映画/『引き裂かれたカーテン』 | みやのすけの映画倉庫/『ゴジラVSコング』への道
1966年
アメリカ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ポール・ニューマン、ジュリー・アンドリュース

アメリカの物理学者アームストロング博士(ポール・ニューマン)が突然東ドイツへ亡命する。
夫は売国奴なのか?助手であり婚約者でもあるサラ(ジュリー・アンドリュース)は苦悩するが…。

東西冷戦を背景にしたスパイサスペンスです。

ヒッチコックは昔からスパイものや、スパイが登場する物語を好みますが、それは単純に冒険物語をスリリングにする道具建てに過ぎません。
従って現実の政治力学や、複雑な人間関係にはあまり興味がないようです。

しかしこの作品が製作された当時は、ジョン・ル・カレなど国際謀略の世界をリアルに描いたスパイ小説が注目されており、本作は当時「古い」と評価されました。

確かに、現在の目で観ると、迎撃ミサイル開発合戦の渦中にあるそれなりに名の通った科学者が、なぜ危険を冒してスパイとして東側に潜入したりするのか?という疑問はあります。
しかし、そういう古さ、不自然さをテクニックでカバーしてしまうのがヒッチコックの凄いところ。

アームストロングとサラを監視する秘密警察の男(昔ニューヨークに住んでいたことをやたら自慢するのがおかしい)や、反政府勢力の面々など、面白いキャラクター。

また、ヒッチコック作品ならではのスリルも盛り沢山。
東側のミサイル研究の権威に肝心の数式を聞き出すためにポール・ニューマンが苦心するシーン。

二人がバスで東ベルリンを脱出するまで、これでもかこれでもかと起きる不測の事態。

確かに突っ込み所は多々ありますが、やはり最後は手に汗握ってハラハラと見てしまう。
この辺の語りの上手さが、腐ってもヒッチコックです。
ただし、本作の後「フレンジー」で見事に復活することを付言しておきます。

それにしても…、ポール・ニューマンの恋人役がジュリー・アンドリュースってのはどうしても違和感が。
勝手にノコノコ東ベルリンまでついてきた上、頑として帰らない。
あんたは松原智恵子かっ!
これが日本映画ならポール・ニューマンは死んでましたね、ハイ(笑)。

本作も来月BSプレミアムで放映予定です。
ご参考までに。


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