(見えない仕組みを見る 758)

大河ドラマ「天地人」を少しずつ見ていますが。

第15回「御館(おたて)の乱」で去って行った登場人物がどうしても気になりました。




「天地人」は戦国時代、越後(新潟県)の英雄・上杉謙信の頃から始まります。

毘沙門天に帰依し、生涯不犯、独身を通す誓いを立て、妻も側室もなく、実子もない。

越後を治めていた謙信は、姉の息子・景勝、そして北条家からの人質を景虎と命名して養子にします。

ドラマの主人公・樋口兼続(後の直江兼続)は幼い頃から景勝に使えている家臣の一人。




連戦連勝、負け知らずの上杉謙信、病に倒れ、跡取りを決めずに亡くなる。

謙信の元にまとまっていた家臣団が2人の養子の派閥に分かれて争いだす。

直江家の妻が咄嗟に嘘をつき、景勝が跡取りという遺言で場を収めるものの、景虎の家臣が猛反発。

ついに、上杉家の家臣同士の戦、御館(おたて)の乱になり、1年が経つ頃、景虎が負けて自害。




この景虎を演じてるのが玉山鉄二さん。

むっちゃイケメンのこの人、大河ドラマに何度も出て、朝の連ドラ「マッサン」でもおなじみ。

その景虎が北条家からやってきた時についてきた家臣の一人が、遠山康光。




大河ドラマ「天地人」では、この、景虎の家臣・遠山康光が、むっちゃ悪役。

おじさんだけど、まさに悪役の顔だし、陰でこそこそズルいことばかり。




勇猛かつ明晰な景虎は、景勝が跡取りとなって悔しいけど、景勝を信じ、我慢して従おうとする。

謙信の葬儀の前夜、景虎の家臣の一人が先走り、景勝に夜襲をかけるが返り討ちで落命。

景虎は、自分は一切知らなかったと景勝に謝るが、傍にいた兼続に念を押され、激怒。

ワシの言葉を信じぬとは許せん!

それを見ていた遠山康光。

景虎に内緒で北条家と連絡を取り、景虎を跡取りにするため援軍を請う。

その密書を手に入れた兼続の父親が、兼続に、先に本丸(君主の居城で遺産もある所)を抑えさせる。




本丸を抑えるという行為に、景勝を信用できなくなった景虎は戦う決意をする。

その景虎を陰で見ている遠山康光がほくそ笑む。

「ただの虎かと思っていたが、なかなかの大将の器じゃ」

つまり、これなら使える、と。




遠山康光が顔をゆがめて笑うのを見て。

ドラマの景虎は家臣に恵まれなかったんだなぁと気の毒になりましたよ。

炊きつけておいて、本当にやるのか試したわけです。




その後も。

景虎の家臣が景勝に夜襲をかけたのは、景勝側が仕組んだこと、怒らせて夜襲をかけさせた。

と景虎に吹きこむ。

景勝殿はそんなことはしない!と言う景虎。

あの方はそうでしょうが、周りにいる者はどうだか、としつこく。

遠山は、景勝の家臣、兼続が全てを企んだと思わせる。

景虎はまんまと乗せられ、兼続を憎み始める。




景虎の妻の華姫が、遠山は北条家の者で信用してはいけません!と言うと。

ワシも北条家の者じゃ!とまた激怒。

つまり、遠山康光を信じていた。

でも、最後に、景虎が諦めて自害すると決めた時。

遠山「私は北条家に戻ります」

暗闇の中でいやらしくニッと笑って去る。

付き従うのもここまでだ、って感じ。





もう、遠山康光の悪役ぶりが見事すぎて。

この身内同士の戦はお前のせいやろ!と叫びたいくらい。



で、むっちゃ気になって遠山康光を調べると、実際にいた人で、景虎の母方の親戚と言われてる。

史実では、北条家と連絡を取りながら景虎を支え、最後に景虎が自害した時も後を追ったらしい。




見ていて腹が立つほどの悪役ぶりは、俳優さんの力量ですね。

螢雪次朗(ホタル ユキジロウ)さん、当時57歳かな、初めて見た役者さん。

昔のガメラの映画に出てたらしい。




史実を曲げて悪役にして、それを螢雪次朗さんが見事に演じたおかげで、遠山康光という全く無名の人物に光が当たった。

「天地人」を見て遠山康光について調べた人、けっこういるみたいです。





大河ドラマって、名も無き歴史上の人物に光を当てる役目もありますね。





見えない仕組みナビゲーター・真起子
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