6月最初のアイスリボン道場マッチ。今回のメインはリーグ戦に絡んでない4選手が登場してのタッグマッチ。櫻井裕子と海乃月雫が組み、柳川澄樺とLil Marsとの闘いとなりました。海乃の3ヶ月ぶりの道場マッチ参戦も注目だったのですが、やはり一番のポイントはMarzの日本デビュー戦での闘いでした。なにせ2年前にオーストラリア・ブリスベンでデビューしたという情報しかなくどんな闘いをするかは未知。柳川とて海外に行った経験はあれど言葉に関してはコミュニケーションという点は難しいように思えます。それだけにどんな試合になるのか注目していました。

 

◆第4試合 タッグマッチ 20分1本勝負
櫻井裕子&○海乃月雫(11分12秒 ウラカン・ラナ)柳川澄樺&Lil Marz×

 

 

MarzはTOYコレクターという事でプレゼントされたと思われるマスコットを持ってリングイン。一方の柳川はMarsのタオルを使ってアウフグースパフォーマンスを行いました。そういう点では言葉の壁はなかったようです。そして通常のアウフグース用のタオルでなくてもしっかりパフォーマンスが出来る柳川の適応能力も流石です。

 

 

大阪で復帰した海乃は特にパフォーマンスを変える事はなくリングイン。強いて言えばパイプ椅子を持ち込まなくなった事でしょうか。まだ試運転のところもあるのでという点もあるのでしょうね。櫻井はコールの後もうワンポーズある時があるのですが、この日はなかったですね。こういう外国人選手が対角にいて先入場していた時はアピールをする為にももうワンポーズはあっても良い気はしますけど。

 

 

Marzが先発すると押し出されるように海乃が先発して試合が始まります。しかしMarzがロックアップに行こうとしてもなかなか組み合わない。ならばとバックキックからリストロックに持っていきますが、海乃も応戦しヘッドロックからグラウンドへ。しかしすぐに解除すると双方パートナーに交代していきます。

 

 

普段“ヤナギザクラ”としてタッグを組んでいる櫻井と柳川。櫻井のロックアップの要請に柳川が応じようとしたところをリング下からカットした海乃を合体式ビックブーツで排除していきます。櫻井がそのまま柳川をフォールしますが返した柳川は丸め込むとドロップキックを放ちMarsに交代。タックル合戦に打ち勝ったMarzはコーナーを使ったアームホイップ。更にタックルで櫻井を倒していきますが、櫻井も隙を狙ってコブラツイストに。グラウンドコブラでフォールを取りますが、Marzはこれを返すと走り込んだ櫻井をレッグラリアットで迎撃すると柳川に戻していきます。

 

 

柳川はMarzを呼び込みMarzの串刺しラリアットからジャンピングニーのトレイン攻撃に。更にエルボーを打ち込んでいきますがロープ際で腕を絡めて振られるのを拒む櫻井。それでも走り込ませるとバッククラッカーから鎌固めに捕らえていきます。海乃がカットに入ると今度は海乃のローキックから櫻井のバックエルボーと串刺しトレイン攻撃で反撃。タックルで倒した櫻井に柳川はバックスピンキックで応戦すると櫻井もボディスラムで柳川をマットに叩きつけると海乃に交代していきます。

 

 

飛び込み式のビックブーツを放った海乃は場外に出てエプロンでのスライディングニーへ。リングに戻るとフェイスロックに捕らえていく海乃。柳川がロープエスケープするとランニングニーを狙った海乃でしたが、柳川が避けて逆にランニングニーを放っていくと今度は海乃が2発目を避けて背面ドロップキックに。しかし海乃の2発目は柳川が避けるとあわやオーバー・ザ・ロープに。なんとか堪えた海乃に柳川はドロップキックを放つと1010狙いに。しかし海乃は巧みなロープワークで交わすと柳川がロープ際から足を出して動きを止めてかかと落としへ。カヴァーせず引き起こすとネックブリーカードロップを決めてMarzに交代していきます。

 

 

串刺しラリアットから619を魅せて場内を沸かせたMarz。海乃もエルボーの打ち合いに持っていくとロープ際での強烈な一撃からドロップキックへ。櫻井が入ってくるとドラゴンスリーパーから叩き落とすと海乃がドラゴンスプラッシュへ。柳川がカットすると海乃とMarzが共にブレーンバスター狙いに。双方堪えると海乃はネックスクリューからフェイスロックへ。

 

 

柳川がカットに入ると膝を入れてMarzがショルダースルーから柳川のダブルニーを挟んでMarzのギロチンドロップ。櫻井がカットするとMarzは走り込みますが、海乃はローキックで動きを止めてフィッシャーマンスープレックス。返したMarzは海乃が走り込むとサイド式のスパインバスターへ。海乃がキックアウトするとMarzは海乃のバックを取りますが、海乃はこれを切り返してウラカンラナへ。これをMarzは返す事が出来ず3カウント。Marzの日本での初戦は黒星になったのに対して海乃は復帰後初勝利を飾りました。

 

 

復帰戦はMIKI Fortuneに悔しい思いをした海乃。キャリアは違いますが同じオーストラリア人のMarzにリベンジをした形となりました。当然海乃としてはMarsが2022年デビューという事で再デビューからだと同期になるので意識はしていたようです。逆にMarzはまだ荒削りな部分はありましたし、今回この一試合のみの参戦でしたけど、藤滝明日香のような大型若手選手と闘ったらどうだったか見てみたい気はしました。それを思えば櫻井とのマッチアップはもう少し見てみたかった面はありましたけど、ホームアンドアウェーの観点からもやむを得なかったですね。海乃は技巧派らしい闘いっぷりで柳川・Marzと対峙していたのが印象的でした。元々怪我ではなくメンタルの問題でしたから、状態さえ戻れば十分やれるというところを見せたと思います。

 

 

勝利した海乃はマイクを持つと「勝ちました~!」と叫ぶと「死ぬかと思った」とひと言。その後Marzが今回最初で最後という事でマイクを渡していきます。

 

 

MarzはYappyの通訳を介して海乃の強さを讃え再戦を希望しました。以前から触れてますが海乃は団体のベルトに興味を示してない分海外の選手との対戦が多く、それを足がかりにして武者修行に出ても良いと思うのですよね。特に前回のMIKIや現在も来日しているダークシルエタのようなベテランと違いMarsはキャリアも近いですので良きライバルになると思うのですけど。躁鬱さえ安定すればメキシコでルチャを勉強するなり、オーストラリアへ逆に乗り込んでいくのもありだと思うのは私だけでしょうか。

 

 

海乃はMarzとのシングルを約束すると返す刀でもう一つ出来てない約束があるとセコンドにいた古川奈苗を呼び出します。

 

 

「やっとタッグを組もうよ」とタッグ結成を持ちかけると次週の道場マッチでのカードをMIOレフェリーに依頼します。昨年9月に古川の査定試合としてシングルを行った際にタッグ結成を持ちかけ9ヶ月掛けてようやく実現の運びと鳴りました。

 

 

海乃が締めのコールを行うのは意外にも初めて。そもそもメインで勝つことがあまりない上に暫く反乱も起こしていましたからね。それ故に若干緊張しつつ且つ感覚が掴めない様子でコールを発していました。

 

 

藤本つかさを除けば若手で占められた興行。しかしそれ故の激しい闘いも見られましたし、藤本に挑んでいった神姫楽ミサも見せ場は作っていました。こういう興行を如何により多くの人に見てもらえるかがこれからの課題になっていくでしょう。その為に何をすべきか?広報部長に藤本だけでなく各選手が知恵を出して広めていってほしいと思えた大会でした。

 

 

大会後海乃や柳川と握手を交わすMarz。MIKI同様に再来日する日もそう遠くないと思います。その時にどんな選手になっているかを楽しみに待ちたいです。