6月最初のアイスリボン道場マッチ。第3試合は前の試合に続いてICE✕∞次期王者決定リーグ戦。こちらはAブロックで藤本つかさと神姫楽ミサが初シングル。藤本のスケジュールの都合もありこれが2戦目。ただ初戦でしのせ愛梨紗に付き合い過ぎたかドロー発進だったのは気になるところです。一方神姫楽はこれが最終戦。ここまで1勝1敗1引き分けで来ていてこの藤本戦に勝てばまだ決勝進出の望みはあります。しかしそこは藤本のことです。簡単には勝ち点を与えない闘いをしてきました。

 

◆第3試合 ICE×∞王者決定リーグ Aブロック公式戦 10分1本勝負
○藤本つかさ(7分19秒 ビーナスクラッチ)神姫楽ミサ×

 

 

普通これだけのベテランとの初シングルとなると表情からして緊張感が伝わってくるものですが、神姫楽の場合それを感じさせませんでした。やはりSEAdLINNNGに参戦している事でその辺りの免疫力は付いてきているのでしょうか。

 

 

この日は夜にEvolution女子のChiChiとのシングルも控えていた藤本。そういう意味では設定時間は違えど若手2人を比較する闘いでもありました。

 

 

後述しますが、今回の表題を考えれば神姫楽には握手はしてほしかったですね。実際大阪ではしのせ愛梨紗と握手を交わして試合を始めている訳ですし。しかしゴングが鳴ると突進していったのは当然の事か。藤本もこれを交わしますが、逆に延髄切りは神姫楽が交わすとセントーンも藤本が透かすという読み合いから試合が始まります。

 

 

神姫楽がラリアットで藤本を倒すとエルボーの打ち合いに。これをタックルで制した神姫楽はイノシシダッシュからジョン・ウー、串刺しタックル、エルボードロップ、セントーンと畳み掛けていきます。

 

 

更に逆エビ固めからミサトンクラブへ。しかし藤本が早めにロープエスケープすると走り込んだ神姫楽にカウンターのドロップキックを放つとサッカーボールキック3連発からPKと定番の流れを決めるとフェイスロックへ。極楽固めを狙った藤本でしたが神姫楽がロープエスケープすると今度はたいようちゃん☆ボム狙いへ。ここも神姫楽は振り払うと低空ブレーンバスターからラリアットを放っていきます。この流れはやはり所属団体や出稽古に出ているところを思えば意地もあったのでしょう。

 

 

神姫楽はバックブリーカーからセカンドロープに上りダイビングセントーンへ。カヴァーを返されるとトップロープからの晴れときどきミサを狙いますが、藤本は立ち上がりデッドリードライブで撃ち落とすと逆にトップロープに。神姫楽も追いつきますが藤本はエルボーからのフットスタンプで撃墜。

 

 

こうなると藤本のペース。クラウチング串刺しドロップキックからミサイルキックを立て続けに放つと極楽固めに。ローリング式で厳しく攻め立てますが、神姫楽は必死に耐え切りロープエスケープ。翌日にサブミッションの使い手Aoiとタイトルマッチを控えていただけにここでギブアップは出来なかったでしょうね。

 

 

藤本は再びたいようちゃん☆ボムを狙いますが、神姫楽はこれを嫌うと延髄切りを堪えてミサボムへ。このカヴァーを返されるとラリアットを放ちこれも返されると走り込みますが、藤本は電光石火のビーナスクラッチで3カウントを奪取。藤本が勝ち点2を奪い神姫楽の野望を打ち砕きました。

 

 

まさにベテランの若手に対する闘い方の典型のような試合でしたね。相手の良さを引き出しつつ最後は自分の決め手であるハイスピードな形で決着を着ける。かといって本来の見せ場は殆ど作っていない。事実夜の試合で話題になった卍固めも勝負技になったサイクロンも出す気配すらありませんでした。無論対戦相手や舞台設定の違いはありますし、神姫楽がSEAdLINNNGに出稽古に行っていて藤本の第3️⃣の師匠とも言える南月☆たいよう代表や盟友・中島安里紗の指導を受けている事を承知しているからこの展開に持っていったのでしょう。当然神姫楽としてはこの10分間で藤本を一泡吹かせようと必死に自らの攻撃をフルスロットルで出していきますが、それだけでは通じないというところを藤本が示したという形だったと思います。しかもフィニッシュのビーナスクラッチは神姫楽の同期の真白優希も使っている技。これがツカドーラでしたらと思えたのですが、この辺りに藤本の今の神姫楽に対してのこの短時間決着における評価なのかも知れません。

 

 

これで神姫楽は勝ち点3でリーグ戦終了。戦前ダークホースと見られたのですが、上位陣の壁に阻まれる形になりました。まあ愛梨紗に勝っただけというのは順当な結果でもあるのですが、本人としては不本意な部分もあったでしょう。じれをこの先どう展開させるかは自分次第です。表題の話したかった事ですが、アイスに参戦してきてこれまで藤本と試合が組まれなかった事に意味があると理解し、その上で藤本が見せてきた景色とは違うかも知れないけど、神姫楽ミサだから見せられるアイスリボンの未来を見せたいというものだったらしいです。

 

 

「ズッコケ三姉妹」と称される神姫楽・柳川澄樺・YuuRIはよく『アイスリボンファミリー』という言葉を口にします。それは所属団体での試合数が少ない時期にレギュラー参戦してきて経験値を上げてきた思いがあるから。ただ神姫楽の場合前述の通りSEAdLINNNGなどに出稽古に行ったりしている事もありちょっとスタンスは違うようにも思えます。無論今回のリーグ戦に自ら率先してエントリーしてきたのは先の言えなかった事のポイントではあるのですけど、もっとこの経験を生かしてどうアイスリボンの中心に食い込んでいくのかが気になるところです。