奈良の大神(おおみわ)神社にお伺いした時に
ご本殿に行くまでの途中に
祓戸(はらえど)神社がありました。
”…神社の参拝は
なによりも清浄を期すことが大切で
心身共に清らかになって参拝するために
最初にこの神社に参拝します”
殆どの神社にはこのような祓戸神社はなく
鳥居をくぐったところに”手水舎”が設けられています
と、言うことなのですが
この手水舎は単なる手洗い場ではありません
心身を清めて神前に出るための
大切な場所で、
手水の作法はいわば禊の儀式を簡略化したものです
さて、この手水の作法ですが
色々な解説書・案内書を読み比べてみますと
微妙にその作法の説明が違いました。
《Ⅰ》國學院大學三橋教授の”神道の本”(西東社)では
①手水舎の前で一礼する
②右手でひしゃくを取り最初に左手からすすぐ
③左手をコの字状に丸めて水を受けて口をすすぐ
④左手でひしゃくを持ちかえて右手をすすぐ
⑤ひしゃくを立てて残った水を流して柄杓の柄を清める
⑥ひしゃくを元の場所に伏せて戻す
《Ⅱ》國學院大學井上教授の”神社と神々”(実業之日本社)では
①右手にひしゃくを取り水をすくい左手を清める
②次にひしゃくを左手に移し水をすくい右手を清める
③そして再度ひしゃくを右手で持って水をすくいその水を左手にとり
その手で受けた水でもって口をすすぐ
《Ⅲ》神社本庁監修の”神社のいろは”(扶桑社)では、
①まず右手でひしゃくを取り清水を汲んで左手にかけ左手を清めます
②次にひしゃくを左手に持ち替えて同じように右手を清めます
③再びひしゃくを右手に持ち左の手のひらに水を受けて口をすすぎます
④もう一度左手を水で流します
⑤そして、ひしゃく置きにひしゃくを伏せて置きます
違いがお分かり頂けますでしょうか
すすぐ順序だけをみますと次のようになります
《Ⅰ》左手→口→右手
《Ⅱ》左手→右手→口
《Ⅲ》左手→右手→口→左手
いずれの場合も左手に受けた水で口をすすぐ作法は同じです
≪溜まり水の場合は口に含まず、作法の手真似にとどめてください≫
一般的には《Ⅱ》の作法を説明した案内を掲示している神社が多いようです
神社参拝のその基本は
神様に対して失礼にならぬように
心身を清め
神様に対面し
敬虔な気持ちで日頃の感謝を捧げ
真摯な思いで願いを伝え
謙虚な態度で神意をお伺いすることにあります