本郷給水所公苑で気持ちの良いひと時を楽しんだあと

入った時とは違う出入り口があることに気が付きました。

その出口は坂の途中で、

入った時ほど階段を降りなくても下の道に着きました。

いくら方向音痴でも外堀通りの方向は分かるので

そちらへ向かおうとして、何気なく向かいのビルを見たら…

 

 

 

 

えええ?

このビル、古いわ!

 

なぜそう思うのか自分でも分からないのですが

しいていうなら存在感、でしょうか。

 

 

 

 

 

窓はサッシに替えてあり壁も白く塗り替えたらしい。

ちょっと見たところ昭和40年代に建てたよう。

しかし、出入り口にステンドグラスを嵌めてあったり

窓の下の張り出し部分がいやに重厚だったり。

これはもっと古い建物だ。

 

 

 

 

他に手がかりがないので

角に貼ってあるポスターを頼りに検索したところ

やはり昭和3年(1928)関東大震災復興計画の一環として

東京市が職業紹介所として建設したものと分かりました。

鉄筋コンクリートの3階建て。

戦後も幾多の変遷を経て教育庁庁舎になっていましたが

2001年にアートセンターとして改修し開館したのだそうです。

いわば、ずっとお役所の建物だったわけですが

それにしては洒落ていますね。

 

 

 

この建物の角にあった町会掲示板

本郷二丁目元一会とあります。

お散歩していると、消えてしまった町名が

町会では以前と変わらず使われているので

色々なことを知る手がかりになります。

この町会名も後で感慨深く見直すことになりました。

 

 

というのは、そのビルからもう一本の横道へ進んだら…

 

 

 

 

 

正面が工事中だったのです。

ほとんどがフェンスや幕で覆われ、見えるのはわずかですが

それだけでも、この建物も古い!

と直感しました。

この直感もどこから来るのか?

うまく説明できないです。

建物は無機質な素材から出来ているのに

何かが語り掛けてくる、といったら変ですかね。

 

 

 

 

 

奥の方を見たところ。

かなり広い敷地です。

この古い建物は壊されてしまうのか?

たった今まで知らなかった場所なのに

何とも言えない気持ちになりました。

 

 

 

 

 

フェンスに貼ってある建築計画のお知らせ

旧元町小学校保全施設改築工事、とあります。

 

ここは元町小学校だったのか。

旧が付いているということは閉校したのか。

どんな風に改築するのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

この横道には坂の説明板あり。

建部(たけべ)坂 (初音坂)とあります。

かつての武家屋敷に広大な藪があり

ウグイスの初音が聞こえたそうな。

今となってはおとぎ話のようですが

そんな雰囲気が少しだけ残っているような土地です。

 

 

 

 

 

外堀通り方向を見たところ

ここからでは坂道が上手く写せていませんわ。

 

 

 

 

 

 

そして出てきた外堀通り

ここから水道橋の交差点へ向かうのですが

来る時も同じ道を通り、気になった所を見上げました。

 

 

 

 

 

 

崖の上は工事中らしい。

テラスのような屋根が見えていて

その土台が素晴らしい!

ナマジのレトロ建築では造れない重厚で風格ある趣です。

 

 

 

 

 

その向かい側にも同じテラスがあります。

これはいったい?

 

来るときは先を急いだのでよく見なかったけれど

フェンスに掲示してあったのは…

 

 

 

 

元町公園整備工事とあります。

 

ここからは後で調べたことですが

この公園と元町小学校は同じ敷地にあったのです。

 

旧元町小学校は、やはり関東大震災復興計画の一環として

昭和2年(1927)現在地に移転して鉄筋コンクリートの校舎が出来ました。

昭和5年(1930)隣に元町公園が造られたのでした。

 

このように帝都復興事業で作られた学校や公園はたくさんあったけれど

少子化など時代の流れで閉校したあとは

他の施設に順次建て替えられ

とうとう文京区で元町小学校が最後の一校になったそうです。

しかも建設当時のまま公園も残っているのは稀なので

地元の熱い要望により他の施設に建て替えることなく

改築して往時のまま残すことになったのでした。

 

いや~、良かったわ~!

 

 

さて話を戻し外堀通りを下っていたら

またまた目に付いたものがあります。

 

 

 

 

 

この土台、古いわ~!

今は駐車場になっている敷地の端っこ。

 

 

 

 

 

 

細い道との境になっている、この塀は

只者じゃありませんわ。

だって上の部分がスクラッチタイルですもん。

ここも急坂なので上に行くに従って

微妙に高さを変えてある律儀な塀です。

ここにはどんな建物があったのでしょう。

数年、いや十年ほど来るのが遅かったな(涙

 

 

 

 

 

この塀の先は、とんでもない急坂でした。

 

この日の帰り道は都営三田線に乗るつもりで

水道橋交差点から白山通りへ向かいました。

 

 

 

 

 

ほ~ら、現代に戻ってきたよ♪

 

と思っていたら…

 

 

 

 

いかにも昭和なお店があり…

 

その角を覗くと…

 

 

 

 

 

能楽堂と本郷一丁目の矢印あり。

 

あら?本郷一丁目って

この前伺った三崎稲荷神社が一番初めにいらっしゃった場所では?

ここから川向うの今の場所まで

数えきれないほど御遷座なさったのですね。

と、ここでまた鎌倉時代へ!?

 

それはさておき

今回のお散歩で、この地域にまだ古い建物があることを知り

文京区の懐の深さを知った、というか

ようやく1歩中に入れて頂いた気がします。