坂木 司
青空の卵


語り部である主人公の親友である引きこもりの青年が
身近な事件や謎を名探偵よろしく解き明かしていく出
来事を通して、共に成長していく物語であります。

同じ幼い頃のトラウマを扱っていた「永遠の仔」を読
んだ後なので、比較すると、ほんわかした雰囲気でド
ラマチックさに欠け、軽い感じがしましたが、あった
かい気持ちになります。こちらのテイストの方が今の
僕に合っているような気がします。食のこだわり、う
んちくを語る部分も僕の興味をそそりました。

主人公は引きこもりの友人をめいいっぱい受け止めま
す。引きこもり青年が全国の銘菓が好きなのは、家族
団欒の記憶を感じたいためだ。なんて、そんなことま
で分析して解釈しなくていいのに。と僕にとっては苦
笑ですが、そこまでするくらい受け止めようとする。
その理由が、自分には何もない。自分には中身が全く
ない。からなのだという、内なるふつふつとした、そ
れでいて曖昧模糊とした何かの渇望は、僕の中の感覚
として腑に落ちる説明で、二人の繋がりの深さをまっ
たりと味わいました。