尾野真千子さん、江口洋介さん主演ドラマ「はじめまして、愛しています」。
世界的指揮者の娘でありながら、才能に乏しく挫折感を抱えて生きているピアニスト。
そんな彼女のピアノの音色に引き寄せられて、ある日突然やってきた謎の男の子。男の子は、親に虐待やネグレクト(育児放棄)を受けて言葉がしゃべれない…けれども、ピアノを通して心をひらきはじめ、彼女も夫と共に養子縁組を考えはじめるのだが現実は厳しく…?
愛着とは、親への「なつき」のスキル。
幼少期に、親からのスキンシップが少なかったり、不安定な精神状態の親に育てられると、ありのままの本音の自分を受け入れてもらった経験がない。
だから、大人になってからも周りの人たちの機嫌をとり本音と逆のことを言って媚びたり、人のあたたかさが信じられず孤独に逃げたり。
人間関係における適切な「なつき」方がわからず情緒不安定になります。
このドラマにも、愛着障害の特徴である様々な試練が描かれています。
第一の試練「試し行動」
第二の試練「赤ちゃん返り」
「試し行動」は、見捨てられ不安のトラウマがあるため、大切な人を激しく攻撃したり、冷たく無視したりして、相手の愛情を試してしまう衝動のこと。
これは、子どもだけでなく、30歳を過ぎた大人にも見られる代表的なもので、親子だけでなく、恋人や夫婦の間でも起こります。
(たとえば…「もう別れよう!」って好きな人に宣言するけど、本心じゃなくて追ってほしいだけ。「会社辞めます!」って上司に宣言するけど、本心じゃなくて引き留めてほしいだけ。っていうケースも試し行動の一種です)
「赤ちゃん返り」も、子どもだけでなく、成人した大人にも起こります。他人に対して赤ちゃんのように甘え、かまってほしくて泣いて困らせたり、大好きなあまりちょっとでも自分以外の人と仲良く話しただけでヤキモチを妬いて怒ったりと、依存を繰り返します。
(赤ちゃん返りの嫉妬は、恋愛感情のない同性に対しても、その人を親代わりと認識していれば起こるのが特徴です)
でも、「試し行動」も「赤ちゃん返り」も、本当に愛してほしい人の前でしか現れない。
愛してほしいからこそ、見捨てられたらどうしようと不安になるのは当たり前ですよね。
(親にも見捨てられたのに、他人が無条件で愛を注いでくれるはずがない。自分は愛される価値のない人間だ、人を愛することもできない欠陥人間だ、と考えてしまうんです)
好きでも嫌いでもない相手に対しては、普通に常識的に接することが出来ます。
だから、愛着障害というと特殊に聞こえるけど、そうでもなくて、意外と周りには陰で悩んでいる人がたくさんいると思います。
(私のところへ相談に来てくださるクライエントさんの8割以上は愛着の問題で苦しんでいらっしゃいますので)
ビジネスでは立派に成功していたり、立派な学歴がある人も多いので、外見からは分からないのです。(そういう人ほど笑顔で武装していますから)
もし、自分にとって大切な人が、この問題で苦しんでいたら…
責めたり叱ったりせず、思う存分やってもらったほうがいい。(といってもDVとかモラルハラスメントは我慢しないほうがいいですけど。それはまた別の問題なので)
止まない雨はない!と信じて…
ただ、待つ。
ただ、側にいる。
ただ、味方でいる。
実は…行動を起こすよりも、
待つことのほうが難しいんです。
何の見返りもなく「待つ」ことは、ホンモノの愛がなければ出来ない。
それが何ヶ月先なのか、何年先なのか、わからない。あるいは一生待っても無駄かもしれない。
それでも、傷が癒えるまで、サポートしながら、
ただ、相手を信じて、待つ。
「待つ」って受け身だと思っていたけど、実際にやってみるとすごくエネルギー消耗するんです。覚悟がいるんですね(笑)
そして、相手のためにやっていたつもりが、実は自分自身の生い立ちの問題にも気づかされてしまう!自分もいつの間にか一緒に成長してしまう!
これが、人と向き合うことの醍醐味なんですね。。。
「あなたのためにやってあげる」っていう上から目線の同情でサポートすると相手は悪化します。
まず、相手の頭と心を分けて、それぞれの状態を知ること。
相手を取り巻く環境を知れば、その人の心には全く問題がないことに気づき、自然と相手をリスペクトできるようになります。
偏見を捨てて正しく理解するためには、知識と真心が必要です。
「命がけの真心」が伝わったとき、
いつか、きっと、心の扉をひらいてくれる。
雨が止んで美しい虹が見えるときがくる。
どんなときも味方でいる「安全基地」の存在がたった一人でもいてくれたら、
人は必ず変われる。
本来の自分に戻って素晴らしい力を発揮できるようになる。
…と、わたしは信じてます☆