アメリカ
監督:リチャード・フライシャー、舛田利雄、深作欣二
出演:山村聡、東野英治郎、三橋達也、田村高広、マーチン・バルサム、ジョセフ・コットン、ジェーソン・ロバーズ、島田正吾
太平洋戦争の戦端となった日本軍によるハワイ真珠湾奇襲攻撃を描く。
脚本は小国英雄、菊島隆三、ラリー・フォレスタ
日米ともに色々と言い分のある真珠湾攻撃。
これを公的資料と関係者の証言のみを基盤として、歴史的観点から両国をきわめて公平に扱っているというのが本作品の大きな特徴です。
また、日本側シークエンスは脚本に小国英雄と菊島隆三、そして日本の撮影所で日本人監督、スタッフによって製作されており、例のごときハリウッド的「ヘンな日本」は微塵も登場しない、という希有な映画となりました。
さて、前半は日米開戦を何とか阻止しようとする人々の懸命な政治的動きと共に、開戦に向けての日米両軍の動きが時系列で淡々と描かれます。
日米共に実にシブいキャスティングですが、日米交渉を任された野村駐米大使を演ずる島田正吾の重厚な演技が印象に残ります。
しかし、この作品の主役はズバリ飛行機。
残存する実機が惜しみなく投入された米軍機も素晴らしいのですが、何といってもT-6練習機などを改造した旧日本軍機がスゴい。
それもこれも、残存する日本軍機で実際動かせるものが当時全くなかったからですが、かなり細かく作り込んであって、アップになっても殆ど違和感がありません。
この点、アメリカ側美術スタッフの仕事は非常に念入りです。
払暁、次々と空母を発艦していくゼロ戦や99艦爆、97艦攻の勇姿。
そして朝焼け空をバックに飛ぶ大編隊の美しさ
ここはもう本当当に大画面で観たい。
真珠湾突入から空襲シーンは、航空スタントの見せ場に次ぐ見せ場。
離陸直後に背後からゼロ戦の機銃を浴びて地面に叩きつけられ炎上するP-40とか、いったいどうやって撮ったのか。
そしてB-17片脚着陸の大技
本物の戦場の臭いを漂わせる凄みのある戦争スペクタクル。
よーするに本物の戦争映画にロマンスなんかいらんっちゅうハナシですよ。