DVD撮影の延期理由は…

レッスン風景における技術を正確に伝えるのが難しいことだけではないんですよ。

リハーサルを重ねてゆくうちに、

生徒さん達と話しているうちに、

ん?待てよ。

ひょっとして…

音を出す以前にやることが出来ていないのでは?!


いう事実に気づいてしまったからです(-。-;

「練習の前にすること」「練習の後にすること」は、ミヤビメソード教本《はじめに》に記してありますが、早く曲を弾きたいのであまり真剣に読まない人が多い。

しかし、ハープにどう向き合うか。

心がまえや、身仕度を整えることは美しい音を出すためには欠かせません。

つめの切り方。
ハープのレバーやペダルを操作する順番。
ハープを拭く布を2枚分ける事。
拭くコツ。
ハープの保管方法。
チューニング方法。
弦の張り方。

それぞれ、一項目ずつに私には長年ハープと向き合っていくうちに育まれた流儀があるのですが、これを知らない人、いい加減にやってる人が多い事実に気づいてしまいました。

音大卒業生でも、正しくは知らないと言うのでビックリ…!

そういえば、私が芸大に在籍していたときも、スナック菓子を食べながら油のついた手で大学のハープを練習していたり、ハープにぶつかって倒して共鳴胴をひび割れさせてしまった先輩後輩がいました。(しかも、高価なグランドハープ…!)

考えてみれば、自分も練習前後の作法などは先生から教わった訳ではなく、むしろハープ様から教わった作法なのですね。

「ワタクシに美しい音を響かせてほしいならばこうセヨ」的な声が聞こえるような(笑)

試しに《練習の前後にすること》の1ページを解説するリハーサルをしたら、これだけで撮影に2時間もかかりました( ̄O ̄;)文字数の関係で教本には書けなかったことも多いので。

さらに、大切なことは「演奏姿勢」。

これも、教本《はじめに》に書いてありますが、ページ数の関係で概要のみなので、正しいかまえをきちんと解説してみたら、撮影にさらに2時間かかり…(もちろん、実際のオンエアは編集してもっと短くなりますが)

ハープをかまえる姿勢が間違っていた場合は、良い音が出ないばかりか、身体を痛めるので非常に大切なのです。

ミヤビメソード流には、演奏姿勢で守るべき項目は最低8項目あります。

そして、教本曲集の前ページに埋もれている「ハープが美しい音を奏でるための10カ条」。

大事なことなので私の直筆で書かせてもらいましたが、弾くのに必死でなかなか皆さん精神論まで辿り着かないですよね(笑)

しかし、一項目の「手を洗う」。

これをやらない人は、絶対良い音が出ないと思います。

ハープを単なる道具としてではなく、大切な家族のように扱うことが上達の秘訣。

むしろ、私にとっては、自分の分身のような存在です。

イチロー選手が「バットを粗末に扱う選手にヒットは打てない」と仰っていたのと同じことですね。以下、イチロー選手の名言。

汚いグラブでプレイしていたら、

その練習は記憶には残りません。

手入れをしたグラブで練習をしたことは、

体に必ず残ります。

記憶が体に残ってゆきます。


イチロー選手の名言を、もうひとつ。

特別なことをするために

特別なことをするのではない、

特別なことをするために

普段どおりの当たり前のことをする。

将棋の天才、羽生善治さんも同じことをおっしゃっていますね。

小さな違いを積み重ねてゆくことが、

長い目で見たときには一番結果につながる。

【手を洗う、爪を切る、遅刻をしない、挨拶をする、楽器を大切に扱う。】

ごく当たり前のことを普段から積み重ねていける人が、スペシャリストになってゆくのです。

レッスン前後の礼儀作法にしても、「よろしくお願いします」「ありがとうございました」が先生にきちんと言えない人が多いですが、基本の挨拶はとても大切。

挨拶とハープとなんの関係があるの?と思うかもしれませんが、これは先生のためにする作法ではないのですよ。

ハープの音色=自分自身がより良くなるためにする作法です。

音大にしても、趣味の教室にしても、短い限られたレッスン時間のなかでまずは曲を弾けるようにしなければならないので、心がまえや作法までは教える時間がないし、そんなものは家庭での教育の範疇ですから自己責任でやってくださいな、

というスタンスなのはやむを得ないでしょう…。

しかし、

そこが抜け落ちていると

ハープ歴10年たっても、20年たっても、いくら一生懸命練習しても透明感ある美しい音が奏でられるようにならないと私は思います。

「ハーピストの心がまえ」を誰も言わないのであれば、世阿弥の風姿花伝のごとく私が伝えるしかないのかな…と。(舞台演劇をやる人のための心がまえを説いた秘伝書)

いう訳で。。。

《はじめに》《一章》のDVD2枚組セットでリリースすることも検討しはじめました。

そうなると撮影費用、撮影日数も2倍かかるし、当然商品価格も高くなります。

消費者にとって高価格のものを買うのが困難であれば別の方法を考えます。

たとえば、

はじめに(1巻)、一章2指、1指(2巻)3指、4指(3巻)に分けて収録すれば1枚あたりを低価格にすることが可能です。

でも、ミヤビメソードの魅力はトータルで見ないと伝わらないかもしれないし、工場へのプレス代等が3倍になりますかね。。。撮影時間や費用はスタッフとも相談してみないと分からないです。

皆様のご意見を取り入れながら、制作を進めてゆきますので、もしご希望があれば承ります。