光造形方式の3Dプリンタを利用していて、少なからず「面倒くさい」と感じていたのが「サポート材の除去」という工程です。
3DCADで寸分違わず設計しても、サポート材を少なくしすぎると失敗の可能性が高まり、サポート材を増やしすぎると除去作業が面倒になり、何度も調整しては出力しての繰り返しを行う必要があります。
▲光造形3Dプリンタで出力した造形物に付いたサポート材の例。造形物に横線が入ってしまい出力に失敗。
超音波カッターは40kHzという高周波数で振動するヘッド部にデザインナイフなどを装着し、プラスチックや木材・紙などを切断・研磨するための電動工具で、これまでは主に産業用途に用いられていました。
近年ホビー用途では一部メーカーによる製品が流通するようになったものの、お値段はエントリーモデルでも3万円~4万円程度と、工具としてはどうしても「高価」な部類に入る領域でした。
このような情勢の中、1万円台で買える超音波カッターが登場します。それが今回購入した「JAKEMY JM-Y10 PRO」になります。
AmazonではOEMで複数のブランドからリリースされているようですが、この手の中華ブランドではよくある話なので、今回はAmazonにて明らかに「JAKEMY JM-Y10 PRO」である商品で、PSE法に対応している商品をチョイスいたしました。
また、ショップによっては中国本土から航空便で送られてくるケースもありますが、昨今の日中情勢で荷物が届かないなんてトラブルになるのも面倒ですので、国内発送であることを確認した上で発注しております。
注文の翌日には到着した訳ですが、お仕事の関係で開封までちょっと時間が空いてしまったのは致し方なし。まずは届いた状態のパッケージを確認してみます。
▲外箱は紙製で、英語表記のみのスタイリッシュなもの。箱絵はプラモデルのゲートをカットしている様子?
▲外箱裏面には封入されているUSB-Cアダプタの国別表記の「JP」にチェックが入っている。
実のところ、Ali Expressでは日本向け版の選択肢が見当たらなかったのもAmazonで購入した理由です。
▲外箱から出てきたのはキャリングポーチ。本体・付属品は全てこの中に格納済でした。
▲キャリングポーチの中はこの様になっている。
JM-Y10はUSB PD(Power Derivery)を利用した出力35Wの超音波カッターで、本体を直接持って作業する「ハンドヘルド」式のものになります。付属のAC-USBアダプタは「SANGU SG-PC34MP」という中華メーカー製のPSE適合・USB-PD 35W対応の充電器で、Type-CケーブルもちゃんとPD給電に対応していました。
なお、JM-Y10はバッテリーを内蔵していませんので、「コードレス」ではありません。Type-Cケーブルは1.5m程の長さがありますが、PDに対応した取り回しの良いケーブルを別途調達するのも良いかと思われます。
▲JAKEMY JM-Y10の本体。筐体は金属製で、それなりの重量を感じる。
本体への給電を行うと白色OLEDのディスプレイが表示され、電源が入ります。この状態で中央のモード切替スイッチを動かしてモード切り替えを行ないます。
素材や用途にあわせて「High」「Low」の2段階で強さを調節出来ますが、最も使いやすいと感じたのは「Auto」モードでした。
「Auto」モードに設定するとジョグスイッチ(本体を握ると人差し指で押すことになるボタン)の周りが青色に発光し、ジョグスイッチを押さなくとも先端に対象物が触れた事を自動的に感知して「ON」になり、切断が終われば勝手に「OFF」になるという非常に使い勝手の良いモードです。
ディスプレイには時間及び温度のインジケーターが表示され、長い時間使い続けたり内部温度が上昇すると保護機能が働いて自動停止するようです。
本体には熱を逃がすための穴がいくつかあるのですが、冷却ファンが内蔵されている訳ではないので、自動停止した場合は自然に温度が下がるのを待つ必要があるとのこと。
▲JM-Y10を「Auto」モードで試し切りを行う様子。対象物に触れてから切れ始めるまで若干タイムラグがある。
さて、ここからは実際に超音波カッターの実力を確かめてゆきます。ちょうどこの日はKATOのAssyパーツで「Z06-0227 キハ40 ホロ」を購入してきた為、ランナーから切り離してパーツケースに格納する必要がありました。
先述の「Auto」モードでランナーとパーツの接合部に当てると、ちょっと遅れて切断が始まります。が、カッターマットに置いた状態でペンをガッチリ握った状態では、ナイフは対象部分を「ヌルっ」と切断してそのままカッターマットにも「ズブっ」と切り込んでしまい、慌てて刃を引き上げました。
タイムラグの感覚を掴むために、今度はランナー部分を使って試し切りをしてみます。どうやら刃の部分を対象物に当てる時は、切りたい所に刃を「乗せる」程度で良く、超音波振動が始まったら「ぬるり」と切断が始まる感じがわかってきました。
▲紙箱の角を切り落としてみた所、プラスチックよりもすんなり切断できた。
紙についても同様で、刃を当てるとワンテンポ遅れてヌルヌルっと刃が進み出す。これなら精密なペーパークラフトの切り出し作業もストレスなく進める事ができる筈です。
▲TOMIXの架線柱に含まれる土台パーツをランナーから切り出す様子。
付属する刃先は数種類あり、特に平たいタイプのランナーであれば「平刀」タイプの刃がやりやすいと思いました。
「Auto」モードの場合は常時ONの状態ですので温度の上昇が気になりますが、よほど細かいランナーパーツで無い限りは、特にストレス無く作業を進めることが出来ると思われます。
▲架線柱の土台ランナーを練習のために細切れにした所。切断面も非常に綺麗。
ニッパーで切断すると破片や細かいパーツが飛び散ったり、隙間などに入り込んだりする場合がありますが、超音波カッターでは切断した部品が飛ぶ事がまずありません。
以前、ステーションタイプの超音波カッターをホビーショーなどで触って「いつかは欲しい」と思っていた訳ですが、ようやく手の届く価格帯になり非常に喜ばしい限りです。
3Dプリント品の後処理も含め、今後の模型作業に威力を発揮してくれることを期待しております。

















