~♪~♪




車内を満たす音楽。

イントロが掛かる度、あっという間にあの頃に引き戻される。


この曲聞いてる時…
この歌よく歌ったよなぁ…



なんて。

思い出すのは四人の記憶ばかり。


いつだって、俺の隣にはあの四人がいた。




信号待ちをしていると、目の前を少年たちが駆けていく。

俺たちみたいな五人組の男の子。




あんな風にはしゃぎながら、俺たちも過ごしていたんだろうか。

何もかもが面白くて。何もかもがつまらなく思えていたあの頃…





高校には行った方が良いよ」ー




あの言葉がなかったら、俺はろくに学校にも行かずにいたのかもしれない。

そうしたら、今の俺もいなかったわけで…



一緒に想い出を共有できる唯一無二の仲間がいてくれることが、こんなに幸せなことなんだと。

この年になったからこそ分かる…




あの子達も、いつかこんな風に思うんだろうな。








「あ、来たよ。翔さーん!」



公園の入り口に、なで肩の男が現れて。

すぐに翔さんだと分かった。笑




「え、どこどこ!? …あっ、翔ちゃんっ。」



気づいた相葉さんが、大きく手を振る。


やけにニヤニヤしながら近づいてくる翔さん。

懐かしくて楽しみで。
だけどもちょっぴり照れ臭くて…


そんな想いを抱えたその笑顔は。



「久しぶり。」



鼻の頭を掻きながら、俺ら二人と交互に目を合わせた。




「お久です。」

「翔ちゃん、久しぶり~」








公園の脇に停まったタクシー。

ニヤニヤしてるおっちゃんにお礼を言い、公園の中へ向かった。



入り口から続く遊歩道のベンチに、二人の姿はあった。



あの頃と変わらない…




二人だけの距離感。

付かず離れずの隣同士。





まるで兄弟のようで。

それは親友でもあり、幼なじみでもあり、
きっとお互いの想いなんてお見通しなんだろうな…



と。

何とも例えようのない二人の距離感を、とても微笑ましく想っていたあの頃。


それは、時が経とうとも変わらないようだった。





「…翔さーん!」



俺の存在に、いち早く気づいたのはニノ。




「…あっ、翔ちゃんっ。」



そして相葉くんがこちらを見る。



無邪気すぎる笑顔に、少しだけ照れ臭くなった。

どんな顔をしてそちらまで歩いていけば良いのか…




「久しぶり。」



「お久です。

「翔ちゃん、久しぶり~」



だけども不思議なもので。

いつもの距離まで詰めると、あっという間にあの頃と変わらない感覚に戻れるのだ。


まるで、魔法にでもかけられたかのように。


~続~