かお村の復興は、ハード面で言うと基本的には、道路と住宅の再建になります。今日は住宅の方を取り上げます。

山古志モデル住宅写真は、山古志復興のために用意された「モデル住宅」です。住宅を再建したい人は補助金を受けることができるのですが、このモデル住宅を作ることが薦められます。企画段階で「できるだけ安く(800万円ぐらい)で作れるように」という目標は達成できなかったのですが、各方面の協力で1200万円以下という通常のモデル住宅よりずっと安い値段で提供できる設計になったそうです。

案内してくださったご担当の方は、このモデル住宅で3つの力点を説明してくださいました。
ビックリマーク・お年寄りでも使いやすく、外出しやすくする
積雪の多い山古志は1Fに倉庫や車庫を用意して2Fから階段で出入りできるようにするのが普通のため、足腰が弱くなると階段がバリアになって出歩けなくなる事が多い。それで1Fにも居住スペースを作ったり、内部に手すりをはったりなど、バリアフリーに配慮した。
!!・現地の産業復興という視点を重視
現地の大工さんに施工してもらえるように、しかも一斉に建ててしまわず少しずつ建て増しできるように(そうでないと大工さんの来年の仕事が無くなってしまうから)する。木材も近くの杉などで作っています。
アップ・文化を再建するという視点を持たせる
単なる建物の再建ではなく、「美しい山里の景観」の再建でもなければならない。積雪など山古志の自然環境でも過ごしやすいだけでなく、木の良さを生かしたり、色調を黒と白で統一したりなど、日本家屋の文化を生かした外観にした。

山古志・竹沢復興住宅団地それぞれの家を再建するのではなく、地域の文化や共同性(コミュニティ)を復活させるような家であって欲しい。この視点には、阪神淡路大震災以降のコミュニティ復興のノウハウが、惜しげもなく生かされている気がします。確かに以上の視点でつくられた、戸建てや二個一(一個に二世帯住める共同住宅)で構成された「竹沢復興住宅団地」は、山古志の棚田とぴったりマッチして、美しい村になっていました。

天空の里ただ、その趣旨が完全に生かされたとは言い難いのも、現状かと思いました。例えば写真は被害が最も大きかった(死者も出た)集落が、山上の小学校跡地に集団移転してできた「天空の里」なのですが、モデル住宅の数が少ないんですね。みなさんどうしても自分たちの昔の家に似せたり、好みや目的もあって、モデル住宅ではなく各自の考えで設計した家を建て直すということも多いのだそうです。

家は個人の自由の最たるものです。各人のライフスタイルですから。一方で景観や地域の共同性のためには、モデル住宅のような統一感が欲しい。復興は、地域生活と個人生活の関係の再構築を求められる過程でもあるのですね。

続きます!べーっだ!