患者 vs 医者 | Dr.ミーヤンの下手っぴい釣りブログ

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30歳代から釣りを始めた中年アングラーの釣りブログです。釣りを始めるのが遅かったから、若人みたいに
技術が向上する訳でもなく、それでもお魚さんと出会いたいために、頭を使って釣りをしています。

            患者 vs 医者

いつからこんな構図になってしまったのでしょう。
25年前まではこんなことはなかったように思います。

患者は医者の言うことを良く聞き入れ、その期待に添うため医者はできるだけの
手を尽くす、そんな当たり前のことが難しい昨今。




その大きな原因が、厚生労働省(厚生省)の思惑ではないかと思います。


厚生省(当時)は団塊の世代が高齢に近づくに従って医療費が増大することを
20年以上前から捉えていて、医者向きの講習会には医療費が年間1兆円ずつ
増加していく
と声高に訴えていました。

この事実を一般に公開して国民全体に危機意識を持ってもらう努力を怠り、医療
業界だけに訴えていたのです。



そこで、厚生省は国民負担を増やすことより、医療費の削減に乗り出しました。
つまり、国による値引きを医療業界に強制し続けた訳です。


収入源を補うために医療業界は当然、薄利多売的なことを始めざるを得ず、
そのための保険審査は年々増大を続け、厚生労働省だけでは審査しきれなく
なってしまいました。

それなら審査するマンパワーを増やせば良いのですが、それには膨大なコストが
かかります。


ならば、次に厚生労働省が打ってきた手が、患者に現在受けている治療をチェック
させればいい
ということでした。

そのため、患者側に欧米の患者権利である、

          インフォームドコンセント
           セカンドオピニオン


などを紹介し、患者側から医者に診断や治療の内容に異議申し立てするのは、患者に
認められた権利であるという意識を植え付けるきっかけになったのです。

折しも、マスコミが医者=悪者という構図で報道を繰り返していた頃ですから、厚生労働
省の思惑はまんまとはまり、患者側が医者に対して、不満や自己主張をするようになり、、

             患者 vs 医者

の構図が出来上がってしました。

また、患者と医者があたかも全てにおいて平等であるような誤解も植え付けられること
になったのです(実際はあり得ないですね。専門家が主導するのは当たり前です)。

医療制度の崩壊を待たずに、医者・患者の信頼関係が先に崩壊することになったのです。



その上、

         “医者の殺されない○▲の心□”ドクロ

などという、とんでもない最悪の健康本まで出てきました。
冷静になって読むと、この本だけで沢山の矛盾を抱えているのが分かります。

「病院に行く前に、かならず読んでください。」というキャッチコピーですが、私から言わせると、
「こんな本を読む前に、かならず病院に行ってください。」ですよ。この本に殺されかねませんビックリマーク



昨今は、ネットの発達もあり、容易に医学的知識を得ることができるようになり、この傾向
に拍車がかかりました。

しかし、いくらネットで医学的知識を得たからといっても、医者から言わすと付け焼き刃的な
知識
でしかありません。これを元に患者が自己主張を繰り返すのには何も良いことはあり
ません。

          “生兵法は怪我の元”

昔から良い諺がありました。これは今も医療の世界に生きているのです。