今週のアイスリボン大さん橋ホール大会。後半戦は週刊プロレスにも事前に取り上げられ、恐らくこの2試合を目当てで会場に行かれた方も多かったのではないでしょうか。驚いたのは試合の結末がYahoo!ニュースに上がっているのですが、出典元が普段だとバトル・ニュースとかのプロレスメディアなのですが、なんとスポーツ報知が配信していた事でした。それだけ注目されていたという事だと解釈しています。もっとも後日IGF関係も報知が配信しているので週刊プロレスの松川記者の人脈絡みなのかも知れないですけれど・・・。

 

 

 

◆第5試合 シングルマッチ20分1本勝負
×長崎まる子(13分10秒 ヨーガ・サイクロン・ロック→ギブアップ)華 DATE◯

 

まる子がリングインするなり先入りの華と額を突き合わせる。そのままゴングかと思いきや一旦離れ、ゴングが鳴ると暫く両者共に動かない。2人のキャリアを考えれば、相当な緊張感が伝わってくる立ち上がりでした。

 

おざ組み合うとまる子が優位に進めていきます。この辺りは一日の長があるかと思いました。そして場外戦に。本人達も激しかったですが、セコンドについたDATE勢と生え抜きの新世代軍も激しかったです。必死に世羅りさが話していましたが、他の選手もぶつからない対応はしても良かったと思えた光景でした。

 

ただ徐々に流れは華に行きましたね。いつも通りのまる子の右足を狙ったローキックだけでなく、ふらふらしながらも初めてトップロープに上りボディアタックを決めるなど抗争の発端になった「プロレスに本気に取り組んでいると思えない」というまる子の発言に反発するかのような華の攻撃。そしてまる子の猪突猛進を返した段階で勝負は決しましたね。最後はサッカーボールキックから必勝パターンのヨーガロックでギブアップを奪い決着。現状の2人の実力差を考えると予想通りの結果になりました(試合後に華に話したら「厳しいですね」と言われましたが》。

 

この世代では珍しい程に激しい攻防でした。ただマウンドでのエルボーの撃ち合いはあったものの、喧嘩マッチにならなかったのはアイスリボンだからこそでしょう。試合後テキーラ沙弥が華に睨みつけていましたし、明日もこの再戦のようなタッグ(まる子&トトロさつきvs華&直)が組まれています。本音は女子格3冠王者としてもっと上を目指す戦いに移行してほしい気はしますが、藤本つかさ選手代表ももう少しこのイデオロギー抗争を継続させたい感じでしたので、新世代軍の松屋うのから星いぶきにチェンジして8Wayをさせるのも良いような気はします(4vs4は既に行っているので)。

 

 

◆第6試合 トライアングルリボン選手権試合15分1本勝負
×つくし【挑戦者】(8分47秒 ジャパニーズ・オーシャン・サイクロン・スープレックス・ホールド)藤本つかさ◯【推薦者】 ※もう1人は【王者】豊田真奈美

 

この試合、面白かったのがセコンドの並び。豊田には当然のように世羅が付き藤本にはDATE勢。そしてほぼ残りはつくしに付くという如何にものポジションが興味深いものでした。

 

試合は思った通り序盤は藤本とつくしが豊田を攻め、それを重い一発で返すという流れ。時間が経過するに従い2人は公約通りに豊田から継承された技を狙っていきますが、そう簡単に上がらない。ここで藤本は気持ちを切り換えましたね。試合後に「勝って悔しい」と言ってましたが、豊田を持ち上げるのに執着するよりベルトを取る為につくしに狙いを変えたのが勝因だったと思います。つくしもハルカゼで勝ちに行ったのですが、まだ豊田のスタミナがある状況ではカットに入られてしまう。その後に豊田をジャーマンで投げたのは組み立てミスだったかもですね。藤本がビーナスシュートで豊田を排除しつくしにサイクロンを放って6年ぶりに王者返り咲きを果たしました。結果的には豊田を越える事は出来なかったものの、藤本の作戦勝ちだったように思えました。

 

試合後のマイクで豊田はこの会場で引退試合を行う事から、最後にこのマットで私を潰してくれと2人に告げました。バックステージやTwitterでも「2人に賭けてみたい」と語ってますし、主催者でもあるOZアカデミーの興行では明言はしませんでしたけど、ほぼ2人がラストマッチで対角線に立つ事は間違いなさそうです。タッグになるか6人タッグ以上になるかは決めてないとの事ですが、最後は2人が豊田の技を連発してフィニッシュになると良いですね。

 

それにしても厄介な3Way王者が誕生したと思います。これからアイスリボンの内部を暴露するようなマッチメイクをすると語り、早速明日同級生マッチを組んできました(藤本vs沙弥vs松屋うの)。この先どういう展開になるか楽しみでもあり戦々恐々な面もあります。

 

 

エンディングの締めはシングル王者の世羅。最近の流れではつくしかまる子なのですが、この大会が旗揚げ11周年記念の意味合いがあったというのも考慮されてのものでしょう。しっかりその事を意識した締め方でした。ちょっと物足りない試合もありましたけど全体的には今のアイスリボンの勢いを見せつけろような興行で満足のいく大会でした。来週4日にニコプロで中継がありますが、現段階でのベストバウトはセミファイナルですね。このキャリアでこれだけの戦いをした訳ですからね。MVPはそれを制した華DATE。元々実力的にまる子に勝てると思ってましたが、格闘技と違いスタミナ面でどうかと思いましたけど、13分超えの試合を制しましたからね。これからもっと上を目指していってほしいと思いました。