はれどきくもりのちはれ~作家・占い師への道~ -3ページ目
「すいませんでした!」
担任にこっぴどく怒られた放課後。
ため息を着きながら、学校から
出てきた。
まさか、朝から最後まで寝てしまう
とは思っても見なかった。
学校の帰り道は、部活帰りの生徒だけで
他の生徒はもうすでに帰った後。
最後に期待していたシチュエーション。
学校の帰り道でのサプライズはもう、
合間見えることなど無いだろう。
とぼとぼと、肩を落として駅に向かう。
こんな時なのに、やけに夕陽が美しく
見える。
俺を励ましてくれているのかな。
駅に着いた、いいタイミングで
電車が来た、早く家に帰れと言われ
ているかのように。
電車に乗る、今日のことを思い出す。
何故か涙が頬をつたって行く。
また制服の袖で涙を拭った。
言い様の無い寂しさが、胸のあたりで
ぎゅっとなる、なんか切ないなあ。
まあ、所詮こんなもんだよ俺って。
バレンタインデーとは縁のない人生
だったんだよ。
でも今日は色々あって、刺激もあった。
最後の失敗は置いといて。
思いようによっては、なんか楽しかった。
そんな気もする。
今まで気づけなかった事にも、気付く事
が出来たし、心が少し成長したと思う。
バレンタインデーなんか大嫌いだった
あの頃に比べたら、まんざらそうでも
無いようにも思える。
大好きとまでは行かないけど、嫌い
でもないな、ありがとう。
学生生活最後のバレンタインデー。
今日という日を忘れやしない。
いい思い出が出来たよ。
学校のチャイムが響き渡る。
退屈な授業の始まりだ。
ヤバい、もうすでに眠い。
朝から色々ありすぎて、
疲れが一気に出てきた。
バレンタインデーよ。
いつまで俺の心を振り回すつもりだ。
1日の先は長い、ここは少し休憩だな。
気持ちを落ち着かせるのも重要だ。
そう、休憩、目を閉じて、無になろう。
深呼吸、ゆっくり、深、呼、吸、ぐー。
そのまま、無の境地へ向かった。
また学校のチャイムが響き渡る。
「光太郎!起きろ!光太郎!」
隣の席の柳くんの声が聞こえる。
「もう、昼だぞー!」
何を言ってんだか、寝ぼけてるのか?
まださっき1限目が始まったばかりだろ。
「あー、はい、柳くんありがと、ぐー」
「駄目だこいつ、起きねえわ」
柳くんは、光太郎を起こすことを諦めた
そして、シチュエーションその6 昼休み
を、みすみす逃すことになった。
次に光太郎が目覚めた時、担任が鬼の
形相で目の前に立っていた。
そのまま、指導室へと連行。
担任からの指導の末、親に連絡され、
そのまま家に帰ることになった。
学校の生徒はほぼ全員、下校済み。
学校でのあらゆるシチュエーションは
何も期待出来ないまま、幕を閉じた。
教室の中では、バレンタインデー
がどうだの、こうだの言っている
連中は全くいない。
いつもと変わらない、普段通り。
平常心を装っている男女。
だが知っている。
この中の少なくとも約9割の連中が
今日という日を意識している。
なぜなら、今月入って今までの間、
バレンタインデーの話題がちらほら
出ていたから。
でも男子諸君。
このクラスの女子は、同じ教室に
いる男連中には全く興味がない。
恋愛感情なんてない、クラスメートと
さえ思われていない。
いわば空気?俺達そんなもんだから
なんで、分かるかって?
このクラスの女子が話している所に
たまたま出くわしたからさ。
ああ、そうさ。
思わず隠れたさ、気まず過ぎて
隠れて聞き耳立てたさ。
チョコを渡す気になるような男子は
居ないんだとよ。
ましてや義理チョコなんてありえない
とまで言っていたのさ。
だから、このクラス内でのサプライズ
なんて、はなから期待なんてしていない。
朝来てありがちな、机の中にチョコが
入っているなんてシチュエーション
なんてないだろう。
でもまあ、期待はしていないが一応、
一応、確認はしてやろうかな。
シチュエーションその5 机の中
とりあえず俺の席に座ろうか。
まあ、無いだろう。
無いって分かってるが、全く見ない
って訳には行かない。
万が一、万が一にも入っていると
過程した場合、机の中のチョコが
永遠に気づかれないままに、そこで
朽ち果ててしまっていては申し訳ない
からな、本当に念の為見てみよう。
まずは机の中に手をいれてっと。
ちょっと探ってみて。
ちょっと探ってみて。
ちょっと探ってみて。
はい!ありません!
若干、緊張したじゃないか。
期待しないなんて言って、ちょっと
期待してしまったじゃないか。
なんか凄く恥ずかしいじゃないか。
もの凄く空しいじゃないか。
もう、今のことは忘れてしまおう。
そう、授業の為の教科書を準備する
為に机の中にたまたま手を入れていた。
そういうことなんだよ。
ふふ、我ながら立ち直りが早い。
まあ、ないとは思うが同じように
机の中を見ているやつがいるはず。
ちょっと見渡して見よう。
ん、ん、はいいい?
おいおい、俺のすぐ右斜め前に座って
いる勇二くん、な、な、何ですか?
その手に持っているものは?
手が震えているじゃないですか?
お、こっち見て来た、満面の笑み
浮かべてんじゃねえよ。
Vサインじゃねえよ。
あれ、勇二くん凄いじゃないか。
いいよなあ、とか言わねえし。
もう、あっち向け、シッ!シッ!
ニヤリじゃねえよ、そして
そのまま向こう向いてんじゃねえよ!
勝ち誇ったような顔しやがって。
ふん、お前当分口聞いてやらん。
なんか余計空しくなってきた。
勇二くん以外、他の連中はもらって
無さそうだ。
確かに勇二くんだけは、このクラス
でイケメンの部類に入る強者。
仕方ないとは思うが、お前が
もらえてないのが、一番話題に
なって笑えるんだろうが!
つまらん、義理チョコもない
なんて言っているやつほど、
ああいう、イケメンには渡すん
だろう。
怖い、女子怖い。
シチュエーション その5は、
空しく終わった。
シチュエーションその4 下駄箱
下駄箱には、上靴が入っている。
校内に入る前には必ず外履きの
靴と履き替えてから教室に向かう。
さて、ここからだ。
よくあるパターン、下駄箱にチョコが
入っているっていうありがちなやつ。
この3年間、そんなサプライズ的な
ことなど一度もなかった。
今回はどうなんだろう。
自分の下駄箱を開けるだけなのに、
妙にドキドキする。
下駄箱の扉を掴むと緊張が走る。
時代劇のようなセリフがつい出て
しまう、「いざ!いざ!いざ!」
胸が高まる、心臓の音が聞こえる。
あまりの緊張に目をつぶる。
覚悟を決め、扉を開けた。
そっと片方ずつ目を開ける。
な、何か入っている。
おお、こ、これは。
手紙?手紙が1通、上靴の上に
置かれている。
ついに奇跡が起こる。
思わず声を上げ、「やったー!」
っと言ってしまった。
周りにいた生徒達が、こっちを見る。
やってしまった。
浮かれ過ぎ、ここは冷静になって、
この場を早く離れよう。
手紙を取り出し、上靴に履き替えて、
周りの注目から逃げだすように
その場を去った。
さあ、どうする?今すぐ手紙の中身が
見てみたいっと思った矢先に目についた
教室の近くのトイレ。
早速、トイレに入り便座のある部屋へ。
急いで扉のカギを閉めた。
初めて手紙をもらった嬉しさと、
中身に書かれている内容への期待とで、
興奮が収まらない。
震える手で、手紙の封を切り、ゆっくり
中身を取り出した。
女の子っぽい、可愛いらしい便箋だ。
でわいざ!拝見、手紙を広げる。
目を疑った、思わず口が開いた。
内容はひらがなだけで書かれた二文字
「しね」
な、なな、なんだこれ?
ふざけんなあ!怒りがこみ上げる。
手紙をクシャクシャに丸め、
トイレの便器へ放り込み流した。
突然現れた最高の幸福を、たった
二文字に奪われた絶望感。
これはある意味、奇跡の上に奇跡が
降りかかった状態ともとれる。
いや、もうこれはネタでしかない。
冷静に考える、犯人はもう一人しか
いない、あいつだ。
去年のバレンタインデーに、自分が
好きな相手を呼んでこいと、上から
目線で言っていたから、呼んでくる
ふりをして、そのまま放置して家に
帰ってきた時のあいつだ。
元々、執念深そうな奴だからだろう。
今日という日を迎え、去年のことを
思い出したに違いない。
憎悪が感じられる手紙だ。
こんな意味のわからんことする危ない
奴とはもう、関わらないようにしよう。
期待させやがって、逆に恨んでやる。
束の間の幸せは刹那に終わり、淡い
夢は消えてしまった。
教室に戻ろう。
通学先の駅、まもなく到着。
今日の朝は、いつもと違った
感じを体験できた、ある意味
ドラマの始まりのような朝だ。
なんだか今日は、主人公にでも
なった気分だ。
ちょっと楽しくなってきた。
その日、その日の思いや考え方
次第で刺激のある毎日を過ごせる
ものなんだなあって思えた。
ありがとうバレンタインデー。
一つ、勉強になりました。
ちょっとだけ、成長という階段を
上がれた気がするよ。
でも、今日はまだ終わらない。
これから、どんなドラマが待っている
のか楽しみなってきた。
電車が、駅のホームに入って行く。
到着、次のシチュエーションの始まり。
電車から降り、改札へ向かう。
駅から出て、学校への通学路を歩いて行く。
シチュエーションその3 通学路
同じ学校の生徒達が、おはようだの
挨拶を交わし、友人同士会話をしながら
学校への道のりをだらだら歩いている。
毎朝思うけど、これがうざい。
だらだら歩かれると、後続の人達が、
どんどん増えて、学校に着く時間が
遅くなってしまう。
しかも、歩道は一方通行かと思うほど
狭い道。
歩道の横は車が行き交う道路になって
いて、通学時間と同じく、車両の通行
も多い。
自分より前に歩いている生徒を抜かそう
にも、道が狭くてできない。
まさに通学サバイバル。
今日は、通学路での淡い思いは捨てて
周り道をしよう。
少し遠くなるけど、いつものこと。
同じように裏道を行く生徒は少ない。
そこでの展開など期待出来ない。
人ゴミは嫌いだ、ここは折れよう。
シチュエーションその3
意外な展開などなく、あっけなく
幕を閉じ、学校に到着した。
玄関ロビーでの次なる展開に期待
を抱いて、自分のロッカー式の
下駄箱に向かった。

