とうとう昨夜は予習に集中出来ず

あれやこれや頭はグルグル回り

気づいたらいつの間に寝ていた


滅多にない自分に驚いて

目覚まし時計の小鳥の鳴き声

ピピピピピピ…


飛び起きて急いで

キッチンへ降りると

お味噌汁の香り漂っていて


目はパッチリ!


どんなに時間がギリギリでも

朝のお味噌汁は欠かさない


ザ•日本

一番に感じさせてくれる

朝ごはんは和食と決めている


まるで旅館のような献立

ご飯にお味噌汁と焼き海苔

大好きなぬか漬けは絶対に忘れない


焼き魚に葉物のお浸し

ひとつの梅干し


私の家族もみんな和食の朝ごはん

洋食もあるのに徹底的に和食



「おはようございます!」

親友の声は吹き抜けになっている

玄関で響いている


「ハーイ!」

リビングのソファに置いてある鞄

片手に持つと駆け出して


「おはよう!お待たせ!」

「おはよう!愛!」


「今朝も校門に来てるかな? 

 例のバイク!愛のファンかもよ

 カッコイイちょっとだけ!」


「そうかな? カッコイイと言うのは

 その人の価値観で好みだから!

 勉強の邪魔にもなってしまう」


校門はチラチラ チラチラ

見え隠れ出している


友人が先に声を上げて

「愛! 有る有る来てるバイク!」

「やっぱり!どう言う事だろ?

 知らぬ振りしようよ!」


「愛! そうしよう!」


校門にたどり着いた時

キーホルダーを拾ってくれた人

丁度バイクを拭いていたので


親友と全速力で昇降口へ走り出して

辿り着いてから校門を振り向くと

まだバイクの手入れ中の姿


「なんか可哀想じゃない?

 あの様子だと暫くはあのまま!」

「愛! どうしちゃったの?」


「私たちを待っているなら

 ちょっぴり悪いな!と思っただけ!」

「そうかな!もしかして 愛?」


予鈴が鳴り出しても

まだバイクと共にその場にいる


学校に遅刻してしまうのに

どこまでバイクで走るか

全く見当もつかないけど


だって学校名を聞いていない

甘味処へ一緒に来店したのに

何も聞いていなかったと気づいた


「愛! 急いで急いで!」

「 OK !」


教室の窓から外を覗くと

バイクがエンジンを鳴らして

走り出すところだった


「なんか背中が泣いている!」

親友に聞こえないように小さな呟き








#恋愛小説

#校門

#愛

#小さなつぶやき

#親友

#背中

#教室

#予鈴