23日のアイスリボン後楽園ホール大会。第4試合はいよいよ今大会注目の一戦。STARDOMの岩谷麻優が持つIWGP女子王座に藤本つかさが挑むタイトルマッチ。今大会が1,000人となったのもこの試合があったからと言って過言ではないと思われます。藤本が自ら禁断の扉を開きベストフレンズで快勝した事から実施が決まったこの試合。ただ本来IWGPは新日本プロレスが管理している為に親会社のブシロードから見れば零細企業のアイスリボンで開催するのは相当な英断だったと思います。それが実現出来た事には感謝しかないでしょう。そんな大一番は意外な形での結末を迎えました。

 

 

◆第4試合 IWGP女子選手権試合 60分1本勝負
[王者]○岩谷麻優(16分08秒 レフェリーストップ)藤本つかさ×[挑戦者]

 

 

試合前はらあいリングアナが場外カウントありの通常ルールで行われる事を告げました。ただこの大会に関して言えば普段アイスリボンを見ない観客も多かったと思うのでむしろ第1試合の前にアイスリボンルールをアナウンスした方が良かったようにも思えました。

 

 

藤本の入場時には対抗戦では定番の所属選手でセコンドに着ける選手総出でリング上げを行えば、岩谷のリングインの時には岩谷が所属するユニット『STARS』のメンバーがリング上げを行うという対抗戦の空気が存分に溢れていました。

 

 

永田裕志氏のタイトルマッチ宣言と記念撮影。これも普段はない事なのでやはり特別感を醸し出しました。

 

 

藤本は通常通りのポージングを見せた選手コール。岩谷は先日プロモーションで横浜スタジアムで始球式を行いましたけど、投球フォームでポージングをしたのはそれもあったのでしょうね。いつか楽天モバイルパークで始球式をしたいと語っていた藤本へプレッシャーを掛ける意味合いがあったのでしょうか。

 

 

ガッツリ握手を交わして試合が始まります。この雰囲気の中でまずは麻優コールが起きたのは意外な感じでした。その中でまずはグラウンドの攻防を見せる2人。その後リストの取り合いを行うと岩谷がペースを作ろうとしますが、藤本も応戦していくとハイテンポが攻防を見せていきます。

 

 

藤本がサッカーボールキックを放っていくとのたうち回る岩谷。トーホールドからローキックを放ちロープ際に追い込むと卍固めに捕らえていく藤本。グラウンド卍でカヴァーに入ると背面ドロップキックを放ち岩谷を場外に落としていきます。

 

 

岩谷がリングに戻るとダブルチョップを浴びせる藤本。しかしコーナーに振られたところで低空ドロップキックで反撃した岩谷はサッカーボールキックを連発するとお返しとばかり藤本をロープに括り付けるとダブルチョップを放ち顔面を踏みつけると背面ドロップキックで藤本を場外に落とします。

 

 

藤本がリングに戻ると岩谷はサッカーボールキックを打ち込みますが、自ら座り込むと藤本が反撃。今度は藤本が座り込み岩谷が打ち返す。この攻防が暫く続くとお互い先に仕掛けるようにアピール。藤本が連発していくと岩谷も連発していくとお互いの意地を見せつけていきます。それはやがてエルボーの打ち合いへの転化していくと藤本はPKで岩谷を倒してトップロープへ。岩谷も追いつきますが藤本はエルボーから蹴りを入れてフットスタンプで岩谷を落としクラウチング式ドロップキックからミサイルキックを放っていきます。

 

 

岩谷がカヴァーを返すと藤本は極楽固めへ。この流れアイスリボンでは普段から見られる展開ですが、STARDOMのファンにはどう写ったのでしょうか。

 

 

岩谷がロープエスケープすると藤本はストンピングからは仕込みますが、岩谷はショルダースルーでエプロンに飛ばすとエルボーで藤本を場外に落としてトペ・スイシーダを発射。こちらはアイスリボンでは見られない技ですから逆に新鮮だったりします。

 

 

今度は藤本が肩車で岩谷を場外に落とすとエプロンからのPKで追撃。動きの止まった岩谷は暫く除外を彷徨いますが、藤本がリングに連れ戻します。

 

 

ここで藤本はビーナスシュートを放ちますが、着地の際に右腕を痛めた様子でカヴァーに入らない。カサドーラを狙った藤本ですが、岩谷がジャーマンで投げ飛ばすとエルボーを連打。藤本がやり返したところでバーブ佐々木レフェリーが試合を止め右肘脱臼によるレフェリーストップを宣告しました。

 

 

まだこれからという場面での負傷ストップでしたから両者にとって不完全燃焼だったでしょうね。まだ決定打はお互い出していませんでしたし、唯一の出した勝負技で怪我をしてしまったのは藤本にとって怪我以上に痛かったようにも思えました。代名詞とも言える技で怪我をした事もあり呆然として座り込む藤本の姿は見ている方が辛いものではありました。

 

 

永田氏からベルトを受け取った岩谷は「後楽園ホールの皆さん、こんばんは!」とまだ昼の1時半過ぎだというのにボケをかますと(実際STARDOMは夜興行が大半なので癖になっているのでしょう)「藤本お疲れ様!脱臼、痛いよね。自分も、赤いベルト、試合開始2分30秒でヒジ脱臼して、チャンピオン剥奪されて、あなた、よく、今リングに立ってられるね。すごいね!藤本、とんでもねーな!自分だったらすぐ控室行って、すぐ救急車呼んで、すぐ病院に行くけど、あなたやっぱりアイスリボンの象徴。戦って、あなたの強さ、感じることができました。」と藤本の様々な強さを讃えると「このベルト、正式に、勝って、あなたから勝って!女子プロレスのアイコンだと言いたかったけど、引退しちゃダメだよまだまだ全然先、限定復帰とか、まだまだできんじゃん!限定復帰とかじゃなくて、また、怪我治して、次、また、その時まで、このベルトのチャンピオンでいるから絶対!怪我が治るまで絶対待ってるから!ちゃんと治して、このベルトをかけて、もう一度私と戦ってください。」と語ると藤本と握手を交わしお互いに一礼をすると「またやりましょう。ありがとうございました。」と再び握手を交わしました。

 

 

STARDOMのファンもこの結末で戸惑いがあったのでしょう。記念撮影となってからようやく勝利のテープが舞いました。実は藤本の負傷に関して脱臼という事であまり心配はしていませんでした。12年前に植松寿絵さんの引退興行で当時使っていたトルニージョの失敗で肘を脱臼。この時は翌週にタイトルマッチが控えていたのですが、その試合に出てくるという想定の斜め上をいく復活を見せました。ただ今回は剥離骨折もあったようで手術を行ったそうで簡単には復帰といかないようです。ただ人の数倍治癒能力があるという藤本の事です。土曜日の道場マッチで今後について話があるようですが、脅威の回復力と言われた奇跡を信じて待ちたいと思います。そしてこの再戦は必ず実現させてもらいたいです。