(見えない仕組みを見る 712)
大河ドラマ「篤姫」で、むっちゃ感動し、泣けた場面、まだあります。
第44回「龍馬死すとも」
薩摩の大久保・西郷は、公家の岩倉具視と手を組み、討幕&将軍慶喜討伐を目指す。
討幕も戦もダメ、という考えの薩摩藩家老の小松帯刀・土佐の坂本龍馬は、大政奉還を慶喜に勧める。
幕府が握っていた政権を朝廷にお返しするのが大政奉還。
これを慶喜は受け入れ、徳川家は一大名になり、討幕派は幕府を討つという大義名分を失う。
(慶喜には朝廷が政権を再び徳川に委ねるという目算があった)
徳川家が一大名、幕府も将軍も御台所もいない、大奥はどうなるの!?と女たちは騒ぐ。
うろたえた天璋院篤姫は、再三にわたり勝海舟を呼び出していた。
勝がやっと大奥に現れる。
大政奉還について天璋院に説明し、大事な弟子の坂本龍馬が京都で斬り殺されたと告げる。
薩摩藩家老の小松帯刀は坂本龍馬の盟友で、共に命をかけていたとも。
勝「私も、これから日本国のために戦います。無駄な血を一滴たりとも流させないために、戦っていく覚悟を決めました」
天璋院はギュッと目をつぶり、やがて目を開け。
天璋院「私も覚悟を決めることにする。勝と同じく、戦う覚悟を」
「私は今、己を恥じておる。大政奉還の騒ぎで自らを見失っておったのじゃ」
「自分がやらねばならぬこと、やると決めたことを忘れ去り、そなたに助けを求めようとしておった」
「私も戦う。己がやるべきことをやる。日本国のために命をかけた小松帯刀と、その坂本龍馬に恥じぬようにな」
勝、深々と頭を下げてひれ伏す。
天璋院は、本寿院(姑)や和宮(義理の娘)や滝川など大奥の主だった者達を前に座し。
天璋院「皆に集まってもろうたのは他でもない。一つだけ、申し伝えておきたいことがある故じゃ」
「(強い口調で)大奥は安泰である!」
本寿院「どこか安泰じゃ…。幕府からして揺らいでおると言うに…」
天璋院「幕府に、我らを守る力がない今、これより、大奥と徳川家は、(強い口調で)この天璋院が守って参る!」
「天下の形勢、人の思惑に左右されるのは、今日を限りにやめとする。大奥を守るためなら、一命にかけても、私が戦う!」
「(口調を和らげ)それを、伝えておきたかったのじゃ」
宮さま「母上様、私も、徳川に嫁いだ身。母上様と共に戦う覚悟は、出来ております」
天璋院「(笑顔で)皆の者、聴いたであろう。大奥は、私と宮さまが守ってみせる!」
本寿院、思わず立ち上がり「私とて!…、戦う…、覚悟くらい…」
天璋院「(笑顔で)聴いたか。母上様もかように仰せくださっておる」
「このこと、下々の者にまで伝え、安心させてやってもらいたい。よいな」
一同、ひれ伏す。
史実では、天璋院もかなりうろたえ、自害する!と言ったりしたそうです。
うまくいかなかった義理の娘である和宮とは、大奥を守るという点で一致団結できたようで。
勝海舟にいたっては、実際に天璋院に会ったのはこの騒ぎの時が初めてだったらしい。
NHKの放映より20年も前に「天璋院篤姫」を書いた原作の宮尾登美子さん。
ふと興味を持ち、調べると、京から西の地域では天璋院と言えば京の和宮をいじめた姑、と評判は芳しくなかった。
でも、生粋の江戸っ子、根っからの東京人は、天璋院は立派な方だったと伝え聞いてる人が多い。
脚本の田淵久美子さんは、あまり知られてなかった篤姫を発掘された宮尾登美子さんに感謝しつつ。
大河ドラマ「篤姫」では、現代の若い女性に共感してもらえる篤姫像を描きたいと。
その思いから、この感動的なドラマが出来上がったようです。
ドラマの収録を終えた宮崎あおいさんが言ってます。
篤姫の衣装を着てカメラの前に立つと、篤姫を生きるという感覚になる。
自分の実年齢を超えるとどう演じればいいか考えてもわからない。
でも、篤姫の魂が自分に下りてきてる感覚があった。
それなら、自分の感じるままに演じることが、篤姫の思いを生きることになる。
それで安心してやれましたと。
史実とはちょっと違う篤姫像が出来上がったみたいだけど。
リアル篤姫さんの魂が宮崎あおいさんを助け。
当時は出来なかったことや言えなかったことを、あおい篤姫にやらせて言わせてたのかも。
私が大奥を守る!と言いきるあおい篤姫さんには、ホンマ、感動して泣けました。
見えない仕組みナビゲーター・真起子