自宅の玄関にある、私の愛する息子の、

ローファーや、サッカーボール達、自転車、それらを目にするのは、しばらく耐えられなかった。


3ヶ月半ば、過ぎた今、

それらは段々、受け入れられる様になりつつある。息子の写真も、微笑んで見れる様になった。


だが、息子と私の共通の部屋、息子の部屋には、いまだに行けない。



私の愛する息子との、この現実は、

息子の姿が見えなくなって1ヶ月程、受け入れられなかった。息子の名前も、呼べなかった。

直後は、息子と過ごした幸せな日々の方が、

実は夢だったのかも、とさえ、過った日がある。


私の愛する息子は、我が子ではあるが、

彼氏の様な、相方の様な存在だ。


あまりにも突然過ぎて、私は息子の事を、

諦められないのに、諦めざるを得ない、

諦めざるを得ないのに、諦められない、

その繰り返しの、1ヶ月目だった。


現実逃避、してしまった後、現実が突如襲って来た時の、激しい後悔や激しい懺悔。

朝を迎えるのが、耐えられなかった。


息子に触れたく、声が聞きたく、たまらなく愛おしいのに、それが出来ない。

処理できない、息子への愛情。


動画やドラマが頭に入らない程、

愛する息子の事を考え続けながら、ただデジタル時計の秒数を眺めるだけの、2ヶ月目だった。


感情的、悲嘆的な日々は変わらない。

息子の部屋がよく見える、息子との共通の部屋で

なかなか過ごせない。寝室で寝れない。


息子の事を考え過ぎて、他の音が頭に入らない。

いつまで私は、朝を迎えなきゃいけないのか。


ただ前程、涙は出なくなってきた。

心に蓋を、してるのか、してないのか。

感情が行ったり来たりな、3ヶ月目が過ぎた。



先週、自分の寝室で寝らざるを得なくなった。


寝室のベッドからは、息子との共通の部屋にあるTVがよく見える。


息子は、夜友達とわーわー言いながら、よくそこでTVゲームをしていた。

私はそんな、楽しそうな息子の後ろ姿を、よく何枚も写真を撮っていた。


見慣れたいつもの部屋の光景に、愛する息子の姿だけ見えない、

のは、もうわかっては、きたのに。


久しぶりの、息子の物だらけの場所。


いつもの息子の笑い声、生活の音、は、もう聞こえない。寂しい感情を、抑え込んだ夜だった。



その明け方、寝室の窓から朝焼けを見た。


カーテンを初めて閉め忘れた為、その時、初めてこの寝室の窓から、朝焼けが見れる事を知った。


〇〇くん、この窓から朝焼けみれたよ


私は愛する息子に、直接そう、伝えたかった。

それが出来ないこの現実を、また思い知った。


どうか夢であって欲しい、から始まった、今までの全ての悲嘆的な感情が全て復活した、辛い週がまた始まった。


だけど以前の様に、

激しくまた泣く、という事は、なくなっていた。



今朝、また朝焼けを見てしまった。

やはり、今日も、美しいとは、思えない。


だが、思わず息子に、

〇〇くん、ほら、また見れたよ

と、心の中で、話しかけていた。


先週朝焼け見た時は、話しかけられなかった。


息子に触れられないのは、永遠に続く辛さだ。

絶対に、平気になるはずは、無い。


ただ、愛してる、恋しいのは当たり前、

としか息子に伝えられなかったのに、無意識に、それ以外の言葉を、息子に話しかけていたのに、驚いた。


今の息子に、私は話しかければ良いのかも。


常に息子を思い、何度も何度も行き来する、辛い感情。耐えられないのは、当たり前の事。

だけど、


〇〇くんあの時こうだったね、ああだったね。


私の愛する、今の息子を、感じられる様に。

いろいろ話しかけたいな、と、思えてきた。


穏やかに優しく。

いろいろな事を、今の息子に話せる様に。

これからはそれを私に、癖つけてみようかな。


愛する息子と私の共通の部屋。

何だかだんだん、恋しくなってきたな。