昨日また1軒の銭湯が歴史の幕を閉じました。

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東京メトロ丸の内線新高円寺駅から南へ10分足らず。堀之内小学校の真北にある小宝湯。立派な破風造りの門構え。屋号入りの暖簾をくぐると中央に横入れ式の傘置きがあり両サイドに下駄箱がある昔ながらのスタイル。傘置きの上には廃業を伝える張り紙が寂しさを伝えます。


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脱衣場に入ると番台をひっくり返したように逆向きになったフロント。そこには確かに高齢のおばあさんが座ってました。当然スタンプは自分押し。さて内部。当然格天井ですし中央には大きな振り子の柱時計が存在感を現しています。ここの脱衣場の特徴は何気に絵画のパネルが多いこと。柱周りにズラッと並んでいました。外に目をやると坪庭があり稼動はしてないものの石の灯篭や幾つもの石の置物があり風情を感じました。丁度窓の手前に木調の長椅子があって夏場などは庭を眺めながら夕涼みを楽しんだのでしょうね。ロッカーは今風の真ん中に荷物を置くスペースのあるシリンダー式のが壁際に二つと中央に島になったものが1つ。昔ながらのマッサージ機とアナログ体重計もありました。



浴室。目を引いたのは今時珍しいほどのカランの数。長い板ガラスという古風なスタイルな2列の島カランにシャワー付きのカランが各6ずつ、両サイドに7個の計38のカランが並んでいる姿は最近殆ど見かけません。当然の二段天井で最奥の壁には丸山師の作による西伊豆から見た富士山のペンキ絵。昨年5月に書かれたその絵は存在感を与えていました。



浴槽は正攻法の一列2槽式。ある意味王道ですが背景画に向かって左が浅いバイブラで右が深い座り風呂。温度も標準的な42,3度って感じで入りやすい熱さ。この日はヨモギの入浴剤が入っていて緑色の湯にいい香りがしていました。



帰りには番台に息子さんらしい若い男性が座っていましたから本来なら跡継ぎに任せられたのでしょうけど時代なのでしょうか。場所柄か地元に愛された地域密着型のように見受けましたけどね。高円寺界隈ではこの夏に1軒廃業したところもありますし特に南エリアは段々なくなってしまうのが心配です。中には逆に周りの廃業で奮起した吉の湯みたいなケースもありますが・・・。このようないい銭湯が今後なくなることの無い様地元の人たちだけでなく、銭湯好きな人一人一人が支えなければとの思いを抱き店を後にしました。合掌。