ブルース・リウはなぜ地元で“スター扱いされない”?
モントリオールでの意外な現実またまたBruce Liuのインタビュー記事についてです。(パリ生まれ、モントリオール育ち、両親は中国出身)最近、モントリオールでのインタビュー記事がとても興味深い内容なのですショパン・コンクール優勝後、世界的に活躍していますが、意外にも地元モントリオールでは「スーパー・スター」という扱いではないようです。もちろん、クラシックファンの間ではよく知られていて、彼が出演するコンサートは満席になるとのこと。それでも、一般的な知名度やメディアでの扱いは控えめだそうです。⸻なぜなのでしょうか?記事によると、その理由の一つは活動の拠点が完全に“国際的”であること。ドイツ・グラモフォンと契約し、特定の地域に属するというより、“旅するピアニスト”という印象です。また、インタビューでも本人は「メディアの扱いは気にしていない」とあっさり語っています。それよりも「音楽に向き合う時間の方が圧倒的に大事」という姿勢が印象的でした。ブルース・リウらしいですね。⸻さらに興味深かったのは、彼の音楽観です。オーケストラとの共演を通して他の楽器を“想像しながら弾く”という考え方に変化したとのこと。たとえばチャイコフスキーの協奏曲ではハープ的な響きを意識したり、ベートーヴェンでは弦や管楽器の存在を感じながら演奏する。⸻この話を読んで、私はこれまでの来日公演を思い出しました。「なぜか海外の演奏と印象が違う」と感じたことが何度かあったのですが、それは単純な出来・不出来ではなく環境(ホール・リハーサル・オーケストラとの関係)によって大きく変わるのだと、改めて納得しました。なんだかそんな事を考えることが多くなっていたのです。やはり日本は遠く、時差もあり、リハーサルの時間はヨーロッパより短く限られているのだと思います。⸻そしてもう一つ印象に残ったのが、音の届け方について。彼は「最後列の観客に届くように弾く」という考えに影響を受けたと語っています。(ルービンシュタインの言葉ですね。)以前は細部にこだわっていたものの、それだけでは伝わらないことに気づいた、と。⸻こうした考え方の変化は、最近の演奏にも確実に表れているのでしょうね。⸻地元では控えめな扱いでありながら、世界では確実に評価を高めているピアニスト。そのギャップもまた、彼の今の立ち位置を象徴しているのかもしれません。⸻そして私は、次に聴く予定のチョ・ソンジンの協奏曲にも思いを巡らせています。同じ現代のトップピアニストでも、その在り方や音楽の作り方は大きく異なるはずです。とても楽しみ😊実際にどう聴こえるのか、自分の耳で確かめてきます。▼インタビュー記事OSM | Le pianiste montréalais Bruce Liu, superstar sur la planète classique... Et chez lui ?