いつか、こんな日が来ることは
覚悟していました。
またその日のために勉強もし、
実習も受け
練習もして修業中の身ではあります。
お手伝いもさせていただいて
補助の役割ならなんとか
モタモタしながらでも
できるようになりつつあります
しかし、メインのお役目はまだ
心の準備も何も全くできておりません。
まして一人で何もかも全部
最初から最後までやる自信なんて全くありません
なのに、いきなり突然
大変なことになってしまったのでした
何のことかとお思いでしょうが
実は神職のお話です。
つまり、
地鎮祭と初宮参りが重なったから
どっちかやってくれ・・・
え”~っ!?
え”~っ!!??
え”~っ!!!???
そんな、いきなり、ご無体な~
あ~れ~っ
と、言うようなことがありまして
眠れぬ夜を過ごしておりましたが
いよいよ、本番当日を迎えまして・…
終わりました・・・
燃え尽きた・・・
真っ白だぜ・・・
初宮詣のご祈祷、
宮司代務者として
神饌(お供え物)を準備して
玉串を準備して
祝詞を毛筆で作成し
撤下品を準備して
お神酒・塩・水・・・・
2時間半も前から
ウロウロ、ウロウロ・・・
ベテランの神主さんなら
どうってことない祭式なのでしょうが
何しろ準備から全部一人で
初めての斎主デビューです
とにかく絶対に
人の名前の固有名詞を読み間違えてはダメです
自分で書いた祝詞を
何十回も音読して練習しました
その甲斐あってか
無事に、
とにかく滞りなく
ご奉仕させていただくことが
できました(と、思います)
で、終わった後に
こんなご説明をさせていただきました。
『本日は初宮のご参詣、
誠におめでとうございます。
改めましてお祝い申し上げます。
今日こうして氏神様に
お参りいただきました初宮詣は、
氏神様の「産子(うぶこ)」を
初めて見参(けんざん)に入れる行事で、
いわば土地の産土神(うぶすながみ)様への
初名告り(はつなのり)でございます。
これによって産土神様に
氏子の一人として認めてくださいますようにと
ご奉告させていただいたのでございます。
また、本日奏上させていただきました
祝詞(のりと)につきまして
少しご説明させていただきます。
祝詞の冒頭に「かけまくもかしこき」
「かしこみかしこみももうさく」と申し上げ、
また祝詞の最後には、
「かしこみかきこみももうす」と
申し上げております。
ほとんどすべての祝詞は、
このような表現の言葉を
最初と最後に申しあげます。
この「かけまくもかしこき」という表現の意味は、
「言葉に出して申し上げるのも恐れ多い、
心にかけて思いますのも恐れ多い」という意味で、
また、「かしこみかしこみももうさく」というのは、
「恐れ謹んで申し上げますことは」という意味です。
このように、
言葉にはっきりと表して
祝詞の始まりの言葉と締めくくりの言葉を
申し上げておりますが、
これらの言葉の意味を
お聞きいただいてもお分かりのように、
ご奉告にあたりましての御奉仕は
深い敬神の念による
敬虔な気持ちと態度をもちまして
謹んで執り行わさせていただいております。
さて、本日の初宮詣の祝詞では、
このようなことをお聞き届けくださいますようにと
奏上させていただきました。
まず最初に申しあげたことは、
○○様ご夫婦の赤子が無事にお生まれになり、
若竹のようにすくすくと育ち
今日の良き日を迎えさせていただいた、
その深いご神恩に対する感謝の言葉です。
またさらに、
氏神様であります○○神社の大神の
ご神威をもちまして、
禍(まが)つ神が起こす諸々の災禍を、
この赤子にいっさい起こさせることなく、
夜も昼もお守りくださいまして、
まめに丈夫に愛らしく
すくすくと成長させてくださいますようにと
お願いしております。
祝詞は、
敬虔な気持ちで神様に対して感謝申し上げ、
祈願をお聞き入れくださいますことを
お願いする言葉ですので、
日常ではほとんど使われなくなってしまった
伝統的な美しい表現を使います。
また、「(禍つ神の戯)有らしめ給わず」や、
「生い育たしめ給え」などと、
「・・・しめ給う」という表現をいたしておりますが、
これは、神様の御意志、お力添えを、
今日の初宮詣で無事に氏子となった
赤子のうえにお働きかけくださっているからであり、
この世に誕生してこれたことももちろんのこと
これから行く先の成長も
神様のご神恩によってなさしめ給うものと、
表現して祈念しております。
どうぞこれからも行く末長く
産土神様であります
○○神社の御祭神の
ご神恩とご加護を賜りますよう
お聞き届けくださいますようにと、
お願いさせていただきました。』
長い文章の記事になってしまいましたが
最後までお読みいただきありがとうございました。