むかし、学期末試験だったと思うが、罫線が引かれた答案用紙に
「今までの授業を踏まえ、問題を作成し、その問題に答えよ」
と1行書いてあるものだった。
この問題は、非常に難しかった。
何がむずかしいって。
答える方も採点する方も非常に能力を必要するからだ。
授業内容は、経済一般から抽象される事象に関しての研究成果を時系列に並べたものであったと思う。
まず、与件となるのは、今までの授業内容。
これは、毎回出席して、授業内容を把握しておかなければならない。
次にテーマの設定。
おおよその試験がそうだが、テーマは設定されていて解答は一意に決まるものが多いので、たとえ文章の作成を行うものでも、キーワードを列挙し、それを論理的に並べれば、あとは表現力の差はあるにせよ、正しい解答にむすびつく。
また、試験対策もしやすい。
ところが、この問題は授業内容を整理し理解した上で、自分の問題意識として1度でも考えていなければ、答えようがない。
いざ、答えようとしても、その問題意識をどのような構成で表現していくのかも難しい。
試験時間は、1コマたっぷりあるが、解答用紙を埋めようとすると時間はないと考えたほうがいい。
これが解答する側の苦労。
ひとつだけ利点があるとすれば、対策がないというか、ムダなこと。
採点側としては、何百人といる、学生の答案を見るわけだが、問題の設定も、解答の内容も硬軟おりまぜ、論理構成や表現力が多様であるので、採点基準をどこにおき、それをどれだけ公平中立に守れるかがむずかしい。
おそらくは、この問題のねらいは、学生の問題意識がどこにあるのかということ、その問題意識をどのように表現し、相手を説得することにあるはずだから、そこらへんができていれば、それなりに点数はとれるのかと思って試験に臨んだような記憶がある。
今、思えばこの論理展開って、普段の社会生活の中で求められているものだとつくづく思う。