鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1) (ソフトバンク文庫 キ 1-1)/銀林 みのる

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失った何かを思い出すような。
などと、それらしく言おうと
しても、自分自身を振り返っ
て、僕はそれががなんである
かを言うことができないし、
そもそも、失うような特別な
何かを持っていたのかという
疑問があるので、その感想は
おかしいかなと思うわけです。

先日読んだ思考の要点の本で、
時のふるいにかけられて、余
分なものが落ち、大切なもの
だけが残り、寝かせに寝かせ
られ結晶となっている自分の
幼い頃は小説の素材としては
とても良く、これを瑞々しく
描くことができなければ、凡
庸な作家だ。ということが書
かれていたけれど、僕は結晶
になっているものが思い出せ
なくなるほど、忘却の忘却だ
なあ。と悲しくなってしまい
ます。その点、この本は良く
できていて、すばらしい。と
思います。


何も意味の無い行為が意味の
あるものと確信し行動する純
真さ。それがさらに、価値の
あるものに変わる瞬間。そう。
他の人に認められる、気持ち
を共有してくれる感激はとて
も気持ちが良いですね。