晴れ、ときどき雨
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ウロコ雲

秋の空だ。


見上げた空には、きれいに並んだウロコ雲。


おもわず笑顔になった。



そう、今日は最高の秋晴れだった。

窓の外からは秋祭りのお囃子が聞こえた。


懐かしいかな、秋の空、秋の声。


子供たちのお囃子が行ったり来たり。


太鼓の音がドンドン響いて行ったり来たり。


そんな懐かしい音を聞きながら

私は昼寝をした。


すやすや すやすや


最高の秋の一日だったな。



なのにお姉さんったら

どうしてかしら、泣いてるの。


ぽろぽろと涙が出てるけど

どうしたの?


??  ??  ??


「・・・・・・・」


?? ?? ??


「もしかしたら・・・・」


もしかしたら?


「花粉症かも。」


だなんて言っているけど、あれはきっと違う。

花粉症なんかじゃない。


泣きながら笑っているお姉さん。


悲しいのか?うれしいのか?


う~~~ん。。。。。


とりあえずは、今日のいい天気に乾杯。

お姉さん、一杯飲もうよ!



蕎麦焼酎ストレート

「誰? このアドレス」


―― ?


「もう捨てるからって、私にくれた携帯電話。

どうしてちゃんとデータを消しておかなかったの?」


―― あれ?


「こんなの見たくなかったよ」


―― ただの友達だよ


「??? そんなふうには見えないけど」


―― ・・・


「・・・」


――  ごめん


男ってつくづくバカだと思う。

こっちが気づかないふりしてたら

黙ってるつもりだったのか。


「その焼酎をこっちに」


―― はい・・・どうするの? 氷か水がいるね


「そんなのいらない」


―― ストレートで飲んで大丈夫かい?


「大丈夫なわけない」


―― おれも少し飲もうかな


「だめ」


―― ・・・


「水でも飲んでたら?」


私は焼酎を飲んだ

彼の焼酎だが、気にしない。私ひとりが飲むのだ。

しかしこんな状況で飲んでも、おいしいわけがない。

泥酔して、彼に洗面器を持ってこさせた。

背中をさすってもらった。


そして、そのまま寝てしまった。


翌日、私の顔はこの世のものとは思えないほど

ブサイクだった。。。。


「なんてブスなの」


―― ・・・


何も言えない彼と、見れば見るほどブスな私。


女は怒るとブサイクになるというのは本当だし、

男が嘘つきだと言われるのもうなずける。


そして私は焼酎があまり好きではなくなった。

ごめんなさい、焼酎。


もう二度とあんな飲みかたはしない!



晴れ。

晴れ。


いい天気だった。

秋晴れってやつかしらん。


風は気持ちいいし、

青空に白いちぎれ雲が浮かんでる。


久々に、最高のお天気だったような気がする。


なのにどうしてだろう。

なんだかすっきりしない。


モヤモヤ


モヤモヤ


肩こりかしら。

運動不足なのかしら。

そういえば便秘も続いている。


ちょっと近所をひとっ走りして

体力つけて、健康にならなきゃいけないわね。


そういえば、お姉さんも毎日走ってるって言ってたな。

最寄の駅から毎日ダッシュだって。

歩いて帰ってきたらいいものを・・


お姉さん曰く、


「変なひとがいるかもしれないから

変な人に変な人だと思われるように

変な歩き方や、変な走り方をしているの」


・・・それって、どうなんだろう。


変な人が捕まえられる前に

お姉さんが変な人になってしまうよ。


でも、最近は物騒な事件も多いしな、

お姉さん、気をつけてね。



ダッ ダッ ダッ・・・


何だ、あの音は。


も、もしかして、お姉さんの足音?


「ただいまー」

「今日も走って帰ってきちゃった」

「疲れたー」


ん~~~~~


確かに、夜中は歩いちゃ危ないけど

あの足音が近所に響きわたっているのを

お姉さんは知っているのかしら。



ダッ ダッ ダッ






冷えてないビール

こんばんは。


―― こんばんは。だいぶ涼しくなったねぇ。


そうですね、朝晩はほんと風が冷たいですよ。

えーっと、ビールください。


今日は昼間からずっとビールが飲みたかったんです。

暑いわけではないんだけど、

グイっと飲んで、プハーッて言いたかったんです。


―― はい、どうぞ。 プハーって言っていいよ。


プッ ハーッ!

おいしい!


―― (笑) どうしたの、疲れてるの?


いや、体が疲れているわけではないんだけど

なんか体じゅうがこわばってるみたい。

肩凝りですかね、これは。


―― 一気に飲んでしまいそうだね。


プハっ! 

でももったいないから、ゆっくり飲みます。


♪♪

ブルースだ!しかもノリノリの しぶいやつ!

だめだ、このままじゃ、私、ノリノリで

踊ってしまいそうだ・・・

でも今日は一人で飲みに来てるしな・・・

踊るわけにはいかない。がまん、がまん。


♪ ♪ ♪

だめだ! 私の敬愛するジョン・リー・フッカーが

ブンブン♪ブン♪ブン♪

歌ってる・・・

思わず口ずさんでしまいそう・・


ブン♪ブン♪



ごちそうさま。ビール飲んじゃいました。


―― あれ、早いね。今日は待ち合わせじゃないの?


今日は違うんです。「彼」、今週は仕事が忙しいみたい。

もしかしたら夜中に、疲れた~とか言ってくるかもしれないけど。


―― そうなんだ。 いつも待ち合わせしてるから

    そろそろ来るのかと思ってたよ。


じゃ、また。

ごちそうさまでした。


―― ありがとね。おやすみなさい。


おやすみなさい。



私は店の外に出た。

店の階段を下りて、通りに出た。


ただビールが飲みたかったわけじゃない。

本当は「彼」に会いたかっただけかもしれない。

今日は忙しいから会えないんだ、

そうやって自分に言い聞かせて

ビールを飲んだ。


ビールがもう少し苦くて、もう少し冷えていたら

私はあと3杯ほどお酒を飲んで

「彼」のことなんかどうでもよくなったと思う。


あと3杯も飲めなかった理由は・・・

なんなんだろう。自分でもよくわからない。

今、私のアタマの中をめぐっているのは

ジョン・リー・フッカーの名曲だけだ。


あ、あれ?

目の前に歩いてるのは、もしかして「彼」?


おかえりなさい! 



ビワコ

電車に乗って、旅に出た。


行く先はビワコの北の端。

奥ビワコだ。


ガイドブックにもほとんど紹介のない

まだ未知の世界。


そんな奥ビワコで見つけたのは


遠藤周作先生に「北欧のようだ」と言わせた

ダイナミックな自然と、繊細な湖の表情の対比。


その昔は、日本海から大阪へと「塩」を運ぶ街が栄え

「塩津海道」と呼ばれた道も整備されていたという。

日本海からビワコの北端にある塩津港へ。

船はビワコを進み、淀川へ通じる唯一の川「瀬田川」へ。

塩は、日本海を大きく回るルートよりも

はるかに早く大阪へと運ばれた。

交通の要衝として、ビワコの港は栄え、

その集落も賑わった――――


今ではその影も薄れてしまったが

歴史は確かにここで刻まれている。


そんな歴史ロマンを感じられずにいられないほど

ビワコの湖面は美しい。

かすかな風で波紋は響き渡り、

青の雲はゆっくりと移動する。

澄んだ水の奥で、静かな暮らしに体を預けている魚たち。

人間の目につかないようにと、山深くに暮らす獣たち。


「静」と「動」


どちらにも溶け込めない人間は

自然とともには暮らせないのではないか。


自然の大きさに脅威を感じずにはいられない

奥ビワコの自然を見たような気がする。


手付かずの自然を本物というなら

私たちが見ている自然は何?


――――――――


次はどこに行こうかな。

くもり

くもり。


雨がふったりやんだり


なんだかパッとしない一日だった。


秋の風が吹いて、少し肌寒いから

贅沢にも今日は布団の上でゴロゴロ過ごしてみた。

あ~~ し、あ、わ、せ。


でも、でも、でも、

何だろう、このお腹のふくらみ。腕や足もぷくぷくしてきたかも。


もしかしてこれって運動不足?

ちょっと太ってきたかもしれない。。。


しかし、毎晩お酒を飲んで帰ってくるお姉さんは

最近ちょっとスリムになった?かもしれない。

どうしてかしらん。


外食が続けば太る、ってテレビや雑誌でよく言われているのに

お姉さんはどんどんスリムに・・・何かの病気だったりして・・・。

聞いてみたけど、本人にもよくわからないらしい。


でも、ひとつだけ、思い当たることがあるんだって。


「間食をやめた」


らしい。


おやつを食べていないだけでそんなに変わるものかしら。。

私なんて、朝、昼、晩、かまわず満ち足りるまで食べているのに。


よくよく聞いてみると


「おやつを食べたいと思わないくらい、満ち足りた気分」


なのだそう。


それって、どういうこと???


何が満ち足りているんだろう。すでにお腹いっぱいってことでしょう?

確かに、週末のお姉さんは何だかイキイキしている。


私も、おやつでない何かで満ち足りてみたい。


ちなみに、そういうときの気持ちを

「しあわせ」って言うらしい。



―― ただいまー


あら、お姉さんが帰ってきた!

今夜もお姉さんが「しあわせ」に包まれていますように。


―― おかえりなさい。





ウォッカトニック 

こんばんは


―久しぶりだけど、元気にしてたの?


元気、のはず。特に病気もしていないし、食事もしっかりとってますよ。

マスターは調子どう? お店休んでませんか?


―それが・・この前、ちょっと調子悪くてね。二日ほど休んでしまった。


あらら。

夏の疲れが出てきたのかもしれませんね。

えーっと、ウォッカトニック お願いします。


―今日はどうする?


はは(笑) ちょっとキツめで。

今日はちょっとご報告があるんです。


―お、何かな。いい話?


もちろん! でも、もう少ししたら彼が来るからそれまで待って。

みんなを驚かせたいの。


―へぇ、楽しみだね。


♪ ♪ ♪


店で流れていたのは、大好きなジョニ・ミッチェル。

お酒を飲みながら、大好きな音楽が聴けるなんて

本当に幸せだと思う。


今日、報告するのは、

マスターや、今から来るはずの「彼」にとっては

たいしたことではないかもしれないけど、

私にとっては、とっても大切なこと。


ちょっとキツめのウォッカにしたのは

嬉しさをこらえたくなかったから。

嬉しくってはしゃいでいる私を見てほしいと思ったから。


――ガラガラ


あ! 「彼」が来た。


カミナリ

晴れ。


その後、雷雨。



なんて天気だろうと思う。

せっかく秋の風で昼・・寝してたのに。。。

私はカミナリが嫌いだ。


ゴロゴロ・・ゴロ


こわいなぁ


雨の中、お姉さんが帰ってきた。

ずいぶん雨に降られたのね。

大丈夫かしらん。


そういえば、最近のお姉さん、

なんだか元気がないけれど、どうしたのかしら。

それもちょっと心配だったのよ。


昨日の晩にこっそりお酒飲んでるの見ちゃったし。

あれはたしか・・・ウォッカ?とかいうお酒だったわね。

私もちょっとなめてみたけど、

すぐにフラフラしちゃって、お姉さんに笑われたわ。


お姉さん、ウォッカが好きなのかしら。

お酒って、種類も味もよくわからないけれど

お酒を飲んでいるお姉さんの顔は、いつもより穏やか。

ココロの深いところまでアルコールを届けている、そんな感じ。


そんなひとときを一緒に楽しめないのが残念。

だけど、本当は誰かがいるんでしょう?

お姉さんが一緒にお酒を楽しみたい誰か。