素敵だなと思う俳優さんはたくさんいます。でも、あえて言うなら好きな女優さんは、桃井かおりさん、余貴美子さん。


男優さんだと豊川悦司さん、笹野高史さん、海外ではメリル・ストリープさんを大尊敬してます。


最新作『サッチャー元首相・鉄の女の涙』もすごい演技力でしたよね。


独特の個性をもっているにもかかわらず、役によって全く違う雰囲気を出せる役者さんが好きなんです。


母は東京交響楽団のハーピストだったけれど


映画音楽を収録する仕事もしていて、


撮影現場では桃井かおりさんやデビュー当時の吉永小百合さんともご一緒したことがあるそうです。


桃井さんの印象を「身体から風が吹いてる感じ」と母は表現していましたが、


「風」とは、山田洋次監督のいう「佇まい」なのではないかと思います。


余談ですが・・・


吉永小百合さんのお母様が、母のところにいらして


「娘にはハープをやらせたかったのに女優になってしまって」


とおっしゃったこともあるみたいです。


社交辞令なのかもしれませんが、もし吉永小百合さんがハーピストになっていらしたら、


日本のハープ界は大きく変わっていたことでしょう!


余貴美子さんとは、行きつけのドレスショップが同じで2年ほど前にお目にかかったことがあります。


こんなに静かで大人しい人があんなに激しい役になれるんだ、という驚きがありました。


無色でいるほうがどんな色にも染まることが出来ると監督さんから聞いたことがありますが、


音楽家も作曲家のメッセージを伝えるために、


いつも自分を素直な状態にリセットしておく必要があると思うんです。


昨年、わたしも初めて撮影現場におじゃまする機会がありました。


フジテレビのサスペンスドラマに、ハーピスト役でちょこっと出演したので(笑)


そのとき京野ことみさん、大沢樹生さんと楽屋でご一緒でした。


冗談を言ったりして笑っていた数秒後には、


お葬式のシーンでボロボロ大粒の涙を流している。


カットの声がかかるとすぐ素面に戻る。


ああいう芸当は、とても真似できないなぁ・・・


役者さんは、感情の引き出しの開け閉めをテクニックとして自在に操れる人達なんだ、


と感心したものです。


長い時間かけてコンサートを盛り上げていく演奏家の仕事は、


映画よりも、舞台俳優の感覚に近いのかもしれません。