いい音を出したい!

という願いは皆共通。

だけど

いい音がどんな音かが分からないので

差が生まれてしまうようです。

まず

自分のなかでいい音のイメージをつくること。

皆さん私が代わって同じ曲を弾くと、

えっ!そんなに軽くていいの?

と驚きの声をいただきます。

なんで軽いのに表現が濃く深く心にくるのか不思議、、、?

という質問もいつもいただきます。

私の場合、

ハープを12歳ではじめる前に、母がいろんな一流の物を見せてくれたのが大きかったと思う。

たとえば

上質なお肉はやわらかい。

上質なお皿は軽い。

上質な絵画は繊細なタッチ。

上質なアクセサリーは品がよい。

上質なダンサーは浮くように舞う。

上質なオーケストラは軽やか。
上質なホテルはスタッフの物腰がやわらかい。



うちは母子家庭でけっしてお金持ちではなかったし、母はいわゆるブランド品には一切興味がありませんでした。

でも、いい音を出せるためには、いい物を体感させなくては、、、という母の教育方針で自分は洋服1着も買わずとも私に世界中の名品を見せてくれた。

今、自分は贅沢はしてないけど(むしろ独り暮らしをはじめたときは貧乏....)

一回最高の物を体感しておくと、

ずーっと身体に残っているものなんですね。

軽さが。

母の友人だった彫刻家の流政之さんは私が子供のころ我が家にも遊びにいらしていて、

クラシックの殿堂東京文化会館や新宿住友ビル、三菱東京UFJ銀行、ジュリアード音楽院などの彫刻を手掛け、ニュヨークタイムズでも世界のサムライアーティストと紹介された素晴らしい方なのですが、

弟子入りしたいという若者にはこう言うそうです。

「技術はあとから教えられるが、感性は教えられない。まず一流の物とは何か上限を知ってから来なさい。4年間留学するお金があったら1年で使いきりなさい。」

こんなブログ書いてると高飛車と反感かうかもしれないんだけどね、、、。

でも、とくにプロをめざしてる若い学生さん達が指の訓練だけで終わっているのを見ると、曲のイメージを聞いても答えられないのを見ると、多感な時期にもったいないなーと思う。

何が良い物かは個人差あるだろうけれども

わたしの考える上質なものは、

値段が高ければいいというモノでもなく、

有名なブランドならいいというモノでもなく、

職人さんの魂が込められたモノ。
重量は軽いんだけど内容が豊潤なもの。

触れたときにふわっと浮き上がるようなときめきを感じるもの。


羽毛布団は軽いけど、

ポリエステルの軽さとは違う。

漆塗りのお椀は軽いけど、

プラスチックの軽さとは違う。

その違いはどこから来るかというと、

作り手が命を懸けて修行を積み重ねてきて、

悩んで悩んで

迷って迷って

辿り着いた先にある軽さ。

はじめから軽いんじゃなくて、

トンネルを抜けた先の軽さであるかどうか。

いい音楽とは何かの答えは

そこにある気がします。