映画/『「女の小箱」より 夫が見た』 | みやのすけの映画倉庫/『ゴジラVSコング』への道
2009/神保町シアターにて
1964年2月15日公開
大映
監督:増村保造
出演:若尾文子、田宮二郎、川崎敬三、岸田今日子、江波杏子

いや~もう何か生ガキ嫌というほど食わされた感じで、胸やけがします。

私の周りの映画好きでも「増村はちょっとな~」っていう人は結構居ますね。

初期の「巨人と玩具」あたりはモダンでキレがあったのですが、いつの頃からか情念の世界をどっぷりと描く、粘っこい作風に変わってきました。
そういう時期にも傑作はあるのですが、これはさすがにちょっと…。

ただ、本作が若尾文子の魅力を100%引き出してるのは認めざるを得ません。
この作品の若尾文子は物凄くきれいです。貞淑だが倦怠期の妻、若尾文子は好演で、隠そうとしても滲み出る色香がもうたまりません。

いつもクールな悪党田宮二郎もたまらず陥落して、柄にもなく純愛を貫こうとしたばっかりにヒドイ目に合います。

ラスト、血まみれの田宮を抱き続ける若尾文子の姿は、純愛を通り越して不気味なのですが、血にまみれて汚れても更に輝きが増していて、なんかもう女ってすげーと、呆然としてしまいますね。

このシーンがまた例によって念入りにしつこく、画面から血が臭うようで(ちなみに本作はカラーです)もう降参したくなります。

最後に、岸田今日子コワっビックリマーク怖すぎビックリマーク

晩年(例えば「傷だらけの天使」や「犬神家の一族」など)の彼女しか知らない人。
彼女は「砂の女」や「卍」など、一種のセックスシンボルとして扱われていた時期があるのだよ。信じられないでしょ?
確かに奇妙な色気があるんですよね。

そして教訓。
岸田今日子を決して裏切ってはいけない。

スター若尾文子が、岸田今日子の怪演に食われた形の作品。
そういう意味では一見の価値はあるかも。

原作は黒岩重吾、脚本は高岩肇、野上竜男。
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