(七)1票の格差訴訟 ・高松高裁(2013/12/16

20137月の参議院選挙が「法の下の平等」を定める憲法に反しているとして選挙無効を求めた訴訟が全国各地で起こされています。私が当選した香川県選挙区については1216日午後、高松高裁が「選挙は有効」との判断を出しました。

ただ、高松高裁は「選挙区間における議員1人あたりの選挙人数の最大較差が14.77に至っていたことは、違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等が生じていたものといわざるを得ない」との厳しい注文もつけました[1] 。 

私は、現在の憲法の規定のもとで、有権者の住む都道府県により投票の重み(1票の価値)が著しく不平等となっている状態はかねて由々しき事態だと考えておりました。自著でも詳しく記してきました[2]

2013年夏から立法府の一員になった以上、きっちり合憲となるような選挙制度の実現に向け、取り組む所存です。

参議院の選挙区選挙において、議員1人当たりの有権者数から1票の重みを比べてみますと、私が生まれ、住んでいる香川県の有権者は約83万人。定数は2人。任期6年で3年に1度、交互に選挙があります。

北海道は有権者数約460万人、定数4人です。つまり、議員1人当たりの香川県、北海道の有権者はそれぞれ約41万人と約115万人で、香川県の人は北海道の人より、2.78倍も優遇されています。

一方で、鳥取県は有権者数約48万人、定数2人。議員1人当たりの有権者は約24万人。香川県の0.58倍で、香川県の有権者は逆にとても冷遇されています。

住むところによって投票価値にこれほどの差があることの合理的理由を子供に説明することができるでしょうか?

田舎の実情、地方の声を国会に十分に届けるためには単純な人口比例はおかしいという意見があります。私もこの主張には強く共感します。ただ、「法の下の平等」「多数決原理に基づく民主主義」を掲げる今の憲法が、鳥取県と北海道の最大格差約4.77倍を許容しているとはなかなか考えづらいのです。北海道の有権者は鳥取県の有権者の0.2票程度で我慢しなさいと、どうして言えるのでしょうか。

解決策は現行憲法のもとで投票価値が平等になるよう定数や区割りを大幅に見直すか、または、参議院の選挙区選出議員に、田舎の声、地方の実情を国会に十分、伝える性格をきちんと位置づけ、場合によっては投票価値の格差を認めるよう憲法を改正することなどが考えられます。    

                
 


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[1]  結果的に高裁判決は「本件選挙までの間に本件定数配分規程を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとまではいえず、本件定数配分規程が憲法に違反するに至っていたということはできない」とした。



[2] 三宅伸吾『Googleの脳みそ』(日本経済新聞出版社・2011年)第3章「現代のガリレオ裁判」