BORDER その後の大宮編 12 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

俺今日ここでしんじゃうのかな。


ねぇ。しんじゃうのかな?





って、本気で思った。まじでね。





電話は繋がらない。ラインは既読にならない。開いてる窓はない。寝不足の上に暑い。飲み物もない。近くに自販機らしきものもない。コンビニもない。





帰ればいいんだよ。帰るまでしなくてもさ、駅まで戻ればさすがに自販機ぐらいあるでしょ。





でも。


寝てるだけで家に居るのかもしれないじゃん。


ちょっとだけどこかに行ってるのかもしれないじゃん。


もう戻って来るかもしれないじゃん。





って、思ったら。動けなくて。





日陰には居た。でも、暑い。どんどん気温が上がってってる。汗が出る。なのに補給する水分がない。





あとちょっと待って、それでもダメなら、居ないなら、戻って来ないならとりあえず駅に行こうって、日陰に座ってた。


あと少しあと少しが、5分5分5分の足し算でどんどん長い。長くなって。





頭、くらくらしてきた。





これって噂の流行りの熱中症?


俺、流行には疎いのに。のっちゃった?のっかっちゃった?





気持ち悪い気がする。頭も痛くなってきた。


もう、動けないかも。動きたくない。無理。





智さん。





何してんだろ。俺。


何してんの。アンタ。





腹たつとか通り越して、もう笑っちゃうよね。


会いたくて会いたくて、終業式昨日で今日来いってさ。


ちょっとはアンタも、少しでも早く俺に会いたいってこと?って、バカみたいに浮かれて。俺。





空回りなの?結局。


アンタはそうでもないの?なかったの?





玄関の横。





座ってたけど、座ってるのもツラくて、座ってもいられなくて転がった。





しんじゃうのかな。このまま。アンタに会えないまま。


どこに居るんだよ。せっかく来たのに。来てやったのに。何しにって、アンタにヤ られにだよ。なのに。





「和⁉︎」





頭ぐらぐら。ずっきんずっきん。気持ち悪い。ぐるぐる。





「大丈夫か⁉︎和⁉︎」





声。と。アンタの。


伸びて来る手。俺に。





ああ。


会いたかった。会いたかったよ。すごい会いたかった。会いたくて。会いたくて。





「………何で居ないんだよ。ばーか」





黒いアンタが、ひょいって俺を。


抱き上げた。





「ごめん」





よかった。





しななかった。会えた。





黒いアンタの首に、汗だくのアンタの首に、俺は腕を絡めた。