みやのすけの映画倉庫/『ゴジラVSコング』への道
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1978年

香港

監督:ホー・メンファ
特殊技術:有川貞昌
出演:イブリン・クラフト、ダニー・リー

ヒマラヤの奥地に突然身長15メートルの北京原人が現れた!
いやいや、ヒマラヤ、15メートルという設定がすでに北京とも原人とも関係ないのですが、こんな所をいちいちツッコンでいたらキリがないので、先を急ぎますね。


原人がいきなり出てきて村を壊滅させるのがいいですね。

コーマンの三原則「開始10分以内に客を掴め!」に忠実です。


これを捕まえに探検家ジョニーと興行師がヒマラヤ奥地へ行くのですが、行くまでが大変で、わっ、象さんのスタンピードだっ!

わっ、人喰いトラがっ!

ああっ、底なし沼が!

げ、凄い断崖絶壁がっ!

あっ、女ターザン?
トラは馴らしてあるらしく、おそらくはじゃれているのでしょうが、傍目には襲われているようにしか見えません(笑)
それとヒマラヤ奥地に行くのにどうして海岸の絶壁を登っているのか不明。
辿り着くまでにシェルパが何人も死にますが、その都度何事もなかったかのように「さ、行こう」と出発するのがスゴい。
人でなし~!(ちなみにこの作品の登場人物でマトモに見えるのは原人だけ)

で、ようやく原人に会う頃にはジョニーは一人ぼっちになってしまいます。

ここまでたったの20分。


女ターザンはアウェイという名で、幼い頃飛行機事故でヒマラヤの奥地に取り残された女の子が原人に育てられた由。
金髪碧眼、肌も露わな皮ビキニスタイルで「ア~ァァ~ッ」と叫びながら現れるのがベタでいいです。
アウェイはトラ、ヒョウ、ゾウ、森のけものと仲良しです。
ヒョウがものすごく人に馴れててカワイイったらないのですが、アウェイの寝床にヒョウの毛皮が敷いてあるのをしかと見たぞ!

その後アウェイがワザとらしく内股をコブラに噛まれ、ジョニーが傷口を吸って毒を吐き出します。
アウェイの苦悶の表情がアノ表情にしか見えないのはコーマン三原則「客がダレてきたらお色気だ!」に忠実です。
アウェイの傷は原人の持ってきた薬草で治ります。
しかし、そんなこんなで性に目覚めたアウェイは毎日洞窟でジョニーと愛欲の日々。
面白くない原人がスネるのがカワイイ。

こうしてすっかり骨抜きになったアウェイは、ジョニーに誘われるまま、原人と香港へ行くことを承諾しますが…。

さて、香港へ行く船中ではジョニーがアウェイに服をプレゼント。
素直に皮ブラをとるアウェイですが、あれ?皮ブラにホックが…。
まあいいや、何だかんだで香港に着くとなぜかジョニーの昔の恋人と、弟の三角関係という因縁話が始まり、突然メロドラマに。
主人公不在の間に、原人は虐待されるわアウェイは悪徳興行主にレイプされそうになるわで、ついにブチ切れた原人は檻を破って暴れ出します!
怒れっ!いいぞ、いいぞ‼️

長年円谷英二の片腕として東宝特撮映画を支えてきた有川貞昌の腕は冴えに冴え、原人が暴れ廻り、破壊されるネオンきらびやかな香港の街のミニチュア・ワークは素晴らしく、怪獣映画ファンは感涙必至です。
本編と特撮シーンを編集でモザイクのように細かく繋ぐ手法はまさしく円谷英二直伝の職人芸で、本編監督との連携も見事。
ただし、特撮シーンはカットによって出来不出来の差が激しく、いいカットとダメなカットに「サンダ対ガイラ」と「ウルトラファイト」ぐらい差があります。

ヘリコプターの波状攻撃に耐えかねた原人はお約束の高層ビル登り。
苦戦するヘリコプター部隊に業を煮やした司令官は、ビル屋上の貯水タンクをガソリンで満タンにしてビルごと爆破せよという逆タワーリング・インフェルノな狂った命令。
爆破され、火だるまになって墜落する原人の凄まじさ!
ちなみにこのシーン、香港のスタッフが怖がって誰もやらなかったので、仕方なく原人の造形を担当した村瀬継蔵氏がやったそうです。

そして、余韻もツッコミも許さず「終劇」

私がここまでストーリーをダラダラ書くのは珍しいことですが、心配御無用‼️
これを読んでから実物を観たとしても、きっと作品は想像を遥かに超えています。
色んな意味で。

以前私の友人がこの作品を評して「金星人が作った映画」と、言ってましたが全く正しいと思います。

まあ要するに香港版キングコングなわけですが、少なくとも同時期に公開されたジョン・ギラーミン監督のリメイク版の10倍は面白い。
サービス満点、タランティーノ監督も愛して止まない映画です。