僕が幼い頃、
うちによく来る親戚は
親父の兄だけだった。
親父と叔父さんは仲が良かった。

親父は小さい頃、川で溺れそうになった時、
叔父さんに助けられたらしい。

親父は小さい頃、馬車に轢かれたそうだ。
脳みそが出たらしい。
それがなかったら、
俺は今頃こんなところにはいなかった。
などと、小学生までは何度も聞かされた。
そのエピソードも叔父さんに助けられたらしい。

叔父さんが亡くなった時、
親父が泣いたのをはじめて見た。

家に叔父さんが来た時、親父と酒を飲んで
いい感じで酔っぱらって来ると、
決まって、サンキューベリーマッチ!
と口癖のように繰り返した。

幼かった僕を、叔父さんは陽気にじっと見つめて、
「なっ!サンキューベリマッチョ!」

僕はそのときはまだ、
サンキューベリーマッチの意味も知らず、
酔っ払いの2人を不思議なもののように
見ていたのだ。