読書を愉しむ!!

読書を愉しむ!!

小説を中心に、読書の記録管理と感想をまとめています。
主にカフェ読み、バー読み、風呂読みetc してます。
みなさんの読書の参考になればと思います。

読んだ本を★マークで評価。


★★★★★ →必読の1冊!最優先に読んでほしい本  

★★★★☆ →オススメの1冊!是非読んでほしい本!

★★★☆☆ →面白い本。時間があれば手にとってみるのも良し!

★★☆☆☆ →個人的にはススメナイ。他を読んだほうが良いと思います。

★☆☆☆☆ →駄本。読んではいけない(ノーリンク)  

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★★★☆☆ 放課後

第31回 江戸川乱歩賞 (1985年)

嫁がBOOKOFFで買ってきた古本を手に取ってみた。
東野圭吾の実質デビュー作。
私立清華女子高等学校で起こる殺人事件。
学園モノということで、青春と本格推理を絡めた作品となっている。

女子高の数学教諭であり、また、アーチェリー部の顧問である前島が主人公。
(なお、著者は大学時代にアーチェリー部であったとか・・・)

元エンジニアという異色の肩書をもつ前島は、教師となるも、自分が教師に向いていないと自覚しており、生徒との距離を置いた教鞭スタイルをとっていた。
授業中に雑談もしない前島のことを、生徒たちは「マシン」と読んでいた。

そんな前島は、最近になって何者かに命を狙われはじめていた。
しかもそれは学園内での出来事であった。
前島は不吉に思うも、校長や周囲の人間は取り合ってくれず、自分の学内での立ち振る舞いを振り返り、特定の生徒や、同僚の教師に疑念を抱きはじめていた・・・

だが、ある日の放課後。
ついに事件が起こる。
ある男性教員が学園内で殺害されたのである。
前島は、アーチェリー部の練習終了後、生徒とともにその死体を発見してしまう。

これまでの経緯から、前島は自分も事件に関係しているのではないかと疑義を持ち、第一発見者として警察の捜査協力をしつつも、自分自身でこの事件の真相を明らかにしようと決意する。


はできるかと思われる。

また、事件の謎解きと並行して、東野圭吾らしい伏線→結末も用意されていた。
デビュー作らしく、現在の著者のスタイルの萌芽をみるようだった。

大人気作家となったため、今更デビュー作に手を伸ばすこともないと思われるため、★は3つ
自宅の本棚にあったから読んでみたが、自分で買うまでもないと思う。
みなさんも、友人知人から借りて読んでみて。

 

 

 ★★★☆☆ 仮面山荘殺人事件

1990年 徳間書店

結婚を目前に控えた樫間高之と森崎朋美。
朋美は、父の所有する湖のほとりの別荘地で結婚式をあげることが、小さいころからの夢であった。
ようやくその夢が実現する・・・ 喜びと期待を胸に、精力的に式の準備を進める朋美に突如、悲劇が・・・

悲しみに暮れながらも、高之は森崎製薬社長である森崎伸彦が所有する山荘に招かれ、森崎一家とその親戚、秘書達と、男女8人で避暑を楽しむことに。
しかし、その晩。山荘に逃亡中の銀行強盗が侵入し、8人は監禁されてしまう。
必死に脱出を試みるも、侵入者の周到な監視の下、打つ手はなくなる。
緊張と恐怖の中、ついに一人の犠牲者がでてしまうが、なんと犯人は銀行強盗ではないという!

東野圭吾が用意するトリックには脱帽。
何作品も読んできたけれど、これまた予想を超えた展開であり、著者の幅の広さ、そしてアイディアの豊富さに感嘆させられた。
大方の予想はついたものの、根本部分にはたどり着けなかった。
というか、思いもよらなかった。
本格推理小説としては、なかなか面白い構成だった。

だが、東野作品として特筆すべき一冊とまではいかない。
ということで、★は3つ。
時間のある方は読んでみてください。






 ★★★☆☆ 死神の精度

第57回日本推理作家協会賞 短編部門受賞(2004年)
第134回直木賞候補(2006年)
2006年本屋大賞 第3位受賞

全6編からなる短編小説。
登場人物とストーリーに連続性がある、連関短編もの。
以下、そのタイトル。
 1.死神の精度
 2.死神と藤田
 3.吹雪に死神
 4.恋愛で死神
 5.旅路を死神
 6.死神対老女

この本の中では、死期の近づいている人間の近くに死神が現われ、1週間の調査ののち、その死神が対象者の死に可否の判断を下すというもの。
上記6編は、「千葉」という名前をもつ死神が関わる6人の人間に関する物語。
各編のタイトルでわかるとおり、様々なテーマと場面設定でどれも飽きずに読める。

死にまつわるストーリーであるが、死神の立ち振る舞い、情景描写がヘンに淡々としていて独特の雰囲気を醸し出してる。
千葉の素朴な問いかけ、人間界のあたりまえを疑問に思う姿など、ちょっと哲学的に感じる場面も。
不慮・不測の死を必然的なものに置き換えて描いていて、ヒトの死を客観的に見る視点が良い。
でも、決して重たい内容の作品ではなく、読みやすく、さくさく進んだ。
連関短編小説としての構成も素晴らしかった。
是非、第1編から間をあけずに続けて読んでほしい。
通読して初めて作品全体の良さを感じることができる。

短編小説いいな。
★★★☆☆

銀行フィクション小説。
全体を通じた一つのストーリーであるが、各章完結の短編連作モノ。

大手銀行を舞台に、本部営業指導に配属されたスーパー女事務員(花咲舞)と少し惚けた元融資担当の調査役(相馬)が、支店の事務過誤を調査・改善していいく中で、最終的には銀行全体の腐敗体質に一石を投じるといった内容。

銀行小説というジャンル、特にタイトルからは「社会派」で難しい内容を想定するが、非常に軽いタッチで読みやすい。

シリアス感は無く、銀行を舞台としたドタバタ劇を楽しく読む、という感覚だった。きっと、カッコいい女優さんを主演にした痛快ドラマにするとちょうど良いのではないか。
(例えると篠原涼子が出ていたハケン職員が正社員を・・・といった感じ)

必読、オススメ!とまではいかないが、時間に余裕があり、軽く企業モノ小説を読みたい方、読んでみてください。
なお、既に著者の別作を読まれている方は、敬遠してよろしいかと。
 ★★★★☆

第145回直木賞作品 (2011上半期)

WOWOWドラマにもなった一作。ドラマを見逃したのをきっかけに読始。
初めて手にした池井戸潤氏の作品。

元ロケットエンジン研究者であり、打ち上げ失敗を機にその道を挫折した中小企業の社長が主役の、モノづくりのロマンが満載の企業小説。

大企業と中小企業の間で繰り広げられる技術経営(特許、知財訴訟、M&A等)
の攻防がリアルに再現されている。

正直に面白かった。

韓国、中国に追いつき追い越されつつある日本の製造業。
グローバル化が進む中で限界が見え始めている大手主導の日本型ビジネスモデルに焦点をあて、下請として四苦八苦しながら匠の技を守ってきた町工場にスポットを当てた本作品は、現代の時代背景を捉えた良作だと思う。
日本の製造業が中国などと競争していくのは、きっとこういうトコロなのだろう。

若干美化しすぎの感もあるけど、それは小説。
是非、技術系の方に限らず、多くの方に楽しんでもらえる一冊だと思う。
 ★★★★☆ 悪意

1996年 双葉社
2001年 講談社文庫
2001年 NHKドラマ 

ドラマ「新参者」でおなじみの加賀恭一郎シリーズ。第4作。

有名小説家の日高邦彦が自宅で死体となって発見された・・・
死体の第一発見者は児童小説家の野々口修。
事件を担当する加賀恭一郎と野々口は以前勤めていた中学校の同僚であった。

作家・野々口修の手記(事件経緯の説明、日高との関係の独白など)と加賀恭一郎の事件記録を交互に読んでいくという形式でストーリーが展開される。
簡単な事件と思いきや、その裏には隠された真実(悪意)が!後半にかけての急展開は一気に読み上げてしまう面白さがあった。
作家だからこそ描ける作家ならではの“仕掛け”!!
改めて、東野圭吾の構成力、推理小説としてのクオリティの高さに感心した!!!
ほんと飽きさせないなぁ(^_^)
 ★★★☆☆ 東京島

2008年 新潮社
第44回谷崎潤一郎賞 受賞作

無人島に降り立つ。

無人島に流れ着いた23人の男たちと1人の女。
「トウキョウ」と呼ばれるようになった島では、唯一の女である清子を中心に、島の秩序・ルールが形成されていく。
清子は唯一の女性という「性」を武器に逞しく生き抜いていくといったストーリー。

非常に突飛な設定のため、ストーリーに入り込むのに少し苦労した(笑)
無人島という究極の環境下で様々な男性像が描かれ、清子の眼を通じて、男の弱さ・醜さが描かれている。
一方で、「東京島」の秩序が乱れるにつれ、自分の立場の変化に応じて行動する清子の姿には、生々しい女性の狡猾さが描かれていてとても印象的だった。

あまりにもぶっとんだ設定のストーリー。どのように完結するのか興味深く読み進めていたが、最後は…
真に桐野文学!

★★★☆☆ 宿命

1990年 講談社
2004年 WOWOWドラマ (藤木直人、柏原崇)

「変身」につづき、東野圭吾の「宿命」を読了。
本格的な推理小説。
1990年発表ということで、約20年前の作品。
小学校~高校にかけてのライバル同士が、大人になり刑事と容疑者という立場で再会し、事件の展開とともに、二人の”宿命”の対決が展開されるというストーリー。

この小説では、推理小説と言いながらも殺人事件自体がメインではない。2人の幼なじみの因縁、そしてその家族を含めて複雑に絡み合った”不思議な糸”について、主人公・勇作が解明してくことが話の中心に据えられている。

正直なところ、設定や背景に凝りすぎなところが見受けられる。
著者は”意外性”ということに意欲的に取り組んだそうだが、”意外性”を追求しすぎるあまり、前段の伏線と結果のオチのリンクが弱かった気が・・・

まあ、読者に先を読ませないのが推理小説だからよいのかな。
でも、単純な事件モノとは趣向が異なるので、結構楽しめた。
個人的な感想としては★3つ。

 ★★★★☆ 変身

1991年 講談社


大学病院のベッドの上で目を覚ました主人公・成瀬純一。
自分が何故そのようなところにいるのか覚えていない。
そんな純一は、脳医学の権威・堂元から、自分が脳移植手術を受けたこと、そしてそれが世界初の偉業であることを伝えられる。

脳移植は成功したが、その影響で徐々に嗜好や人格が変化してく純一・・・
戸惑いながらも、恋人や職場の人々との関わりの中で自分を取り戻そうとするが、逆に、自分を知る人との接触を通じ、徐々に自分自身を失っていくことを実感する・・・

苦悩しながら精神崩壊を起こしていく描写が悲劇的でよかった。
主人公が追い求める”謎”については早々に予想がついたけど、悲劇的な結末には、”著者の一筋縄ではいかない”思惑が感じられ、良作だと思う。

東野圭吾作品は、よくドラマや映画にされており、コテコテの推理小説ばかりと思っていたが、本作はそのカテゴリに入るとはいえない。

これを機に、著者の作品を読もうと思う。
 ★★★★☆ 柔らかな頬

第121回直木賞受賞作(1999年)

桐野夏生氏の著書。初読み。
小説を読むときには、その場面を想像したり、この先どうなるのかな‥って想像したりするけど、本作品は読者の想像をことごとく裏切ってくれる!
そんなストーリー展開に、これまでに読んだ小説には無い新鮮さを感じた。

田舎での生活では、自分のこだわりも何処かズレていて、高校時代に北海道の実家から飛び出した主人公のカスミ。
田舎を飛び出したはいいが、東京での生活では、期待していたようものとは程遠い・・・
結婚するも夫の友人と浮気をするなど、人生の歯車が徐々にずれていく...
そして、浮気相手との逢瀬を楽しむために向かった、北海道支笏湖の別荘で、今度は自分の子供が失踪してしまう。
必死に子供を捜索するカスミ。 子供をめぐり、夫との心の距離は次第に離れていき、そして燃えるように愛した人も豹変する‥
更に戻る場所さえも見失っていく姿は悲惨。

カスミの信念はことごとく裏切られる。
そして読者の期待、想像をも裏切る展開!
桐野氏の創作の徹底ぶりには驚嘆を覚えた。

桐野夏生、非常に面白い。
ぜひ、一読をオススメ。