ホームから改札へ向かう階段を降
りようと下の方を見ると、年配の
女性が階段の下で這いつくばって
いた。朝のラッシュ時に階段を踏
みはずしたらしい。

遠巻きにして先を急ぐ人々の群れ
の間から見え隠れする女性の、
控えめであるが何か訴えたがって
いそうな後頭部にはいろいろなダ
メージを受け、うめくような痛み
が伺われた。

ピンクの服をまとったみすぼらし
い体は笑いを誘うこともなく痛ま
しいだけだった。

一人で立ち上がることができるの
だろうか。人ごみの流れの中で、
微動だにもせず、いつまでもいつ
までも這いつくばっていた。