映画/「翔んだカップル」 | みやのすけの映画倉庫/『ゴジラVSコング』への道
1980年
東宝/キティフィルム
監督:相米慎二
出演:薬師丸ひろ子、鶴見辰吾

九州から東京の高校に進学した田代勇介(鶴見辰吾)は、不動産屋の手違いで同じクラスの山葉圭(薬師丸ひろ子)と一つ屋根の下で暮らすことになる。
二人は互いに惹かれ合うが、なかなか素直になれず…。
柳沢きみおの人気マンガを原作に丸山昇一が脚色。

相米慎二監督はこれがデビュー作にもかかわらず、すでに作風が確立されているのが凄いですね。

相米といえば長回しですが、この作品でもワンシーン・ワンカットを多用。
高校生の男女が一つ屋根の下で一緒に暮らす緊張感、その微妙な空気がリアルに捉えられており、観ている方がムズムズしてきます。

実際、大人になってから観るとこの作品は、裸もベッドシーンもありませんが、濃厚なエロスを漂わせています。
例えば、二人がいつもの口論から、プロレスごっこになって、勇介が圭を押し倒すシーン。
ここも長いワンシーン・ワンカットなのですが、二人の体と心の動きが全て伝わってくるようでドキドキしますね。

勇介は本当は圭が好きなのですが、美人で優等生の杉村(石原真理子。美少女ですビックリマーク)の誘惑にフラフラなびいてします。
杉村の家にいる勇介を圭が突然訪ねて来て、二人が激しいケンカをするシーンが見事。
ここは鶴見辰吾、薬師丸ひろ子の気迫の演技もあり、ヒリヒリした空気がダイレクトに伝わってきます。

また、勇介の親友中山(尾見としのり)も圭のことが好きなのですが、勇介と圭の「同棲」(当然このことは誰にも秘密)を知ってしまい、学校に密告します。
次第に壊れていくクールな優等生を等身大で演じる尾見としのりがいいですね。

ただ、この作品はそうした青春の苛立ちと悶々を緊張感みなぎる演出でリアルに描きつつ、青春映画、アイドル映画としての楽しさを決して忘れていないところが素晴らしい。

圭の手料理(もやし炒め)を勇介が手づかみで食べるシーンなど、何ともいえずいいですねぇニコニコビックリマーク
また、二人の家の前は急な坂になっているのですが、この坂道が上手く使われています。
圭がブレーキの壊れた自転車で坂を下ってゴミ捨て場に突っ込むシーン(スタント無しビックリマーク)、二人がローラースケートで坂道を下るシーンなど、面白いです。
それから、ラスト近く、四人の「モグラたたき」のシーンの不思議な情感ビックリマーク

荒削りながら、瑞々しい相米監督の演出が光る傑作ですビックリマーク

ぜひ、ご覧下さいビックリマーク