#シェ松尾
#成城学園前
味、盛り付け、景色、接客。
すべて素晴らしい✨✨

十年前に教室を立ち上げたとき。

セレブタウン成城学園前の高級フレンチ シェ松尾(有名芸能人が通う店)で、大手楽器店の社長が開校祝いにおごってくださった。

そのとき「ハープ業界は1000万円のハープを2人の金持ちに買って頂く商売をしてきた。その伝統を守ってほしい」

とアドバイスを頂いた。

それで、私が「それよりミニハープを普及させてハープ人口を増やしたほうが、業界が活性化しませんか?ハープの美しい音色をメディアで紹介したり、ミニハープでも弾ける教本を出版したら、ハープをやりたい人はたくさんいると思います。でも、やりたくても楽器が高すぎて買えないなんて、残念じゃないですか?」

と聞いたら楽器店の社長様は

「貧乏人はハープ弾かなくていいのよ」

と、フレンチ料理を食べながらさらりとおっしゃった。

若くて生意気だった私は、

「じゃあ、20万円のミニハープを100人が買う時代に私が変えてみせます!」

と言い返したけど…

「利益は同じでも、1000万のハープを2人に売ったほうが製作スタッフの賃金が安くて済む。グランドハープもミニハープも作る手間はあまり変わらないから。あなたがミニハープを普及させて誰でも弾くようになったら、セレブなお客様の特権が無くなるでしょう。そうしたら逆に伝統を守ってきた私達業界への営業妨害になるのですよ」

と、ご注意を受けてしまった。
✴︎
あれから10年。

今、本当に20万円のミニハープを100人が買う時代になった。

セレブ自慢の道具にするハープではなく、自分の心に優しく寄り添ってくれる心友のような存在としてハープが求められる時代となった。

昭和の経済高度成長期にがんばりすぎて疲れた人々。

ゴージャスなバブル期が崩壊し…ナチュラルな癒しを求める令和の高齢化社会。

私が時代を変えるなんて傲慢なことは出来ない。

自分がやりたい音楽と、時代の流れ。

それが偶然マッチしたときだけ音楽家は成功するのかもしれない。

東京芸大の先生から

「ハープ弾くときは膝上スカートはダメ。ジーンズは農作業をしやすいように作られたもので、演奏のときに履くものではないのよ」

と禁止されていた。

母からも「ハープに似合うのは華やかな柄物かレースかスパンコール付きの服」と決められていて、33歳まで自分で洋服を買えなかった。

だから反抗期の33歳のとき、はじめて自分で買ったジーンズが嬉しすぎていつも履いていた。

高級フレンチレストランにご招待頂いたときも、ジーンズを履いて行ってしまって…楽器店の社長様から「ハーピストのする格好ではない」と注意を受けた。

場所というのは不思議なもので、

10年ぶりに成城学園のシェ松尾店に来てみたら…そんな若気の至りで業界に反発してしまった頃の苦い記憶が蘇ってきた。

昨年リリースした私のDVDでも、懲りずに渋谷109で買ったミニスカートやジーンズを履いて演奏してるけどね…笑。

「先輩の皆様方がハープの上品な高級イメージを築いてくださったおかげで、今の世代が自由にやりたいことをやっても下品にならずに済むのですよね。ありがとうございます。」

と、今ならケンカせずに感謝できるから。

ぶつかりながら、、、

ちょっとずつ大人になっていきますね…笑

(本当は5万円くらいでハープが買えるようになってほしいなぁ)