生産者(労働者)と消費者が犠牲になっている構図だ。
産地を出荷した時の何倍もの価格でものを買うことに、人々は慣れて疑問を抱かない。
もし、産地と消費者が株主となって会社を起こし、お互いをよりダイレクトにつないだら
「より高く買取り、より安く売る」
ことができるのではないか?
例え話を一つしよう。
1万人の株主が1,000円づつ出し合って、良質なオリーブオイルの産地とつながる会社を作る。会社で苦労するのは、立ち上げ資金。まだ売り上げを生み出さない事業に対しての先行投資が必要だが、1万人いれば1,000円で1,000万円になる。「寡占」と「独占」が生まれないように、どんなに富裕な者でも1株以上は保有できず、株の売り買いもできない事にする。
1人が年に10本(1本:500ml)消費することを約束すると、10万本分の注文の買取価格が確定することで、産地は安心して有機や無農薬に取り組むことができる。
仕入れや瓶詰め、輸入にかかる経費(原価:700〜1000円)
+
国内での送料、保管・運営の経費、人件費(実経費:500円)
という最低限のコストでの運用が可能になると、売り値 3,500円レベルのナチュラル・オリーブオイルが1,200〜1500円で販売可能になる。
収穫して現地で瓶詰めするので、とかく問題となっている、一番搾りのカスから化学抽出された再生オイルの混ぜ物の心配もない。そういったクオリティコントロールも、1人の消費者ではなく「1万人の会社」だからできる。
この会社は、仕入れ原価と実経費以外に利益を生み出す必要がない。オリーブオイルを買うことができるのは1,000円の株券を買った人だけだが、最初の1本目でその元は取れていることになる。
生産者への配当は「高く買ってもらえること」、
消費者への配当は「安く売ってもらえること」。
話はシンプルだ。
そして時は急がされている。
つまりこれは、例え話ではない。
目の前の和尚は続ける。
「私はスペインで、良質なオリーブオイルの産地と出会ったんだ」
(唖樵さん)
【 油のはなし 】
唖樵(あしょう)さんは、かつて破天荒に生きた時代があり、40代で肝臓ガンなど患い先も長くないと悟った。
そんな頃に、食の大切さ(食べたもの即ちあなた自身)と、心物の一体性に深く感じ入る経験を経て出家、病を克服して今日に至る。
(長久手へ唖樵さんを訪ねると、酵素玄米のようなお結びをオリーブオイルで焼いて紅柏の葉に包んだお昼ご飯が出てきた)
食が人の意識に、そして意識が食に及ぼす影響に注目して「農哲学院」を立ち上げる。浄土宗の僧侶として渡ったスコットランドやスペイン、欧州を股にかけて心身の浄化に益する食品の臨床的実験と探求を行なってきた。
そんな彼が数多ある食品の問題の中で特に着目してきたのが「油」だ。
かつては油は「絞る」のが普通だったが、現代においては原料からより効率的に油を摂るために化学薬品を使って「抽出」、「精製」することが多い。
量産を目的として化学抽出・精製された油を日常的に摂取することの害は、肥満のみならずホルモンの異常につながる事も危惧される。健康に良いと謳われてきた植物油の世界は、抽出と精製をくりかえす事で不自然な命を摂取することが当たり前になってしまっている。
ただでさえ、人間の脳は60%以上が油でできている。
良質なオリーブを求めてたどり着いたスペインの産地との出会いから、
「良質なオイルが日本の隅々まで届き、子供たちの健康に寄与できるよう」
と云う願いの中で、1万人の会社のシステムを思いつくことになる。
彼はこの会社に、鉄を食べる神獣「貊(みゃく)」の名をとって「貊村(みゃくそん)」と名付ける。
「現代文明の象徴、鉄を食べる「貊」。まさにこの会社の象徴だ。」
と、唖樵さんは笑う。
この「利益を出さない美しい会社」の存在は、資本主義社会を変えてゆく契機となるでしょう。多くのみなさまが、この試みの意義とシステムを深く理解する同伴者となりますことを切にお願い申し上げます。(貊村パンフレットより)
「1万人の株主が10万本分の受注を確約してくれれば、この会社は回る。良質で適正な価格のオイルは必ず広まると、私は考えている。そこから先は、1000万本までの生産量に産地は応えられる。日本のオリーブオイルの消費の1/10のシェアになる。そうなるともっと値段を抑える事もできる。また、この会社の運営に必要な以上の利益が生まれることになるから、社会貢献やすぐに利益を生み出さないが世のために従事する人を雇うことができる。」
「これを、米、麦、味噌、醤油、と色んな品目に1つづつ、増やしていくことに投資すれば命を大切にした新しい経済が生まれる。品目ごとに会社が一つ増えて、また雇用も生まれる。」
「あと2年で、オリーブオイルは私が軌道に乗せる。そこから先は、君のような若い人たちが引っ張って欲しいんだ」
(唖樵さんと、愛知・長久手の倉庫に積まれたオリーブオイルの前で)
【油以外のはなし】
例えば、車を引き合いに出してみることにする。
工場を出荷した時に150万円の車が、市価350万円で売られていたとして、この差額200万円はどのようにして生じるのだろうか?
営業所の運用費、営業マンの給与、そしてコマーシャル代である。
これを250万円で出荷して、250万円で売れば、工場も消費者も100万円づつ得をする。
1万台分の注文をまとめたら、工場も対応してくれないだろうか?
もしも、貊村のオリーブオイルを買う株主が10万人いたとしたら、そのうちの1万人が毎年、車を買うことになる(統計上、車は10年に1回買い換えられている)。
ならば、車についても同じ共同購入システムを導入した会社を立ち上げれば良い。そちらは夢を食う「獏(ばく)」で「獏村」とでもするか、などと妄想。
こうして品目と、それぞれの株主が増えていくと、何十億から何百億円という余剰の運用資金が生まれることになる。
これらを人件費や経費として、さらなる「環境保全型産業」を生み出し、雇用を生み出し、経済のあり方そのものに新たなパラダイムを生み出すことができる。
給料30万円から100万円の間くらいで完結する給与制度。
超越的に突出した取り分を得る者は必要としない会社。
でも良質なものをどんどんと適正価格にして流通する社会。
「8時間働き、8時間遊び、8時間眠る」
ウルグアイのムヒカ元大統領が提唱した「まともな暮らし」のできる社会が近づくかもしれない。
東京・杉並のお寺で、あるいは愛知・長久手の倉庫で、そして東京・千駄ヶ谷の事務所で。会食や打ち合わせを繰り返す中で、僕はこの「一見、ネットワークビジネスっぽい、うまく説明しないと怪しい話」をどうやったら広められるかを具体的に考えてきた。
なおかつ、これは基本的な共同購入の形態であり、実は何かしら特別に新しいシステムでもない。ただ、「利益ではなく愛を循環する」ことへの比重が、礎になっている。
【 1万人の会社を目指して 】
現在(12/29)、株主は3,000人を超えている。
この株主を1万人に増やすプロジェクトに、僕も参加する。
「君が広めてくれた分については、弊社経費(1本につき300円)を丸ごとそちらに渡すから人件費と経費に充てて欲しい」
1,000人の株主が10本購入すれば300万円になるので、営業回り、事務、ネット告知、問い合わせ対応、などの人件費として計算できる。
僕の利益は特にない。
まずは良いオリーブオイルが世に出回ることに貢献できる。
そしてそれを仕事にできる仲間を増やせる。
狙いは100万人を超える株主が募れた、時だ。
余剰の運営費が40億近く生まれる概算になる。
これで、湧き水を守る土地の維持・管理や、耕作放棄地の貸し出しプロジェクト、はたまたそれらを活かして更なる事業性を生み出す人件費を賄うことができる。
米や麦、さらには車や自家発電システム、家に至るまでの多様な品目に、このシステムを応用していくことができたら。。!
消費者と生産者(労働者)の声がもっとダイレクトに大切にされる社会へと、つながるのではないだろうか。
そして、バブル以降の時代に育った若い世代には、既存の経済社会の何倍もの効率で資金を運用する力が備わっている。「スキル(技術)」と「コミュニケーション」と「ネットワーク」が、それらを可能にする。40億の人件費を、400億、4000億の価値に拡大していく、新しい経済のレイヤーを示すことができると確信している。
「洋平くん、既存の政治、経済の考え方、言うなれば価値観のガラス玉から飛び出してしまわないと、問題は解決しないんだ。」
稀有な人生を歩んできた和尚と僕の、これまた数奇な出会いから生まれた新しい可能性の話。
株や金融を疎んじてきた僕も初めて、株主になる。
みなさんも一緒に、1万人の株主になりませんか?
何より「ワクワク」と「適正価格のエキストラバージン・オリーブオイル」は、保証しますよ。
食にこだわる意識。
経済にこだわる意識。
これも、大きな配当になること間違いなし。
【 〆 】
長い文章で、お伝えしたいことはシンプルなので、
簡潔に完結しようと思う。
ぜひ、皆さんに貊村の株主になっていただきたい。
そして、できるだけ身の回りに一気に、これを広めて欲しい。
1万人の株主を超えた時に、オリーブオイルから先の世界が開けます。
(了)
貊村物語 (2)
【資本主義の向こう側へ】株主、新月から満月までの2週間で1800人増加
貊村物語 (3)
【資本主義の向こう側へ】オリーブ油で天ぷらの新鮮な驚き、株主は6000人に到達
貊村物語 (4)
【資本主義の向こう側へ】株主は7000人に到達、この4ヶ月で4000人増
貊村物語(5)
【資本主義の向こう側へ】新オイルが出荷間近 8000人の株主と共に第2章が幕開け
1万人で創る、
高く買って安く売る、利益を出さない会社
貊村 -myakuson-
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*三宅商店も貊村スタッフとして活動しています。
会員登録に際しては「世話役氏名欄」に「三宅洋平」
*輸送コストを最小限に抑えるため、株券+6本、12本の箱単位での注文に限定。
*株券は千円、1人1枚まで。(転売不可)
はじめての方は、まず株主となることで、[れなり]を株主価格で購入することが出来ます。ネットショップ[貊村リンク]にて購入手続きしていただき株主登録完了となります。
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オリーブオイル「れなり」について(「れなり」は無農薬、圧搾法のオイルです)
http://myakuson.co.jp/info_renari/
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商品名 : 株券+[れなり(1本500ml)] ひと箱(6本)セット
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・1本(500ml 深緑の遮光ガラス瓶)あたりのオリーブ品種のブレンド比率
70% オヒブランカ 、15% アルペキーノ、15% ピクード
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【酸度=0.21%】
・[貊印として、人様の身体・意識を作る命を扱うにあたり最低限の当たり前の事として表記はしておりませんが、[れなり]はスペインの有機認定を受けたエキストラ・バージンオリーブオイルです。](貊村社是参照)
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