
道長が走って倫子の元へ
「中宮様が、ご懐妊あそばされた。急ぎ、知らせに戻った」
一条天皇「懐妊の祝いに中宮に しるしの帯を送る。手配いたせ」
彰子にまひろが呼ばれた。
「今日は 気分がよいゆえ内緒の話をしたい。藤式部は、何故漢籍に詳しいのだ?」
まひろ「父が学者でございましたので、幼い頃、弟に父が漢籍を読み聞かせているのを聞いて覚えてしまいました」
彰子「私には 無理であろうか・・・」
まひろ「学ぶことは いつからでも始められます」
彰子「以前、帝が藤式部と話しておられた・・・。あれは何の話だ?」
まひろ「白居易の新楽府の一節にございました。唐の国の白居易という詩人が民人の声を代弁し為政者のあるべき姿を示した漢詩にございます。帝のお好きな書物と存じます」
彰子「それを学びたい。ないしょで。亡き皇后様は漢籍もお得意だったのであろう?私もひそかに学んで帝を驚かせ申し上げたい」
道長は、斉信、公任、行成と酒を酌み交わすものの喜びを隠しました。
道長「次の東宮様のお話をするということは、帝が御位をお降りになる時の話をするということだ。この話はもう終わり」
道綱が居貞親王に、花山の御隠れの話をした。
「ご在所にて 厳かなご最期であったと聞いております。これで冷泉天皇の子は私だけになってしまった。我が子、敦明が次の東宮にならねば、冷泉の皇統は途絶える。中宮様のお産みになる子が皇子でないことを祈るばかりだ」
彰子が敦康に「しばらく里に帰りますが・・・子が生まれても、親王様のお心を裏切るようなことは決してございませぬ」
彰子は出産のため土御門殿に退出した。
倫子はまひろの部屋も用意した。
倫子「人見知りで口数も少なく笑顔もお見せにならなかった中宮様が帝のご寵愛を受け見違えるほど明るくなられた。藤式部の物語の力が、帝のお心を変え、中宮様を変えたのだと 殿から聞いておる。母として、私は何もしてやれなかったがそなたが中宮様を救ってくれた。心からありがたく思っておる」
まひろ「そのような・・・お方様もったいのうございます」
倫子「どうか これからも中宮様を頼む」
まひろが彰子に漢詩を教えているところに道長が、彰子のところに子供たちを連れて来た
子ども「あれ誰?」
彰子「こちらは藤式部、私の大切なご指南役ですよ」
女房が衛門に、道長とまひろの関係について、問いただした。
清少納言が伊周を訪ね「私は 皇后様ほど お慕いしお尽くし申し上げた方はございません。今も竹三条宮で脩子内親王様にお仕えしつつ、毎日亡き皇后様を思い出しております」
伊周「秋には、中宮にお子が生まれよう。何もかも 左大臣の思いのままだ。藤式部という女房が帝のお心をとらえ奉る物語を書き、次第に帝のおみ足が藤壺に向かわれるようになったらしい」
清少納言「藤式部…それは どういう女房でございますか?」
伊周「前越前守の娘といったかな…」
驚いた清少納言「その方が、帝のお心を引き付けまいらせる物語を書いたのでございますか」
伊周「帝はそなたの『枕草子』を破れるほどお読みになっておったのに、今はその者の物語をいたくお好みだそうだ」
清少納言「伊周様その物語を 私も読みとうございます」
帝の子の出産時には 漢文による公式記録をつけるのが通例であった。
道長「藤式部、頼みがある。中宮様のご出産の記録を作ってもらいたい」
まひろ「公の記録など 私には・・・」
道長「中宮様のおそばにいて、中宮様のお心をよく分かっているお前にも書いてもらいたい」
まひろ「承知つかまつりました」
具合が悪くなった彰子「私も死ぬのであろうか。亡き皇后様も最後のお産で身まかられた」
まひろ「ご気分がお悪くていらっしゃいますか?」
彰子「母上に心配はかけたくない。そなたがおればよい」
伊周が彰子を呪詛していた。
道綱も読経を始めた。
道長「どうかお静まりくださいませ」
伊周の刃が折れた。
やがて赤ちゃんの声。
倫子「皇子様にございます」
道長「皇子であったか・・・」
俊賢が明子に「これで左大臣様も盤石だ」
明子「うちの寛子も必ず入内させます」
俊賢「子らを 政争の具にするなと左大臣様も仰せになっておったぞ」
明子「殿の言いなりにはなりませぬ」
一条天皇は敦成(あつひら)と名付けられた若宮に会いに土御門殿に行幸した。
一条天皇「朕に抱かせよ」
一条天皇はこの日敦成に親王宣旨も下した。
五十日(いか)の儀(50日の祝い)
道長「無礼講ゆえ、いくらでも酔ってくれ」
公任、実資、顕光ら公卿たちは羽目を外し、公任は酔った勢いでまひろに「このあたりに若紫はおいでかな」「若紫のような美しい姫はおらぬのう」と絡んだ。
まひろ「光る君もおりませぬ。若紫もおりませぬ」
道長「藤式部、なんぞ歌をよめ」
珍しく道長があうんの呼吸で歌を重ねた。
これまでも二人の仲を怪しんでいた女房たちは「あうんの呼吸で歌を交わせるなんて…」と疑惑を強く抱いてしまいました。
赤染衛門がまひろに「左大臣様と貴方はそういうお仲なの?」
前回の「光る君へ」の記事はこちら(2024年9月22日)
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では、明日。