今となってはどうしているのやら。
そんな奴の下宿にみんなで集まって飲んでいた。

ぐだぐだと酒が進んできて、

誰かが
「はふぅ~。」とあくびをする度に、

酔っ払いの僕は、
わけのわからないことに
「帰ってきたぞ。帰ってきたぞ。ウールトーラマーン。」
と歌っていた。

そんなときに
絶対音感の抜群な男がハモろうとするんだ。
必ず、低音を絡ませてきた。

「ウールトーラマーン。」
「ウ~ルト~ラマ~ン。」

きれいにハモった。

そいつは僕の音を慎重に聞き分けながら、
微妙に音を追従させているんだ。

「いやあ~。気持ちがいいなあ~。はっはー。」と
そいつは満足げな顔で僕の背中をバンバン叩いた。

なんだよ~。いてぇよ。

ハモるのは確かに気持ちがいい。
満更でもない。

だけど、ハモられた後にじわじわと
そいつの満足げな顔と
僕の音を聞き分ける時の小ざかしい顔が
何か癪にさわってくるのだった。

だから、たまに

「ウールトッ。」
「ウ~ルト~ラ~あん?」

って、やってやった。
ざまあみろ。

そうすると、

「なんだよ~。せっかくいいところだったのにぃ~。」

そいつは僕のイメージどおりに
本当に悔しそうな、残念そうな顔をしてくれた。

なんなんだ。お前は。
そんなにハモリたいのか?

そんなに残念そうな顔をしてくれると、
なんかうれしくなって、
「いやあ。悪い。悪い。」と
そいつの背中をバンバン叩きながら、
僕は満足げな顔をしたんだ。