さて、「どうしてハーピストらしい恰好をするとハープが上手くなるのか?」という


お題をだしておきながらコンサートでしばらく更新できずごめんなさい。。。(>_<)


(9月12日のブログにつづく・・・)


先日のコンサートで共演した尺八の中村仁樹さんもソプラノ歌手の橋本朗子ちゃんも超オシャレな方なので、ファッションと音楽の関係性について聞いてみたんですよ。


そうしたら、やっぱりお二人とも!


「見た目を磨くのは、音楽家にとっては楽器の技術を磨くのと同じくらい大事なこと。普通の服じゃダメなんだよね」


というご回答でした。


先日、「ハーピストという職業に適した服装」という視点でお話しをしましたが


今日は、ファッションのもうひとつの役割をご紹介しますね。


それは・・・


「もう1人の自分をつくる【仮面】としての役割」


なる5番目の特殊な役割です。


エンターテイメントの世界で成功するには不可欠な要素なのです。

つまり、楽器を弾くときには、

普段スーパーに行けないような、普段会社に行けないような、


非日常的で華やかな格好をしてみるのはいかがでしょう?



芸術の世界には、真面目さだけでなく【遊び心】というクリエイティブな要素が求められます。

楽譜通り真面目に弾くだけでは、聴いていて面白い音楽にはなりません。

【遊びの境地】を習得するには、

普段と違う、非日常的な「もう1人の自分」を演出することが大切なのです。


人間の脳は、自己暗示をかけることにより、普段できないことが出来るようになったりするパワーをもっているんですね。


鈴木一郎選手がユニフォームを着てバットを持ったら「イチロー」に変身したり


蒲地法子さんがお姫様ドレスによって「松田聖子」に変身したり


現代の俳優さんがカツラをかぶったら時代劇の殿様に変身したり


そう。


エンターテイメントの世界におけるファッションは、魔法の杖のようなもの。


カボチャが馬車に変わったり、裸足がガラスの靴に変わったりするための必須アイテムなんですね。


普段着と衣装とのギャップがあればあるほど、


脳はアドレナリンを放出し自分の能力以上のパワーが発揮できるわけなんです。


そのため芸能人の方々はわざとリハーサルはすっぴんにジャージで来たりもしますし、


芸人さんもテレビに映ってないときは無口でテンションOFFにしてる方が多いですね。


わたしの場合もプライベートはヒドイもんですが・・・(汗)


練習しているときよりも本番では2倍の音量にアップし、


練習では楽譜通り弾いていても本番では表現力が2倍大げさになり次々とアドリブが生まれますし、


練習では無表情だった体の動きも顔の表情も本番では豊かになります。


練習でミスってたところも本番ではたいてい上手くいきます。


でも、それってわざと意識してできることではないんですね。


普段も十分一生懸命やっているんですけれども、それ以上に本番は火事場の馬鹿力がはたらく。


本番のスイッチって、ヘアメークやファッションなど外からの視覚的な装備によって自動的に入るもので


脳アドレナリンを心や頭によって内側からコントロールすることはできません。


普段着のまま楽器を弾いたら練習どおりの音しかでなくて、そこに緊張が加わると萎縮して普段よりもっと力が発揮できない事態がおこる。


だから、楽器を弾くときは普段着と変えて、もう一人のウルトラマン的な自分を呼び起こす、っていう事をテクニックの一部としてプロはやっているわけなんですね。


尺八の中村仁樹さんの素敵な言葉を借りると・・・


「衣装を着たステージの上では自分でも聴いたことのないような魅力的な音をだしてる自分がいる。ふだん眠っていた知らない自分がわきあがってくる感じ。」


まさに


漫画【ガラスの仮面】の世界ですよね(笑)


(つづく)