昨日のミヤビコースは、山口県でご活躍のハーピストが飛行機でレッスンにお越しくださいました~。
ホテルに1泊して帰られるとのこと、遠方より本当にありがとうございます!
ウイロウ美味しかったです*(^o^)/
娘さんが撮影した作品だけに、私たちが知っている神々しい鬼才アルゲリッチの姿ではなく、ステージへの不安やプレッシャーに負けそうになる弱々しいアルゲリッチや、母親失格な部分や、寝起きでスッピンのひどい素顔が映されていました。美化しないところがすごい。
アルゼンチン出身アルゲリッチとスイス出身の指揮者シャルル・デュトワ氏とのあいだに生まれた次女。
デュトワ氏は日本でN響の常任指揮者をしていたのでご存知の方も多いでしょう。
長女は中国系作曲家男性との子供、三女はアメリカ系ピアニスト男性との子供と...国籍も父親もぜんぶ違うインターナショナルな家族(笑)
アルゲリッチは20代でジュネーヴ国際コンクールとショパン国際コンクールに優勝してから世界中でコンサートツアーに招かれ、73歳になった今でもバリバリ現役で活躍中です。
日本では大分県にて別府アルゲリッチ音楽祭が開かれていますね。
母親が旅から旅、そしてピアノにしか関心がない生活のため娘たちは学校へも行けず家族もバラバラで一緒に暮らせなかった苦悩が描かれています。
まぁ、クラシック界でソリストを続けるということは並大抵ではないので私生活が犠牲になるのは仕方ないですかねぇ。。
わたしがこの作品で印象に残ったシーンは2点。
ひとつは、あれだけ世界中の大きなホールで何千回と演奏してきたアルゲリッチが、未だに開演前になるとうつ状態になり「気分が悪いの。弾きたくないの。」とダダをこねる姿です。
8歳でベートーベン協奏曲を公開演奏し大統領も絶賛したという神童の彼女が70代で未だに同じ作品に向き合っても、緊張感を忘れないのは本当にすごい。
緊張感があるうちは、ステージを神聖なものとして捉えている、音楽に対して畏敬の念があるという証拠ですからね。
一番怖いのは、むしろ慣れてきて緊張感がなくなりやっつけ仕事で心のない音楽をやってしまうことなんですよね。
緊張感のないところに感動は生まれない。
みなさんが発表会前に緊張するのは、立派なことなんです。
ふたつめは、アルゲリッチがインタビューされて寝転がりながらぶ
っきらぼうに答えるシーン。
「わかんない。音楽は説明するもんじゃないから。」
アルゲリッチに限らず、わたしの知ってる演奏家ってちゃんとした文法センテンスで喋らない人が多いですよね!
あ~、わぁ~、すごーい、へー、ふぅ~、ガーン、げー、モヤモヤ、やったー、かもね。ん~、ぎゃぼーん(←のだめ?)など擬音語や短い単語が多いです。
音楽を演奏するときは、言語をつかさどる左脳でなく、五感をつかさどる右脳を使うからなんです。
わたしも演奏をメインにやってた頃は、ほとんど喋れませんでした。世の中のものをすべてフィーリングで感じているので、それを言葉に翻訳する機能が自分の中になかったんですね。
メソッドを伝えようと教え始めるようになって初めて言葉に変換しないと想いが相手に伝わらないという問題に直面して、10年くらいかかって今のようにおしゃべりになりました(笑)
指揮者や作曲家は演奏家と違って頭で分析して理論的にお話できる人が多いですけれども。
つまり、ぜんぶ右脳で生きてると私生活や社会システムがメチャメチャになるのでもちろん理性的な左脳も必要ですけれども、少なくとも楽器を演奏するときは右脳を使ったほうがよいですよ!
と言いたい^_^
日本ではとくに、規律を乱さないよう教育されるので自分の感情感性を制御するストッパーが常に働いてしまうのですが、
楽器に対してはストッパーを外し何も臆することなく喜怒哀楽をぶつけたほうがいい。
レッスンを受けるときも、先生の言ったことを頭で考えて分析し知識や言葉として理解する真面目な左脳派タイプの生徒さんと、
先生に言われたことを再現してみて、わぁ~きれいな音がでた!って感動してその感覚をイメージとして身体で覚えちゃう右脳派タイプの生徒さんと、
2通りに分かれます。
左脳派タイプの方が10年かかることを、右脳派タイプの方は1年でこなせるくらい吸収力が早い。
なぜなら、頭だけで理解したことはすぐ忘れるけど身体で覚えた感覚はずっと忘れないから。
何も考えない訳ではなく、身体で考えているんですね。
右脳派が天才と呼ばれる由縁です。
普段お仕事で左脳をメインにつかう方ならば、趣味の習い事で右脳をつかうとバランスがとれてストレス解消になると言われます。
右脳を使うためのアドバイス⇩
①喜怒哀楽の感情を表に出してみる。
(擬音語で)
②考える前に行動する。
(知識より実践)
②は、わたしのCDに推薦メッセージ書いてくれた脳科学者の茂木健一郎さんも言ってますね。不可能なことを成し遂げるには、出来るかどうかを考える前にまずやってみることだ、と。
アルゲリッチが20代で録音したショパンやラヴェルのCDは名盤で、わたしも幼いころ子守唄代わりにいつも聴いてました。
皆様も是非お聴きになってみて下さい。
...ではなく
ぜひぜひ(^o^)/