泣きながら


『私は大丈夫やから』
『帰りましょ』



と言う私。







てんちょーは、



『そんな泣いて
 大丈夫な訳ないやん!』

『そんなんで帰られへんわ』


『俺はお前が話すまで
 ずっとおるからな』




って言いながら、
私が泣き止むまで
隣でずっと何も言わず
一緒におってくれた。






泣き止んだ頃てんちょーは、



『どうしたん?』
『怖いんか?』



って私に聞いてくれたけど、
私はまた泣いて、ずっと



『大丈夫やから』
『私は大丈夫です』



としか答えへんかった。

てか、答えられへんかった。



ホンマは大丈夫じゃないくせに
まるで、
自分に言い聞かせるように。





けど、てんちょーが



『そんな泣いて
 大丈夫ちゃうやん』
『怖いん?』



ってもう一回聞いてけれたから
私はそれに対し


『はい』



と、ただ一言だけ答えた。





この時、てんちょーには
言わんかったけど
その“怖い”には
色んな意味が込められてた。









あの時、色々考え
思い出してるうちに
一番怖くなったのは


 てんちょーがおらんくなること


やった。





だからこそ、
ずっとこのまま一緒に
おってくれることを願う反面
急に一緒におることが怖くなって
早く帰りたかった。






ここまでして、
いつも私を支えてくれて
何かあったら
飛んで来て助けてくれて


その日も繋いでくれた手が
ホンマに嬉しすぎて暖かすぎて
いつか私の前から
“てんちょー”って存在が
おらんくなるのが
ホンマに怖かった。







そして、
そんな大切にすべき人を
私の弱さから出た
たった一言で
あんな顔をさせた自分が
情けなくなり泣けた。






“辞めたい”って言った
私の一言は
きっと、てんちょーを
めちゃくちゃ傷付けたのに
それでも
ここまで私に優しくて
支えてくれるてんちょーが
優しすぎて嬉しすぎて泣けた。







私にはあの手は
優しすぎて怖かった。






あの私の『大丈夫』って言葉は


 てんちょーがおらんくなっても
 私は大丈夫。




って意味やった。






てんちょーのあの手は
安心と同時に
私を不安にさせた。