母と手を繋ぐ子どもの頃の私




空の巣症候群

Empty nest syndrome


子どもが家を出たり結婚して巣立つときに、母親が感じる憂うつで不安になる苦しみの症状。


子育てに注いだエネルギーのやり場が無くなり精神不安定になるため、夫婦の離婚危機に発展することもあります。


ハープを始めるのに50代〜60代女性が多いのは、空の巣症候群に関係するかもしれません。


「子育てが終わり、はじめて自分のためにお金と時間を使うことができるようになった。今までがんばってきた私自身を癒したい」


と言う人が多いです。


人生の転換期を明るく過ごすお手伝いができて嬉しい。


10年前に家を出て一人暮らしを始めると宣言したとき。


母が包丁持って毎日のように暴れてギャンブルにハマって膨大な借金をつくった時期があった。


今思うと 空の巣症候群 の鬱状態だったのかな。


母もトレーナーとして毎日8時間練習を20年サポートしてくれたし、世界10か国も一緒に回ってくれたから。


娘と二人三脚で闘ってきたのに、プロになったら自立して家を出ていくなんて、母としては裏切られた気持ちだったのでしょう。


今、80歳になる母は鬱も治り、すっかり明るく元気な母に戻りました。


 伝統芸能で弟子を育てるプロセスを「守破離 」と呼びます。


初心者は先生の教えを「守」り、中級者はそれを「破」って反抗し、上級者は「離」れて独立。


子育ても同じなのかもしれません。


守破離 のプロセスを踏むには最低でも10年かかると言われます。


けれど、2、3年習って基礎技術が分かっただけで器用に弾けちゃう人は独立して離れていくことがあります。


そんな時は私も「せっかく誠心誠意育てたのに…。これからが楽しみだったのになぁ…」と教師として淋しく虚しく感じるものです。


守破離 の「離」まで極めた弟子に師範免状を与え、支部教室を開講する許可を出す。


このシステムは、立派に独立する弟子を応援する代わりに「絆は繋がっていてほしい」という家元の親心も込められているのでしょうか。


親も、我が子の自立を邪魔せず応援してあげれば、逆に絆が切れないのかもしれませんね…。