映画/「メインテーマ」 | みやのすけの映画倉庫/『ゴジラVSコング』への道

1984年
角川映画
監督:森田芳光
出演:薬師丸ひろ子、野村宏伸、財津和夫、桃井かおり

幼稚園の先生薬師丸ひろ子、彼女が憧れる中年男性財津和夫、彼と長年愛人関係にあるジャズシンガー桃井かおり、風来坊のようなマジシャン野村宏伸、四人の男女の絡み合う恋模様を描く。
原作片岡義男、脚色森田芳光。

誰もいない幼稚園の園庭、そこにわらわらと現れる不思議な仮面を被った子供達、追いかける薬師丸ひろ子…。
いかにも森田芳光監督らしい才走った映像で物語が始まる。

四人の主要登場人物の物語は東京から大阪、神戸、沖縄と場所を移しながら展開し、前田米造のカメラも良く、各カットからは森田監督の才気を感じる。

しかし、それらのカット、シーンはバラバラで、流れにならない。
ハイウェイに忽然と現れる満艦飾のデコトラの群れ、突然降り始めた土砂降りに濡れる若い二人を望遠で捉えたショットなど素晴らしいイメージだが、殆どのカットはそれだけで完結してしまい、まるでCFの寄せ集めみたい。
タイトルとは裏腹にこの作品には主題がないのだ。

財津和夫、野村宏伸(ハラハラする)を筆頭に太田裕美、渡辺真知子など演技の素人で固めた布陣にどのような理由があるのか今となってはわからないが、こうなると「プロ」の桃井かおりが断然魅力的。
ジャズクラブでスタンダードを歌う姿の良さはこの作品の数少ない見所。

ドロドロ話になりそうなところを、画面から徹底的に生々しさや肉体性を排除した森田監督の演出はいかにも80年代のアイドル映画といった感じ。

また、戸川純やマンガ家のひさうちみちおなどが登場するのが80年代サブカルチャーを象徴しているのだが、こういった趣向は今となっては逆に古さを感じさせる。

確かに、この当時のアイドル映画として見事なパッケージングともいえ、それも森田監督の一つの才能だとは思うが、そういうことは映画的本質とは関係ないのであり、その小器用さ故に彼は長いスランプに陥ることになる。

80年代のケーハクな空気を真空パックしたみたいで、今となっては気恥ずかしさを感じる作品。

珍しく水着姿まで見せる薬師丸ひろ子は一番きれいな頃(まあ、異論はあるでしょうなにひひ)で、文句なくカワイイニコニコ

あと、南佳孝作曲の主題歌、挿入歌もいいですね音符