「世界の情報アクセシビリティ最新活動状況」セミナーの報告の続きです。標準化は変化にどう対応するのか、ということで、前回は技術の変化を取り上げましたが、今回は「利用者=ユーザー側」の変化について、書き留めます。おそらく前回より重要。
2. ニーズの発見と変化
変化するのは技術だけではないんですね。一番重要なのは、利用者の「ニーズ」も急速に変化していること。できるようになると、新たなことがしたくなる。それじゃない違うことがしたくなる。し、実際にできるようになる必要がある。パソコン教室でも同じです。
「ニーズの発見と変化」は、単に従来のユーザーニーズが変化するだけではありません。新しいユーザーが発見され、参加してくる方が、より大きな変化をもたらします。
19日で一番時間が割かれていたのは、ISO/IECのJTC1 Information Technology におけるSpecial Working Group – Accessibility ISO/IEC 29138です。まあ、情報アクセシビリティの国際的な規格ということで。
ISO(国際標準化機構)・IEC(国際電気標準会議)についてはここで。
http://www.jisc.go.jp/international/isoiec.html(日本工業標準調査会)
情報アクセシビリティの規格内容そのものはここで。
http://www.jtc1access.org/(JTC1 SWG-Aのサイト)
そのTechnical Report(TR・技術仕様書)についての報告で、とてもおもしろいことを言っていました。現在、TRで扱っているUser Needs Summary、つまり利用者のニーズは、150分類あるそうで、しかもそれはどんどん増えているのだそうです。
19日の報告段階で、一週間前の事前資料よりも10ぐらい増えていました。しかも、「昨日の時点の数字。今日も増えるかもしれない。」まさに、標準化しようとすればするほど、新しいユーザーニーズが発見され、その包括をしなければならないという、困難さそのものですね。
「Web上でどんどんアップデートしていくから平気」みたいなこと言ってましたが、これはず~っと続く苦労なはずですし、そうでなければ、おかしい。
すべての(ほとんどの)人のために、という試みは、永遠の試み。標準化の重要性と、だからこそつきまとう本質的な困難が、透けて見えます。
さらに大事なのは、そのような動的な規格に合わせなければならない制作者側の負担です。いや、やらなければならんのです。だから、本質的な困難なんですね。
同じ事はWebアクセシビリティでもあるみたい。WAIのJudyが「WCAG 2.0 のLast Call Working Draft(最終作業草稿)は、最終なのに2回も出した」と。「次々重要な提案が出るのに対応するため」で、会場の笑いをとったわけですが、笑いながら私は「じゃあ、3.0のLast Call Draftは3回だな」と考えてました。4.0は4回、5.0は・・・技術も利用者も社会も、常に変化し続ける。しかも多様性を増していく方向に。そのなかで、標準化はますます複雑になる。
これは、悪いことではない。だってみんな多様に生きられるんだから。UDの究極の目的です。
ただ、そのUDの目的は、技術の標準化のみで実現はしないのでしょうね。どこかで限界が見えてくる。そのテクニカルな限界に、今度はユーザー側が合わせて、折り合わなければならなくなる時点は、それほど先ではない気がしました。今回のセミナーを聞く限りは。例えば、WAIが高齢者向け対応としてはじめたWAI-AGEは、Educational materialsということで、とてもいい線ついていますね(障害者向けノウハウの高齢者対応なので、目的は違うのでしょうけど)。
WAI-AGE http://www.w3.org/WAI/WAI-AGE/
製作側が、UDしなければならないことは理解された。これは、義務。次は、おそらくユーザー側が、これらの標準化をを理解し、それを生かしていかなければばならない。ここから先、UDもアクセシビリティも、ユーザーが待ってるだけでは進まなくなる。ユーザーがいかに賢く利用していくのかが、すごく重要になっているのではないか。
UDや情報アクセシビリティのボールは、すでにどう利用するか、いかに賢い利用者たり得るかという点で、消費者・ユーザー側に投げられつつあるのかな、と思います。教育プログラムでもある宮城UPも(しょぼしょぼですが)、その小さなきっかけになれればな~と思っています。
その前に、このblogをなんとかしないと。アメブロさんに直接、言おう。
2. ニーズの発見と変化
変化するのは技術だけではないんですね。一番重要なのは、利用者の「ニーズ」も急速に変化していること。できるようになると、新たなことがしたくなる。それじゃない違うことがしたくなる。し、実際にできるようになる必要がある。パソコン教室でも同じです。
「ニーズの発見と変化」は、単に従来のユーザーニーズが変化するだけではありません。新しいユーザーが発見され、参加してくる方が、より大きな変化をもたらします。
19日で一番時間が割かれていたのは、ISO/IECのJTC1 Information Technology におけるSpecial Working Group – Accessibility ISO/IEC 29138です。まあ、情報アクセシビリティの国際的な規格ということで。
ISO(国際標準化機構)・IEC(国際電気標準会議)についてはここで。
http://www.jisc.go.jp/international/isoiec.html(日本工業標準調査会)
情報アクセシビリティの規格内容そのものはここで。
http://www.jtc1access.org/(JTC1 SWG-Aのサイト)
そのTechnical Report(TR・技術仕様書)についての報告で、とてもおもしろいことを言っていました。現在、TRで扱っているUser Needs Summary、つまり利用者のニーズは、150分類あるそうで、しかもそれはどんどん増えているのだそうです。
19日の報告段階で、一週間前の事前資料よりも10ぐらい増えていました。しかも、「昨日の時点の数字。今日も増えるかもしれない。」まさに、標準化しようとすればするほど、新しいユーザーニーズが発見され、その包括をしなければならないという、困難さそのものですね。「Web上でどんどんアップデートしていくから平気」みたいなこと言ってましたが、これはず~っと続く苦労なはずですし、そうでなければ、おかしい。
すべての(ほとんどの)人のために、という試みは、永遠の試み。標準化の重要性と、だからこそつきまとう本質的な困難が、透けて見えます。さらに大事なのは、そのような動的な規格に合わせなければならない制作者側の負担です。いや、やらなければならんのです。だから、本質的な困難なんですね。
同じ事はWebアクセシビリティでもあるみたい。WAIのJudyが「WCAG 2.0 のLast Call Working Draft(最終作業草稿)は、最終なのに2回も出した」と。「次々重要な提案が出るのに対応するため」で、会場の笑いをとったわけですが、笑いながら私は「じゃあ、3.0のLast Call Draftは3回だな」と考えてました。4.0は4回、5.0は・・・技術も利用者も社会も、常に変化し続ける。しかも多様性を増していく方向に。そのなかで、標準化はますます複雑になる。
これは、悪いことではない。だってみんな多様に生きられるんだから。UDの究極の目的です。
ただ、そのUDの目的は、技術の標準化のみで実現はしないのでしょうね。どこかで限界が見えてくる。そのテクニカルな限界に、今度はユーザー側が合わせて、折り合わなければならなくなる時点は、それほど先ではない気がしました。今回のセミナーを聞く限りは。例えば、WAIが高齢者向け対応としてはじめたWAI-AGEは、Educational materialsということで、とてもいい線ついていますね(障害者向けノウハウの高齢者対応なので、目的は違うのでしょうけど)。
WAI-AGE http://www.w3.org/WAI/WAI-AGE/
製作側が、UDしなければならないことは理解された。これは、義務。次は、おそらくユーザー側が、これらの標準化をを理解し、それを生かしていかなければばならない。ここから先、UDもアクセシビリティも、ユーザーが待ってるだけでは進まなくなる。ユーザーがいかに賢く利用していくのかが、すごく重要になっているのではないか。
UDや情報アクセシビリティのボールは、すでにどう利用するか、いかに賢い利用者たり得るかという点で、消費者・ユーザー側に投げられつつあるのかな、と思います。教育プログラムでもある宮城UPも(しょぼしょぼですが)、その小さなきっかけになれればな~と思っています。その前に、このblogをなんとかしないと。アメブロさんに直接、言おう。