(見えない仕組みを見る 705)
大河ドラマ「篤姫」を見続けていて、終盤にさしかかってます。
いろんな場面で、つい大河ドラマ「西郷どん」と比較してしまうのですが。
「篤姫」が一番人気で、「西郷どん」が不人気だった理由が見えてきたような気がして。
「篤姫」の主役はもちろん、天璋院篤姫さん。
でも、ダブル主役と言ってもいいくらいの準主役が、小松帯刀さん。
この歴史上の人物は、大河ドラマ「篤姫」で皆に知られたみたいですね。
それまでは、幕末と言えば(個人的には)坂本龍馬さん、勝海舟さん、桂小五郎さん、西郷隆盛さん、島津斉彬さん等。
でも、「篤姫」を見続けていると、そういう人達がかすむくらい、小松帯刀さんが活躍します。
演じているのは瑛太さん。
この人、「西郷どん」でも準主役で、大久保利通さんを演じてます。
だからややこしいんですけどね。
だって、「西郷どん」で大久保利通(大久保一蔵)さん=瑛太さんのイメージだったのに。
「篤姫」では小松帯刀さん、明るくて社交的な人を演じていて、イメージが全く違う。
2008年の「篤姫」から2018年の「西郷どん」、10年経ってるので、瑛太さんが成長された証かも。
で、小松帯刀さんは、何が凄いかと言うと。
薩摩という上下関係のきつい土地で上層階級の家柄に生まれたのに、若い頃から身分の上下を問わない人だった。
下級藩士と仲良く交流し、自分が出世したら自分の下にいる藩士達を取りたて、あちこちへ精力的に活動。
名君と言われた薩摩藩主・島津斉彬に見いだされ、次の藩主後見役・島津久光にも信頼された。
島津久光に徹底的に嫌われた西郷隆盛を支えて活躍させ、藩主に見出してもらえてなかった大久保一蔵を活躍させる。
で、島津久光の元で城代家老=家臣の頂点に立つ。
しかもその地位をフル活用して藩政を行い、職を失った坂本龍馬と仲間達に資金援助して海援隊が生まれる。
なんか、スーパー家老じゃないですか!
どうやら、大河ドラマ「篤姫」に描かれている篤姫との交流は記録にないみたいで。
小松帯刀と篤姫、というほのかな恋愛関係はNHKの創作のようです。
まぁ大河ドラマはドラマなので、創作があって見ごたえのある展開になるんでしょう。
で、「篤姫」で小松帯刀さんの活躍ぶりを見た歴史通の人達が「西郷どん」を見ると。
そりゃ、不満だろうなと。
だって、小松帯刀さん、添え物だもんね。
小松帯刀さんがお膳立てしたり奔走した部分が、西郷どんの功績に見えるし。
西郷どんをスーパー主役にすると、小松帯刀さんの功績まで詳しく表現できないと思う。
小松帯刀さんを出しちゃったら、その活躍ぶりが西郷どんと並んでしまう。
西郷どんと大久保一蔵さんを見せようと思ったら、小松帯刀さんまで出せない。
現実に時間が足りないだろうと。
「龍馬伝」でもそう。
坂本龍馬をスーパー主役にしたから、西郷どんや小松帯刀さんの功績はあまり出てなかった。
ただ、演技力で言うと。
「篤姫」の宮崎あおいさんの篤姫は見事で、「西郷どん」の鈴木亮平さんの西郷どんも圧巻でした。
宮崎あおい・篤姫、鈴木亮平・西郷どんは、甲乙つけがたい。
表情の細かい変化、声音の使い分け、仕草、台詞での表現など、マジ見ごたえあります。
史実や人物の功績にこだわって見ていると、「篤姫」の方がはるかに上かな。
でも、俳優の演技や場面の雰囲気を素直に見ていると、「篤姫」も「西郷どん」もすごい。
さらに言うなら。
「篤姫」で見たものが全て史実だ、と思いこんでると、実はそうでもなかったりする。
そこかしこにNHKオリジナルが見えるし、ドラマにする工夫があるし。
「西郷どん」は史実を使って創作したNHKオリジナルのドラマって感じ。
ともかく、小松帯刀さんが長生きしてたら、と誰もが思うような人なんですね。
戊辰戦争も西南戦争もあんな悲惨なことにはならなかっただろうって。
その小松帯刀さんを世に出したのが、大河ドラマ「篤姫」。
主軸になってる小松帯刀さんの篤姫への愛が創作だとわかってても。
やっぱり、篤姫を語るには薩摩も描かないと片手落ちだし。
同い年の小松帯刀さんを準主役で登場させたのは正解だったでしょうね。
大河ドラマ「篤姫」、終盤の展開が楽しみ〜。
見えない仕組みナビゲーター・真起子